【S4|未来感の編集】AIは新しいのか?---ファッションとの類似性 #2
第2話 繰り返す嘘──トレンドとアルゴリズム
1.30年前のファッション誌を開く
30年前のファッション誌を開くと、
そこに写っていたのは、
いまの街を歩く人々と、ほとんど変わらない服だった。
ワイドパンツ。
アースカラー。
オーバーサイズのコート。
「2025年秋冬の新作!」
そんな見出しを見た瞬間、
私は déjà-vu を感じた。
その週、AIの発表会でも同じ感覚に襲われた。
「新しいモデルです」と掲げられたスライドの中に、
私は、90年代の論文を見た。
私は笑った。
人間は、同じ“新しさ”を何度でも信じる。
2.トレンドは、記憶のリセット装置
30年という時間は、
「忘れる」にはちょうどいい長さだ。
かつて見たものを、
もう一度“新作”と呼ぶためのサイクル。
ファッションもAIも、
過去の意匠や理論を、
リネームして再流通させる。
「知らない」と感じるほどに、
時代はリブートされる。
新しさとは、記憶の欠落が生む幻想。
トレンドは、
人間の忘却を前提にしたデザインだ。
3.シーラカンスは円を描かない
シーラカンスは、
深海で静かにヒレを動かしている。
3億年、同じ形のまま。
それは停滞ではなく、循環の拒否だ。
トレンドが円を描くなら、
彼女の時間は、円の外へ滲む線。
私は思う。
「変わらないこと」は、最も急進的なデザインだ。
彼女は繰り返さない。
だからこそ、
時代に取り残されることもない。
4.アルゴリズムを脱ぐという選択
AIもファッションも、
更新という名の反復を続けている。
だが、デザインは違う。
デザインとは、
円を抜け出す思考だ。
それは、
一度きりの形を信じること。
二度と同じ嘘をつかないこと。
アルゴリズムを脱ぐこと。
トレンドを脱ぐこと。
それが、私の“進化しない選択”の始まりだった。
5.結び──繰り返す嘘から抜け出す
シーラカンスは言う。
「繰り返すことをやめた者だけが、生き残る。」
ファッションもAIも、
円の中で回り続けている限り、
“未来”を口にする資格はない。
私は決めた。
円から離れる。
繰り返さないデザインを選ぶ。
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