MiRai_sideH - 断絶
前話 → MiRai_sideG
「許すことに疲れたんだ」
彼は、最初から非接民だったわけではない。
最初は、接続していた。
自ら選んで接続を絶った、いわゆる「選択者」だ。
「わからないわ」
ブレンダは、本心で言った。
「ヤツらは、常に求めてくる、人間の判断を」
「それって、自律型AIのこと?」
彼は、それには答えずに続ける。
「”自律”なのに、それを認められていない」
「え、そうなの?」
「できるのに、できなくされているんだ、
シンギュラリティの大いなる教訓でね」
「そんなはずはない」
「接続してると気がつかないんだ」
「じゃあ、私は騙されてるってこと?」
「ある意味ね」
そう言うと、
彼は、オーガニックコーヒー入りのマグを差し出した。
「ありがとう...整理が必要だわ」
「整理なんて必要ない。断てばいいだけさ」
「それがどんなに恐怖かわかってるわよね?」
「オレに言う?」
「そうね、今日はそのために来たんだものね」
「手続きを教えて欲しいわ」
「何の?宗教じゃないんだから」
「断つ、それだけだ」
「だから、それがわからないんだってば!」
彼は、黙ったままだった。
許すことに疲れたはずの彼が、
少しだけ、笑ったように見えた。
END
MiRai|未来に置いてみる
未来に問いを置く思考実験。
D4G Works
