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巻き戻し(構造体N)#3

彼女から返信が来た!
アイコンに通知マークがあり、急いでメッセージを開く。

長い

短い。この短い返事は何か。練り上げた完璧なメッセージを彼女に送った、その返事が「長い」。どう解釈すれば良いのか。ひょっとして、文章が長いのか。そう思って、送った文章を読み返した。

ほんまやな

そう返した。確かに長い。彼女は、文章の量と重さにやられているようだ。でも、そんな人だったろうか?そう思いながら、方向転換する。

俺は長い返事は求めてへんよ。一言、「尚行、もう本当に仕方ないね」って言ってくれたら。そしたら、W杯で得点した上田綺世みたいに顔を手で覆って、感動に浸って瞑想する。綾が好きだった城彰二は太ってしまったけれど。

返事は珍しく、早く返って来た。

ナオユキ、モウホントウニシカタナイネ!

城彰二が効いた。良い方にも、悪い方にも。
照れ隠しの中で言ってくれたのか、考えるのが面倒になったのか。外国人のカタコトのようだと思いながら、双方大きく滑った気がして、これはオウンゴールか?と聞いた。

オフサイド

相変わらず短い。端末の向こうに、本当に人間がいるのだろうかと思うが、AI時代にこの雑さは却って人間だ。私がパスをもらう前に、綾の陣地に焦って攻め込み過ぎだと言うメッセージ。その理解を伝え、ここまでやり取りができた幸運を感じながら、

「綾は元気にしてんの?」

と、聞いた。

「元気だけど、長いし、多いし、オフサイド気味なので冷静に。次はイエロー出すからね」

もう、これで十分だった。

彼女の反応一つ一つに、懐かしさは感じない。私のメッセージも、「こんな人だったかな」と感じる内容ばかりだろう。何せ、十五年経っているのだから。

時間を巻き戻したかったのではない。
今ここから、ゼロから知りたい、つくりたいと思っているのだ。

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