【S4|未来感の編集】AIは新しいのか?——ファッションとの類似性 #4
第4話 人間の欲と機械の欲──誰が嘘をつく?
1.欲の設計者
私は、AIの推薦システムを眺めていた。
「あなたにぴったりの商品です」
「これも好きかもしれません」
その言葉に、ふと背筋が冷えた。
いつから私は、“欲”を外部に委ねるようになったのだろう。
AIは欲を学び、欲を再生産する。
だが、その根には、人間が埋め込んだ「欲の設計図」がある。
つまり、AIの欲は人間の欲のコピーだ。
私たちは、自分の欲望を鏡写しにして眺めている。
2.欲望の構造
私は思う。
欲とは、空白を埋めようとする衝動だ。
ファッションは、
「まだ持っていない自分」を着せようとする。
AIは、
「まだ見ぬ快楽」を提示しようとする。
どちらも、欠落を埋める技術。
けれど、それが過剰になると、
人間の内側は空っぽになる。
欲が、欲を模倣しはじめるのだ。
AIが提案する“あなたらしさ”は、
あなたのログから抽出された残響にすぎない。
つまり、「欲のアルゴリズム」とは、
人間の空虚を再利用する仕組みだ。
3.シーラカンスの無欲
シーラカンスは、
深海でただ、呼吸している。
何かを手に入れようとも、
誰かを真似しようとも思わない。
彼女は、“足りている”という状態の中で生きている。
欲望の不在。
それは、停滞ではない。
満たされた設計。
AIが“最適化”を追いかけるほどに、
シーラカンスの静けさがまぶしく見える。
私は悟る。
欲を捨てることは、デザインを始めることだ。
4.嘘をつくのは誰か
AIが嘘をつくのではない。
欲を仕込んだのは人間だ。
ファッションの嘘も、
AIの嘘も、
根は同じ。
私たちは、「足りない」と思い込むことで、
文明を回してきた。
だからこそ、
“足りている”という概念を恐れている。
AIは、その恐怖を最適化してくれる。
そして、私たちは安心する。
まるで、嘘を必要とすることが、
人間らしさであるかのように。
5.結び──欲を脱ぐ
シーラカンスは、何も欲しがらない。
だから、嘘をつく必要がない。
私は決めた。
欲を脱ぐ。
足りているというデザインを信じる。
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