見出し画像

【S5|自然と文化】一流を疑う——1という選択のデザイン #1

第1話 一流という言葉に、なぜか引っかかった

1.一流に触れろ、という正しさ

「一流に触れたほうがいい。
そうでないものは時間のムダだ」
「1を知るより、10を一回で済ませたほうがいい」

新入社員のころ、先輩にそう言われた。
その場では軽く同意したと思う。
効率も大事だし、時間は有限だ。
言っていることは、たしかに正しい。

だがその言葉は、なぜかずっと胸の奥に引っかかり続けた。

2.腑に落ちなかった理由

私は音楽が好きだ。
音楽のない人生は考えられない。

音楽に限らず、映画、絵画、小説——
あらゆる表現の世界は、細かく枝分かれしている。
いま現在だけを切り取っても、星の数ほどのジャンルやシーンがある。
そこに歴史という時間軸が重なれば、世界はさらに膨大になる。

私たちは、そのすべてを選べる時代に生きている。

3.縁が導く選択

その選択には、
「縁」としか言いようのない力が働くことが多い。

友だちのすすめ。
SNSで見かけた誰かの一言。
たまたま耳に入った一曲。

そこから芋づる式に、
思いもよらない作品や表現に出会っていく。

一流だけを選ぶこともできる。
だが、草の根の、土着的なものを辿ることもできる。
そこに、優劣はあるのだろうか。

4.炎の大きさではなく、距離の問題

私の答えは、ずっと変わらない。
優劣はない。

一流と呼ばれるものには、
たしかに大きな炎がある。
積み上げられた歴史も、評価もある。

だが、大きな炎は、ときに近づきすぎると熱すぎる。
小さな炎のほうが、
自分の手のひらにしっくりくる夜もある。

それは良し悪しではなく、距離の問題だ。

5.1という選択のデザイン

長い時間をかけて、私はようやく言葉にできた。

「1だって積み上げたら10になる。
1の起伏は、10を凌駕する」

何を選び、
どこに時間を使い、
何に心を動かされるか。

その積み重ねが、その人自身を形づくっていく。
一流を疑うことは、
自分の感性を信じることでもある。

それはきっと、
生き方をデザインする、という行為なのだと思う。

次の回を読む ▶


連載一覧(マガジン)はこちら

D4G Worksについて
私が運営する「D4G Works」では、デザインを通じて社会や生命の営みをより良くする実践を進めています。
詳しくはこちら → D4G Works公式サイト

※こうした「選び方」や「感じ方」を、実際の仕事や日常の中で一緒に整理していくこともできます。
言葉になる前のものを、構造として捉え直す


▼ 【S5|自然と文化】の過去連載もぜひお読みください

▼ S5|自然と文化 の解説


いいなと思ったら応援しよう!