【S1|形のルール】私がルアーを作る理由──形が生まれる前の話 #4
第4章|ものづくり=デザインではない
1.ものづくりは、答えを生む行為だと思っていた
長いあいだ、
私は「ものづくり」こそが
すべての起点だと思っていた。
削れば形が生まれ、
作れば答えが出る。
そう信じていた。
だが、
ある地点から違和感が生まれ始めた。
手を動かしても、
何かが決定的に足りない。
完成しているのに、
どこか届いていない感覚。
2.形ができても、終わらない問い
ものは完成する。
だが、問いは終わらない。
「これは、どこに置かれるのか」
「誰の時間の中に入るのか」
「この形は、何と関係を結ぶのか」
これらは、
削っている最中には現れない問いだった。
形ができた“あと”に、
遅れて立ち上がってくる問い。
3.視点が、手元から離れた
そのとき、
私は初めて
手元から視点を外した。
形を見るのではなく、
形が置かれる環境を見る。
物そのものではなく、
物が引き起こす振る舞いを見る。
ここで初めて、
「デザイン」という言葉が
現実の感覚として立ち上がった。
4.デザインは、距離を取る行為だった
ものづくりは、
対象に近づく行為だ。
一方でデザインは、
対象から距離を取る行為だった。
好き嫌い。
得意不得意。
自分の手癖。
それらから一歩離れ、
全体の構造を見る。
この距離感こそが、
ものづくりとデザインを
分けていた。
5.それでも、手放しきれなかったもの
ただし、
私はものづくりを
捨てたわけではない。
むしろ、
一度距離を取ったからこそ、
もう一度、
「手に戻る理由」が生まれた。
次の章では、
私が再び手の中に戻り、
そこで何を確かめていたのかを
話したい。
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