仕事と育児を切り離すのではなく同じ屋根の下で共存し繁栄することが真の解決策であることを証明している世界のコワーキング:今日のノート#670(2025-09-18)
#今日のBGM
#今日のコトバ
"SFにクズ作品があまりにも多いことは認めるし、大変残念なことである。しかし、ゴミがどこにもないことほど不自然なことはない。"
(シオドア・スタージョン)
#「間借りコワーキング」しませんか?
カフーツでは、コワーキングの運営をやってみたい人にスペースをお貸ししています。
「間借りコワーキング」とは、誰か、仮にAさんがカフーツの当番をするのではなくて、Aさんのやりたいコワーキングを日頃はカフーツと呼んでいるスペースを使ってAさんが運営する、ということ。
つまり、その日はカフーツではなくて「Aさんコワーキング」になる。ピンと来たと思いますが、そうです、シェアキッチンのコワーキング版です。
詳しくはこちらを。
その「間借りコワーキング」をやりたい方を募集しています。フリーランサーや複業をお持ちの方、シニアや子育て世代の方、さらに現役高校生、大学生も大歓迎。一応、面接して何をおやりになりたいのかはお聞きしますが、どなたでも応募いただけます。
まずは、下記までメール、またはメッセンジャーでお問い合わせください。
メール → ito@cahootz.jp
メッセンジャー → https://www.facebook.com/kanzan10to9
#ペンクラブにご参加ください
コワーキングプレスでは、全国各地のコワーキングスペースとその周辺の人たちや出来ごとをリポートしていただく「コワーキングプレス・ペンクラブ」のメンバーを募集しています。
あなたの町のコワーキングのこと、旅先のコワーキングのこと、そこで出会った人たちのこと、気づいたこと、考えたこと、自由に書いてください。
詳しくはこちらを。
#トーキング・コワーキングVOL .37
次回のトーキング・コワーキングは、9月19日(金)の19時から。
ゲストは、東京都世田谷区の「コワーキングスペース100work」を運営されている吉澤 卓さんです。
参加費無料。
時間になりましたら、以下のYouTubeにアクセスください。
ぜひ視聴ください!
#仕事と育児を切り離すのではなく同じ屋根の下で共存し繁栄することが真の解決策であることを証明している世界のコワーキング
GCUCの Liz Elam氏が、仕事と育児の共存がワークライフバランスの危機を解決できるか、について論じた最近の記事を紹介している。これがとてもいい記事なので共有したい。
その前に、まず、Elam氏のLinkedinでの投稿を紹介しておく。
Scott Gallowayが経済問題の解決策は普遍的な保育制度だと語るのを聞いていたところ、コワーキングと保育について深く考察したこの記事に出会った。これはGCUCで12年以上議論してきたテーマだ。何年も前にATX(※テキサス州オースティンのまちと思われる)でスペースを構えた時、私は意図的に保育園、ジム、小売店、レストランの近くに場所を選んだ。メンバーにとって非常に便利で、子供を預けた後に立ち寄る人も多くいた。
ここで、いきなりガツンとアタマを殴られた。そうか、コワーキングの「中に」保育施設を作らずに、最初から保育園の近いところで開業するという選択をしたのか。言われてみれば確かにそのほうが話が早い。
またまたアメリカの話が出てくるが、働く女性の仕事と育児の両立という課題は世界中で共有されている。母親である女性たちが不当に扱われる社会は、決して「他所の国の話」ではない。
で、その記事だが、タイトルに出てくる『セヴァランス』の説明を先にしておく。
これはAppleTVのドラマで、仕事と私生活を完全に切り離すことを目的とした企業の人事制度を描いている。従業員は、仕事中の記憶と私生活の記憶を分離する手術を受け、業務中は仕事の記憶のみを保持し、業務外では私生活の記憶のみを保持するという設定。この設定を通じて、労働と個人のアイデンティティ、自由意志についての哲学的な問いを投げかけている(らしい。見てないけど)。
記事中には、コワーキングと育児というテーマに取り組んでいる世界のコワーキングが紹介されているので、興味ある方はURLをリンクしておくのでウェブサイトをチェックされたい。
筆者はGeorgia Norton氏。
では、その記事を読みやすくするために、適宜、段落を増やして、ノーカットで訳して貼っつける。
Z世代に必要なのは『セヴァランス』ではない——仕事と育児のための共有スペースだ
Z世代の最年少層がまだ高校生である一方、最年長層は労働人口においてベビーブーマー世代を上回る規模となった。この新世代は自らの要求を躊躇なく表明する——より良いワークライフバランス、真の人間関係と積極的な影響力を伴う意義ある仕事を求めているのだ。
しかし、今日の雇用市場でそれは可能だろうか?労働はますます「貪欲」で搾取的になりつつある一方で、子育てや介護の費用は高騰し、利用も困難になっている。強固な社会的支援がなければ、次世代の労働者が求める柔軟性は手の届かないものとなる。
フリーランスやギグ経済が2027年までに主流の雇用形態となる見通しであるにもかかわらず、リモートワークの拡大は企業側の反発を招き、従業員を職場に縛り付けようとする動きにつながっている。この変化は、米国で深刻化するジェンダー格差と衝突している。特に母親である女性たちが、オフィス復帰政策によって労働市場から締め出されつつあるのだ。
一部の若い労働者にとって、私生活と職業人としての自分との隔たりは埋めがたいものと感じられる。彼らはAppleTVの受賞作『セヴァランス』が描くSF的な解決策に憧れる——脳内インプラントで職場の役割と家庭での人格を切り替えられるという設定だ。
職場メンタルヘルスプラットフォーム「アンマインド」が調査したZ世代のほぼ半数が、この提案を受け入れると回答した。しかし『セヴァランス』はユートピアではなく警告だ。
登場人物たちは、家族関係や友情によって、労働と生活の技術的ファシズム的な分離さえ不可能になることを学ぶ。実際、仕事とケアを互いに隔離するのではなく、両者が共存して繁栄することを許すことこそが真の解決策なのではないだろうか?
ますます現実味を帯びてきた解決策の一つが、コワーキングスペースと保育施設の融合である。近隣の親たちのためのワークスペースと、その子供たちのための幼児保育・教育施設を同一建物内に配置するというシンプルな仕組みだ。
現在、世界約4万カ所のコワーキングスペースのうち約100カ所でこの共用化が実現している。私の調査によれば、こうした環境では保育従事者がより公平な賃金と価値を認められ、力を与えられたと感じ、家族はより調和と回復力を報告し、共用スペースは地域社会や市民活動の活性化を支えている。
中には健康支援や教育支援などの家族サービス提供者とスペースを共有し、活気ある地域ハブへと変貌を遂げている事例もある。
もし、仕事と育児を互いに切り離すのではなく、両者が共存し繁栄することを許すことが真の解決策だとしたら?
その可能性を探るため、私はBetter Life Labにおいて、ソーシャルエンタープライズの起業家や創設者、家族、そしてこうした環境に関わるスタッフ30名にインタビューを行った。これらの対話と並行して、世界中の100以上の共同作業環境を監査し、主要な政策専門家とも話し合った。
そこで明らかになったのは、「キャリア対育児」や「対面勤務対リモート勤務」といった二項対立を超え、親と保育提供者自身が実際に全員にとって機能する解決策を構築してきたという事実だ。すなわち、仕事と育児を同じ屋根の下で「共存させる」ことである。
COVID-19パンデミックは、仕事と子育てに対する従来のアプローチを覆す転換点となった。それ以来、コワーキングスペースは、これらの領域を分離するのではなく統合することで双方の環境を改善できるモデルを次第に確立してきた。
ニュージャージー州モントクレアの「Bloom Child Care and Coworking」や、パンデミック中に息子と私が利用したロンドンの「Playhood」といったコワーキングは、確立された柔軟な働き方を実践するプロフェッショナル層を対象としている。
両施設とも創業者の自宅を拠点とし、ワークスペースと自然中心の幼児保育・教育を組み合わせ、少数の地元家族に提供している。
パンデミックを契機に他のモデルも登場した。カリフォルニア州サンディエゴの「Yalla Space」、ジョージア州アトランタの「Heinsch House」、イリノイ州とウィスコンシン州の「Le Village」などである。
一方、ワシントン州タコマの「The Co-Lab」、ロードアイランド州の「Haven Collection」、ベルリンの「JuggleHub」、トロントの「The Workaround」(現在は閉鎖)といったスペースは、ソーシャルディスタンシングの規制を乗り切り、相互扶助のコミュニティを築き上げた。
こうしたスペースは授乳など育児の側面をより円滑にするが、その利点は利便性だけにとどまらない。創設者たちは、コミュニティの絆がこれらのプロジェクトの要であると強調する。
「パンデミックを共に乗り越える中で支援の文化が定着し、自分自身や周囲の状況の一部を隠したり軽視したりする必要がなくなった」と、Playhood創設者のKaren Partridgeは語った。
小規模で共同設置された環境は、保育従事者にとってもより効果的だ。彼らは概して過小評価され低賃金で、主に有色人種の女性で構成されている。こうしたモデルでは、彼らの仕事は可視化され、尊重され、より良い報酬が得られる。
ノースカロライナ州ケアリーにある女性向けコワーキングスペース兼保育施設「Blush」では、Larissa Christieが保育業務に従事しながら、自身の教員免許取得のために同スペースを利用していた。「保護者の方々は私の同僚のように感じられます」と彼女は語った。
私が訪れた共同保育スペースでは深い信頼関係が感じられ、従来の保育施設に比べて形式張った階層的な力関係が少なかった。
デモインの「Creative Habitat」のような施設では、保護者が交代で参加し、適切な保育者対児童の比率を維持している。メリーランド州ボルチモアでは、Tammira Lucasが「The Cube」を立ち上げ、地元の母親たちに単にビジネスを行う場所を提供するだけでなく、子どもが施設内でケアされていることを知りながら成長し交流できるプラットフォームを提供している。
これは単なるオフィススペース以上の存在へと発展した。「私たちが地域社会に奉仕し雇用機会を提供する日々こそが、力を与え高揚させる空間を創出するという私たちの決意の証です」とLucasは語った。
スコットランドのエディンバラからギリシャのアテネまで、このモデルは営利・非営利双方の事業を通じて広がりを見せている。
しかし、社会的影響は大きいものの、こうした施設の多くはクラウドファンディングに依存し、実現すれば、経済的理由で利用できなかった家庭にもサービスを提供できるはずの助成金や公的資金の確保に苦戦している。
公的・民間投資の拡大がなければ、仕事と育児、コミュニティ、ウェルビーイングの統合がもたらす恩恵は特権階級のみに留まり、仕事と家庭の両立における公正さを示すこれらの取り組みの進展は、数年分後退する恐れがある。
多くの人が仕事に疎外感を抱き、制度に見捨てられ、親や介護者として支えられていないと感じる今、こうした空間は構造的変革の可能性を垣間見せてくれる。
育児が後回しにされるのではなく、仕事と家庭のバランスを取る生活の基盤となる時、何が可能かを示しているのだ。新たな労働力のニーズに応えるためには、仕事と育児が共存する物理的な場所を再構想し、投資する必要がある。
こうした集いの場は、職場内外におけるジェンダー・関係性・人種的不平等を解消し、「オフィス復帰」の要請に対抗する力となる。仕事と家族と育児の調和を実現し、Z世代が求めるバランスを創出するためには、利益や生産性と同様に育児とつながりが重視されるスペースがさらに必要だ。
久しぶりに極めて明晰、かつハギレのいい論考を読んで、フ〜ッと息をついた。
「オフィス復帰政策」というのは例の「RTO(オフィス勤務の義務化)」のこと。
そのせいで特に母親である女性たちが、労働市場から締め出されつつあるというのは、なんでそうなるのかどうも解せない。ちなみに他の記事では、「RTO」は体のいい、そしてコストが抑えられる首切りだという論考もある。それも言えてる。
パンデミックが変えたのは働き方だけではない。いや、その働き方が変わったために、育児の方法も変わらざるを得なくなっている。同時に、育児の仕方で働き方も変わる、ということが世界中のコワーキングで起こっている。
そして、こうした仕事と育児を融合するコワーキングが「地域社会や市民活動の活性化を支えている」ということを、ぼくも声を大にして訴えたい。
ここで注意を払っておきたいのは、「親と保育提供者自身が実際に全員にとって機能する解決策を構築してきた」というところ。
サービス提供者だけに頼るのではなくて、親もその課題に一緒になって取り組んだ、ということが大事。それでこそ、コワーキングだ。
それが証拠に、「創設者たちは、コミュニティの絆がこれらのプロジェクトの要であると強調する」とある。そう、コワーキングの根幹はやっぱりコミュニティだ。
保育従事者の仕事が可視化され、尊重され、より良い報酬が得られる、という点も貴重なインサイト。彼らがいなければ、こういうことは実現できない。サラ〜と書いているが結構重要な指摘だと思う。保育業務に従事しながら、自身の教員免許取得のためにスペースを利用していた、というのはいい話。
そして、資金面。こうした施設の多くがクラウドファンディングに依存し、助成金や公的資金の確保に苦戦している、という事実は、結構、見過ごされていると思う。ただし、それは育児を行うコワーキングに限った話ではない。
コワーキングを単なる作業場を提供する不動産業としてではなく、地域住民のさまざまなカツドウの拠点であり、そこから生み出される価値が地域に循環することでサステナブルなまちづくりに貢献しているのだとするならば(そうなのだが)、しかるべき公的支援、ないしは民間投資があって当然だとぼくなんかは思っている。
それには、コワーキングの本来の意義と本質的価値を周知しなければならない。そう思って、毎日、コワーキングのことを書いている。
まだまだ先は長い。長いがやるしかない。
ということで、今日はこのへんで。
(トップ画像:Our Pod Family)
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