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【S6|外伝】戦略とは、戦いを略すことである

「戦略」という言葉を聞くと、
多くの人は
「戦い方」を思い浮かべる。

私は、少し違う意味で使っている。


戦略とは、
戦いを略すことだ。

この言葉を考えるとき、
私はいつも
ある試合を思い出す。


1994年、ラスベガス。

45歳のジョージ・フォアマンが
26歳の現役王者ムーアーに挑んだ
ヘビー級タイトルマッチだ。

フォアマンは、
とっくにピークを過ぎた選手だった。

誰もが
「もう無理だ」と思っていた。

しかし彼は勝つ。

それも
KOで。


後に語られた話を知って、
私は驚いた。

試合前のトレーニングを彼は撮影させなかった。

その間に彼がやっていたのは、
最後のラウンドまで耐える体力を作ること。

若い王者と
打ち合うつもりはなかった。

耐える。
待つ。
そして、打つ。

戦い方を変えたのではない。
戦いそのものを減らした。


デザインも、同じだ。

私が最初にやることは
だいたい決まっている。

やることを考える前に
やらないことを決める。

それだけで
仕事の半分は終わっている。

もう一つ。

戦略は
自分を知らなければ作れない。


フォアマンは知っていた。

若い頃の自分ではないこと。
だが、まだ勝てること。

だから
戦いを設計できた。

戦略とは、
戦いを略すことである。

それは
無駄な衝突を減らす
設計だ。

デザインもまた
そのためにある。


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