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【S2|生命とデザイン】生物とのコミュニケーション──デザインの視点から #2

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第2回 音と模様は会話か、それともコードか?

声や模様に“意思”を読み込むのは人間だ。だがそこには確かにルールがある。

1.植物が交わす“会話”

近年、「植物は会話している」という研究が話題を集めている。
土壌を介して菌根菌がつなぐネットワーク──通称「ウッド・ワイド・ウェブ」。
害虫に襲われた木が隣の木に危険信号を送る、そんな実験結果はとてもキャッチーで説得力がある。

しかし私は、そこに「会話」という言葉が当てはめられることに違和感を覚える。
人間の言語的コミュニケーションに準えているだけで、実態は「仕組みの発露」ではないか。
あくまで物質のやり取りであり、そこに「意思」を読み取っているのは人間の側なのだ。


2.動物が交わす“音”

イルカやクジラは特殊な周波数で音を交わす。
鳥は歌い、虫は翅をこすり合わせ、魚は群れの動きで合図を送る。
こうした現象は「会話」と表現されがちだが、厳密には人間的な対話ではない。

それはむしろ 音=信号 であり、仲間同士の行動を同期させるコードだ。
リズム、周波数、反復や変化。
音は意志表現というよりも「秩序を生み出すパターン」として機能している。


3.模様に宿る“メッセージ”

動物の体表に刻まれた模様も、同じように「コード」として捉えられるのではないだろうか。
シマウマの縞、チーターの斑点、蝶の羽の幾何学模様。
環境へのカモフラージュという説明はよく耳にするが、私はそれだけでは語り尽くせないと思っている。

実際に私は別の連載「白黒の謎 – 生物に宿るデザインコード」で、白黒の模様が環境適応やカモフラージュだけでは説明できない「根源的なかたちのルール」である可能性を探っている。
模様は「目に見える言語」であり、仲間や捕食者に対する“コード”として機能する。
しかもその出現はDNAや遺伝子の説明を超えて、もっと原始的な「かたちのルール」に従っているのではないかと感じている。


4.デザインとしての“コード”

声や音、模様や動き──。
これらを「意思の表現」と見るか「デザインコード」と見るかで解釈は大きく変わる。

デザインの世界でも、色や線、余白の配置は作者の意図を超えて受け手に作用する。
意思というより「仕掛け」や「ルール」として働くのだ。
生命における音や模様も、同じく「受け手に作用する秩序」として存在しているように思う。


5.次回に向けて

人間は生物の声や模様を「会話」や「表現」として翻訳してきた。
しかし本当にそれだけなのだろうか?
次回はさらに踏み込み、人間が生物の声や模様をどのように“翻訳しすぎてしまっている”のか を問い直してみたい。

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