ニューヨーク州の週4日勤務パイロットプログラムに俄然注目〜人間中心の改革が世界に波及する可能性:今日のノート#589(2025-06-29)
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“分別のある人は自分を世の中に合わせる。
分別のない人はなんとかして世の中を自分に合わせようとする。
だから、分別のない人がいなければ世の中の進歩はありえない。”
(ジョージ・バーナード・ショー)
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#トーキング・コワーキングVOL .28
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ゲストは、福島県南相馬市の「小高パイオニアビレッジ」の只野福太郎さんです。
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#ニューヨーク州の週4日勤務パイロットプログラムに俄然注目〜人間中心の改革が世界に波及する可能性
働き方改革の議論が世界的に活発化する中、ニューヨーク州で注目すべき動きが始まっている。州議会では公共・民間セクター両方を対象とした週4日勤務のパイロットプログラムが検討されており、これが実現すれば、アメリカの労働文化に大きな変革をもたらす可能性がある。
ニューヨーク州の先進的な取り組み
この提案は、ブルックリン選出の民主党議員Phara Souffrant Forrest氏によって2月に提出された2つの法案(A5423とA5454)によるもの。
法案の内容は実に包括的だ。州機関向けのプログラムでは、従業員の60%以上に週4日勤務が有効で有益な機関を州予算部門が特定することが求められている。一方、民間企業向けには最大25万ドルの税額控除(または従業員1人当たり5,000ドル)というインセンティブが用意されている。←これ、大きいですよね。
この提案は彼女の実体験と、多くのニューヨーク市民との対話から生まれたものだ。「働く母親として、看護師として、そして生活のために複数の仕事を掛け持ちしてきた者として、週5日勤務がいかに疲弊し持続不可能かを身をもって知っている」とForrest議員は語っている。
イギリスの成功事例が示す可能性
ニューヨーク州の提案は、イギリスで実施された画期的な試験の成功を参考にしている。61社、約3,000人の労働者が参加したこの6ヶ月間の試験では、従業員の幸福度向上、離職率低下、収益への悪影響なしという驚くべき成果が得られた。参加企業の92%(56社中56社)が週4日勤務を継続することを決定し、18社は恒久的な政策として導入した。
この結果を受けて、ケンブリッジ大学教授のBrendan Burchell氏は「従業員の士気は向上し、生産性も上がり、年間約50万ドルの節約を実現した」と報告している。南ケンブリッジシャー地区議会では、以前は職員採用に苦労していたが、週4日勤務導入後は人材確保の問題が大幅に改善されたという。
アメリカ各州での広がりを見せる週4日勤務への動き
ニューヨーク州以外でも、週4日勤務への取り組みは確実に広がっている。メリーランド州では、モンゴメリー郡選出のVaughn Stewart議員が2023年に「Four-Day Workweek Act of 2023」(House Bill 0181)を提出した。
この法案は、企業が最低30人の従業員を40時間勤務から32時間勤務に移行した場合、最大75万ドルの税額控除を提供するというものだった。
残念ながらこの法案は、年間100万ドル近くの費用への懸念から委員会での採決前に取り下げられた。しかしStewart議員は「これは未来だ」と確信を示し、2024年の再提出を表明している。
彼は「実際の証拠として、労働時間を短くすることが必ずしも生産性の低下を意味するわけではなく、労働者は自分自身、家族、そしてコミュニティのケアにより多くの時間を持てるときに成長する」と述べている。
カリフォルニア州では、Mark Takano下院議員(民主党)が2023年7月に32時間労働週を求める法案を提出した。「人々は給料が停滞している間、より長時間働き続けている。今こそ標準労働週を32時間に短縮する時だ」と彼は主張している。
ハワイ州では2022年に州職員向けの週4日勤務を検討したが、法案は承認されなかった。一方、ワシントン州では2020年にJoe Nguyen上院議員が法案を提案し、32時間を超える労働に対して時給の1.5倍の残業代支払いを義務付けることで、実質的な週4日勤務を実現しようとした。(参考)
企業レベルでの先行事例
こうした政府レベルでの議論と並行して、アメリカの企業でも週4日勤務の試行が活発に行われている。4 Day Week Globalが主導した北米38社によるパイロットプログラムでは、クラウドファンディングプラットフォームKickstarterをはじめとする多くの企業が参加した。
オンライン子供服小売業者Primaryは、パンデミック初期の従業員燃え尽き症候群への対策として週4日勤務を導入し、「金曜日を休みにした瞬間から変化を感じた。人々は月曜日に活力を取り戻して仕事に現れるようになった」と報告している。
ニューヨークベースのソーシャルメディア企業Bufferでは、チームの91%が週4日勤務により幸福感と生産性の向上を実感しているという。アウトドア技術企業The Wanderlust Groupでは、就職応募が前年比800%増加し、離職率は2%にとどまり、昨年の売上高は前年同期比61%増という目覚ましい成果を上げている。800%!61%!スゴイ。
課題と展望、そしてコワーキング
一方、週4日勤務の実現には課題も存在する。ボストン大学社会学教授のThomas Roulet氏は、「木曜日の午後に同僚からの連絡が必要な場合、その同僚が金曜日休みで自分が月曜日休みだと、顧客は最低4日間待たなければならない」というスケジューリングの問題を指摘している。
が、そこはツールの使い方次第でどうにかなる、とぼくなんかは思うのだが、どうでしょうね。
また、同じボストン大学のJuliet Schor教授は、「国際的に展開している製造業企業では、低コストの海外労働力との競争で生き残りをかけているため、実装が最も困難になる」と分析している。政治的に保守的な団体からの理念的な反対も予想される。
ま、確かに。でも、保守的な人の言うことを聞いてると変革は起こらないし、「働き方の未来(Future of Work)」も遠のくと思うのだけれども。
ところで、ニューヨーク州のプログラムは完全に任意参加制であり、雇用主に柔軟性を提供しながら州が実際のデータを収集できる仕組みになっている。企業への強制がない点は、この法案を後押しすると見られる。
また、ニューヨーク州は進歩的な労働政策で知られるが、いきなり全面導入ではなく、パイロットプログラムとして慎重に進める段階的アプローチが評価される可能性が高い。
現在法案は委員会で検討中で、立法決定の前に公聴会が開催される予定。さて、どうなるか。
週4日勤務の広がりは、言うまでもなくコワーキングコミュニティにとって新たな機会を意味している。
従来の5日勤務制から解放された労働者は、より柔軟な働き方を求めるようになり、多様な働き方を実践できる場所として、とりわけローカルコワーキングの価値が一層高まることが予想される。
特に週4日勤務によって生まれる時間的余裕とコワーキングが組み合わさることで、「コワーキング曼荼羅」に示されるようなより豊かな働き方と生活を実現する基盤となり得る。

世界の週4日勤務への動向と日本への波及可能性
こうした週4日勤務への移行は、単なる労働時間の短縮にとどまらない。それは、労働と生活の関係性を根本的に見直し、人々がより充実した人生を送るための時間とエネルギーを確保する取り組みだ。
特に注目すべきは、この法案が成立すれば全米初の州レベルでの週4日勤務支援制度となり、他州への波及効果が期待できる点だ。そう、意外にもまだ州レベルで週4日勤務が導入された例はない。
さらに、世界へのモデルケースとなる可能性がある。結構、インパクトがあると思う。それだけにコワーキングにとっても、新しい働き方を支援する重要な転換点になる可能性がある。
となると、この動きが日本にも波及する可能性に期待したい。日本政府は2021年に初めて週4日労働制への支持を表明し、厚生労働省は「働き方改革」キャンペーンの一環として時短勤務を促進している。日本の企業の約8%が従業員に週3日以上の休日を与えている現状だが、まだまだ本格的な浸透には時間がかかりそうだ。
ちなみに、ドイツでは参加企業の73%が週4日就労制の恒久化を希望し、イギリスでは200社以上が給与を下げずに週4日就労制を導入するなど、世界的な潮流は明確だ。
また、ドバイのように季節によって就労時間をフレキシブルに変動させる先進的な取り組みも現れている。
日本でも、労働人口が現在の7400万人から2065年には4500万人に40%減少すると予想される中、働き方の抜本的な見直しは避けて通れない課題だ。
パンデミックによって働き方への認識が大きく変わった今、週4日勤務は従業員の幸福を起点とし、それが企業の成功にもつながることを実証する「人間中心の改革」として注目に値する。
当然、コワーキングコミュニティとしても、この変革の波を捉え、新しい働き方を支援するプラットフォームとしての役割を果たしていく必要がある。週4日勤務は、コワーキングが目指すサステナブルなまちづくりと働き方の実現に向けた重要な一歩となるはず。
週4日勤務でも生産性は変わらないという実証データが示すように、だったら4日でいいじゃないか、という合理的な判断が世界中で広がっていくことを期待したい。もちろん、ここ日本でも。
ということで、今日はこのへんで。
参考リンク:
(トップ画像:Jan Folwarczny)
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