となりのトップランカー #10 | 成功者の苦悩① 求めるもの
二度目の面接を終え、私は新しい名前で
新店舗への移籍を決めました。
これは、体験入店中に特に印象に残った、
もう一人のお客様のお話です。
一店舗目のお店には、
体験入店として9日間出勤しました。
そのうち、タナカ様は6日間も
足を運んでくれました。
総時間は、750分。
今振り返っても、この短期間に
そんなにお会いした方は他にいません。
面接の後、次に来てくださった日、
私はタナカ様にも移籍することを伝えました。
「新しいお店にも行くよ」
その言葉に、少しだけあった不安が軽くなりました。
体験入店中にリピートしてくださった方は、
もう一人いらっしゃいました。
その方にも移籍のご挨拶をしたかったのですが、
結局、最終日までにお会いすることは
叶わず伝えられませんでした。
その方――ヤマシタ様は、50代の経営者でした。
求めているもの
いくつもの会社を興し、不動産を多数所有する、
金銭的にかなり余裕のある方です。
私を呼ぶときはいつも、150分のロングコース。
ホテルも近隣で最もお部屋もお風呂も広く、
綺麗な部屋を指定されていました。
お風呂好きなヤマシタ様は、
私がお部屋に入ると、
まずお湯を張る準備を始めます。
そしてお湯が溜まるまでの時間は、
二人でベッドに寝転がりながら、
のんびりと過ごします。
その間に、お仕事の話やご家族のことを
話してくださいました。
「俺は運が良くて、20代の時に興した会社が
うまくいって、十分な資産もできたし、よく働いた。
今は会社もほとんど部下に任せて、
俺はたまに顔を出すだけ。
不動産を所有して、働かなくても
暮らしていけるようになってきてる。
家族には不自由させないようにさせてきたけど、
これからは、家族と一緒の時間を
大切にしていきたいんだ」
お金も、仕事も、家族も。
全てがうまくいっているように見える方でも、
こうして夜の街にやってくる。
お話に相槌を打ちながら、
(この人が求めているものはなんだろう?)
と、考えていました。
安らぎ、癒し、開放。
言葉にすれば単純でも、人によってその深さ、
角度が違います。
お客様のお話を聞くとき、頭の中はフル回転です。
なんでもあるように見えて、
それでもまだポッカリと穴が空いているような。
お金に困って働いている私からすれば、
お金があるというだけで
大抵の問題は解決するような気がしますが、
実際はそうでもないのかもしれません。
タナカ様も、あれだけ熱を放っても
満たされることはないようですから。
徐ろに……
少しして、お湯が溜まったことを確認しに
私は浴室へ向かいました。
すると、背後から強く抱きしめられ、
その時間が始まったのです。
一瞬で変わる雰囲気。
私は廊下の壁に押し付けられ、
大きな手が服の中へと侵入してきます。
唇が押し付けられ、素肌が無遠慮に撫ぜられる。
まだうがいもしていない。
服も、できれば触って欲しくない。
そう思っても、一度スイッチが入ってしまった
男性の衝動を、私は止めることができません。
されるがままに脱がされ、指先が私の胸を弄びます。
私の服を脱がした後は
自分の服もその場に脱ぎ捨て、
廊下に2人分の衣服と下着が散らばりました。
服がぞんざいに扱われることに
悲しさを感じながらも、
この雰囲気を壊す勇気が私にはありません。
背が高く大柄なヤマシタ様に合わせ、
私は一生懸命に背伸びをして唇を重ねーーー、
溢れるほどの肌の熱を感じた後、
ヤマシタ様は少し力の抜けた顔でふっと笑い、
「お風呂行こうか」
そうしてようやく、先走った汗を洗い流し、
2人で温まりました。
2026年4月15日
KANA
▼ヤマシタ様との、続きの記事《成功者の苦悩②》はこちら
▽『かな』という運命の名前を賜る、前の記事はこちら
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執筆後記です。
突然の廊下での逢瀬。
熱に浮かされ、そして……。
※以下の記事には一部に性的な描写や、成人向けの表現を含みます。
18歳未満の方の閲覧はご遠慮ください。

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