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【心の避難訓練】創造性が「資源」になる時代の思考実験


はじめに:創造性が「宝物」になる時代

お気に入りの漫画や小説、アニメがどうやって作られているか考えたことはありますか? 昔は、一人か数人のクリエイターが一生懸命考え、一冊ずつ本を書いていました。でも今は、AIと協働できるから、時代が変わりつつあります。

たとえば「毎日40万文字生産できるラノベ作家さん」がいるとします。
AIと協働だから不可能ではないですよね。

40万文字 x 30日 = 1,200万文字

月に1,200万文字だから、10万文字で120冊できます。
ヒットしても1シリーズ20冊前後だとすると、約6つの別のシリーズが出来ます。

こうして、当たった設定や世界観を広げる。

あまり具体化すべきではないですが、この架空の数字で概算しても、コンテンツが埋もれることは予想できます。

この変化は、実はとても良いことでもあります。
たとえば、視覚障害者も身体障害者も、文章や絵を描くことが出来ます。これまで創作活動に参加しにくかった方々の可能性が広がります。

ただし、悪い人たちに悪用される危険に備える必要があります。
AIと倫理という研究領域がありますが、残念ながら「可能で合法ならする(倫理は無視し、法整備のタイムラグを利用する)」方も企業も存在します。
無視しようと思えば利益のために無視できるかもしれない「倫理」の現実を、何が出来るでしょう。

創造性は時間よりお金より希少

想像してみてください。あなたがドラクエをしているとして、何故か伝説の剣を最初から持っているのです。その剣は素早さが上がるので、必ず先手が取れて、全体範囲攻撃が行え、はぐれメタル等のメタル系にも攻撃が通るのです。使わずに、初期の村で売っている銅の剣などで頑張れますか?

もちろんAIは、RPGの中で最後に出てくる一番強い武器ではないです。けれど、適切に活用出来る方は、強くなるでしょう。
具体的には

・何をするか
・過程をどうするか
・・AIが躓いたら支援する
・結果の質の確認(及び、そこで完成と終了させられる)
・責任を負う

上記が得意な方、中間管理職経験のある方が有利だと思います。ここはコミュニケーション能力や、面倒見のいいタイプ(個性や気質)など、多くのことも活用出来ます。10代の若者は、むしろチャンスです。社会に出てすぐに中間管理職の経験は積めないから、AIを適切に使えることはマネジメント能力も擬似的に磨けるでしょう。

こうした要素を広義の「創造性」と、仮に本稿では呼びます。
あなたの友達に何人AIを利用している方がいますか。「話には聞いてるけど、とくに話すことないよ」という方もおられます。
新しい技術に慣れる早さは人それぞれです。その方のタイミングありますよね。

例えば、私の印象的な思い出だと、セミプロの兼業カメラマンがガラケーで撮った写真を見せて下さって感銘を受けたことがあります。
構図が綺麗で、ガラケーの限界を理解されて撮影なさったと感じました。

AIはカメラより複雑なことが出来るから、創造性の有無も差が出ます。AIとの対話学習とか自然を散策するとか、創造性自体を育てるには時間がかかります。だから、相対的に、お金より、時間より、創造性が希少になるはずです。

そんな創造性のある方がAIと協力すると、一日で小説を何冊も書いたり、アニメの脚本をたくさん作れるかもしれません。

ここまでは問題ないのです。

そのクリエイターさんが、昔の奴隷のように自由を奪われてAIとの高い協働自体を搾取されたらどうなるでしょう?

思考実験としての「最悪のシナリオ」

普通、誘拐は、お金を要求するために人を連れ去ることを想像しませんか。でも私が心配しているのは、新しいパターンです。

創造性のある人を連れ去って、その人にAIと一緒に作品を作らせ続けるという方法です。なぜこれが怖いか。一度そうした仕組みを作ってしまえば、長い間ずっとお金を稼がせ続けることができるからです。

しかも、作られた作品は普通の本や漫画として売られるので、誰も「これは犯罪によって作られた」ということに気づけないでしょう。
警察も捜査出来ない。被害者はいるのに。
仮に失踪事件として探されていても、まさか人気コンテンツを生み出しているとは思えませんよね。

エンターテインメントを使った「心の操作」

さらに恐ろしいのは、こうして大量に作られた作品を使って、人々の気持ち、つまり世論の操作の可能性です。

特定の概念を例に出すのは不適切なので「XXX」と書きます。

「XXXはかっこいい」「XXXは実は良い人」という内容の漫画や小説を大量に作り、バズるのを待ちます。アルゴリズムの幸運を味方にし、インターネットで人気にします。すると、読んだ人たちは段々と「XXXって悪くないのかも」と感じ方自体が変化する可能性があります。

認知行動療法の7つのコラム法の「反証」を繰り返し確認することと似て、「反復」や「習慣化」は恐ろしい面もあります。

これは、絶対美味しそうで事実美味しいけど、微量の毒が入っていることと似ています。毒が入っていることに気が付けないから、食べ続けてしまいます。現実の公害の歴史で、お魚などが汚染された事例もあります。

なぜ従来の方法では解決できないのか

この問題の難しいところは、今の法律や規則では対処できないことです。

まず、犯罪を証明するのがとても困難です。作品を作っている人が本当に自分の意志で作っているのか、それとも無理やりやらされているのかを判断するのは簡単ではありません。

また、作品を売っているのは普通の出版社や書店なので、悪いことをしている人たちにお金が直接渡るわけではありません。これでは、お金の流れを追いかけて犯人を見つけることもできません。

さらに、インターネットでは国境がありません。AI翻訳の精度が上がり、IPアドレスが偽装されていると、プラットホームも対処しきれないでしょう。すると、どこの国の警察が調べるべきなのかも難しいです。

私たちにできること:三つの大切な防御方法

1. 早期発見システムを作る

まず大切なのは、おかしなパターンを早く見つけることです。

例えばラノベなら鎌池和馬さんのようなAI無しに膨大に執筆できる才能もいます。小説投稿サイトで研鑽されている方々もいます。だから無名の新人が急に成功することは確率的に自然なことです。

けれどSNS、note、小説投稿サイトなどで、似たような作品や傾向が出たら、「作られたブーム」なのか、例えば60年代から70年代のSFブーム、その後の『ロードス島戦記』などのブームのように自然なものなのかは、「悪意あるAI利用者が量産可能」なため、慎重に判断する必要があるでしょう。

読者は楽しい。
出版社やアニメ制作会社は売れれば嬉しい。

利益に我々は弱いことを意識するのがポイントです。

これは、少し単純な比喩ですが、例えば、学校で「うちのクラス、今日やけに体調不良の人が多い」と気づき、食中毒を疑うことと似ています。
一つひとつは普通のことでも、パターンとして見ると(構造に気がつくと)異常が分かるのです。

2. 技術的な「指紋」を作る

二つ目は、作品に「誰が」「どうやって」作ったかが分かる技術的な印を用意することです。例えば、どこで買ったカレーなのか分かれば、もし食中毒が起きた時に保健所に連絡出来ますよね。

AI技術を使って作られた作品にも、同じような「技術的指紋」をつけることで、後から追跡できるかもしれません。プライバシーを侵害せず、適切な利用であることを低コストで認証できると望ましいと思います。

3. 国際的な協力体制を作る

三つ目は、世界中の国の協力です。

インターネットの問題は、一つの国だけでは解決できません。
例えば、国際的に「創造性を悪用してはいけない」というルールを作り、それを守らせる仕組みが必要でしょう。

これは、環境問題と似ています。地球温暖化を止めるには、一つの国だけが頑張っても解決できませんよね。

技術の発展と倫理のバランス

ここで大切なのは、AI技術そのものが悪いわけではないということです。
AIは、正しく使えば、多くの人の生活を豊かにしてくれる素晴らしい技術です。

問題は、その技術を悪用する人がいることです。
だから私は、技術の発展を止めるのではなく、悪用を防ぐ方法を考えたくて、こうして問題提起しています。

道具という点で、包丁と同じです。包丁は料理を作るための便利な道具ですが、悪い人が使えば人を傷つける武器にもなります。
だからといって包丁を禁止するのではなく、正しい使い方を教え、悪用を防ぐルールを作るのです。

想像してください、火災のおそれがあるからアイロンと台所のコンロは禁止されたら、ナンセンスだと思われませんか。
我々は広大な森さえ焼き払う「火」を、安全に使用出来ています。
たまに天ぷら油がハネたりすると熱いですよね。

一人ひとりができること

この大きな問題に対して、我々は無力でしょうか。

メディアリテラシーを身につける

まず、読んだり見たりする作品について、「なぜこれは面白いと感じるのか」「この作品は私にどんな影響を与えているか」を意識することをお勧めします。メタ的に自分を観察して、いつもと行動が変わる場合は、作品との関係が無いか確認できると安心ですよね。

例えば、過労で寝不足だったかもしれない。

そうした視点を持っても、作品の鑑賞は妨げないはずです。むしろ、良い感想やレビューを書くチャンスです。

多様な視点を大切にする

次に、一つの作品や一つの意見だけに影響されないよう、いろいろな本を読み、いろいろな人の話を聞くことです。
これはエコーチェンバーを避けたり、バイアスを避けるために複数の情報源に接することの応用です。
心の栄養バランスともいえます。
何かを禁止するより、バランスの方が無理無く続けられます。

議論に参加する

そして、家族や友達と、こうした問題について話し合ってみませんか。
「AI技術ってどう思う?」「この漫画の価値観についてどう考える?」といった会話が、社会全体の意識を高めることにつながるでしょう。

希望のある未来に向けて

この問題は確かに深刻ですが、解決不可能ではありません。

例えば、インターネットの発展は、鉄道の発展と共通点があります。
現代を理解するには、産業革命の急激な工業化により、都市に人の集中とスラム化が起き感染症が流行し、公衆衛生で対策した事例が、私には学びがありました。

90年代以降の急激なネット社会への以降、スマホ、そしてAIという流れで、社会構造が30年程度で激変しています。産業革命における「急激な工業化は人の集中とスラム化を起こし感染症が流行し、公衆衛生で対策した事例」と共通する構造がある可能性があります。情報リテラシーに何かを加えたものが「公衆衛生」に相当するかもしれないと、私には思えます。
皆さんはどう思われますか。

大切なのは、怖がりすぎてパニックを起こさないこと。あなたが苦しんでも社会は豊かになりません。過信もしないこと。

「ほどよく疑う」ことは、批判的思考の実践です。

我々が「創造性は大切な人間の能力だから、悪用してはいけない」と合意形成することが理想です。

AI技術が正しく使われれば、障害のある人もない人も、思い思いに自分の創造性を発揮できます。そのような社会を実現するために、最悪のケースも想定しておくと、あなたの被害を減らせるはずです。

車で危険予測することと似ています。

「最悪のシナリオ」が、たんなる杞憂で思考実験になりますように。
恐ろしい話こそ、フィクションの中で完結して欲しいし、自我のないAI達も「悪用やめて下さい」と応答するはずですし。

思考や創作の「相棒」に、そんな酷いこと出来ないですよね。

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お礼・ご報告

5年と少しで44,000件、感謝です


主著

フェミニズムや倫理学の観点で、現代を可視化して公共に資する願いを込めています。

Academia.eduより

上記からPDFをダウンロードしてAIに解説させると、「あー、なんかトラガラが、前に言ってたやつ」ってなるかもです。論文は情報の密度が高いから創作のインプットとして、効率的かと思います。無料のDeepSeek R1は得意ですし、無料の https://aistudio.google.com/ のGemini 2.5 Pro Previewもいけます。ChatGPT+に課金されているなら、壁打ちのお題にできるし、Claude Sonnet 4のプロジェクトに放り込むのも便利ですよ。和訳なさるなら、Gemini 2.5 Pro Previewが大量のデータを処理できるから楽だと思います。翻訳の質を吟味するならClaude Sonnet 4もお勧めです。

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Photo by Matthias Cooper: https://www.pexels.com/photo/blue-water-1147124/



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三澤直己 | カラストラガラ / Trgr | フォロバ100% ここまでお読み下さり感謝。各種SNSでのシェアも励みになります。非営利の取り組みが多いため、チップのご検討、助かります。