隣町という異なる生活圏で回復すること
①
自分に責任がない状況で不登校やいじめなどの辛い経験をした後、自分を回復させるために生活圏を変えることは悪くない選択だ。戦ったり競争する前に、受けたダメージをまず回復し、疲れたら休むことが出来るから。
②
現在は何も感じないけれど、制服の中高生を見ると反射的に身構えたり、色々思い出して苦しくなることが20代半ばぐらいまで続いた。不登校した半年間だけでなく、高校に進学した後も続いていた。あの頃、制服の集団は群集心理そのものだった。正直、自分がこのようなダメージを受けていることに、中学生時代は気づけなかった。
90年代のあの頃は、ネットが無かったから、これはその時期の工夫の一つ。現代とは社会の仕組みが異なるけれど、何か応用できることがあるかもしれないから、参考までにこのnoteを書いている。
かつて、そんな少年がいた。
③
私が生まれ育った町は、歩いて駅まで行かれる。一番近い駅まで2.5kmぐらい。それに加えて、徒歩か自転車で、バスは使わずに利用できる駅が複数あった。だから、使おうと思えば異なる駅も使えた。
最寄駅に行けば、本屋さんも大きなスーパーもだいたい揃ってる。地元の人たちが皆利用するから、不登校を経験し、ひどい思いをしたばかりの少年にとっては気が休まらない。どこに誰がいるかわからないし。
それを回避するために、隣町のスーパー、隣町の本屋さんを、愛用した。本屋さんに行く途中に、ビルの一階に本を出来る限り詰め込んだ、個人経営の古書店があった。金属製の頑丈な本棚が、林のように立っている。SF、ミステリ、犬養道子の未読の作品など、探して読むことは宝探しと似ていた。
隣町の駅は、県立高校の最寄駅だから、学生の登下校の時間帯は避けていた。自分の最寄駅と比べると人の流れが読みやすい。一つ隣町に行くだけで、駅の規模が変わり、駅の利用者も変わる。
④
リアル書店をご利用の方、あるいは昔通われた方は、共感して下さるかもしれない。
毎日書店に通い、「何か面白い本は出てないかな」と書店の中を巡回して回ると、だんだん本の動きが分かるようになり、自分の興味のある守備範囲の棚を暗記するようになる。
「これは昨日入荷」
「平台に置いてるあれ、一昨日から高さが変わらないけど売れていないのかな?」
「買うか迷った本が売れてる!」
などなど、ドラマがあった。
現代の方が検索と配送が有るから、圧倒的に便利だけれど、自分で探し脳内に書棚をマッピングしていくことは、検索とは異なる楽しみだった。
仕事を持つ頃、相変わらず学生服はトラウマを刺激するトリガーだったけれど、もう自分の最寄り駅を使えるようになっていた。
というのも、都内に出るには最寄駅が不可欠であり、1時間半かけて都内に出ていくため、自分の勤務先の近くの喫茶店や、都内の図書館など、勤務先の近くに自分の生活圏ができ、そこに地元の人は誰もいなかったから。
⑤
決して私の意見を押し付けるつもりはないし、不登校やいじめは、それぞれ状況が違う。必要とすることも異なる。
自分に責任がない、他に問題のある人がいる時に、やむを得ず不登校を選択せざるを得ない時に、自分の最寄り駅を使うのが使いにくいことは、理屈で考えれば変な話だ。私のケースなら反社会的なことを行ったのは、私ではない。
それだけに、自分の地元の本屋さんやスーパーを使いにくくなることは、屈辱だった。けれども、自分を回復させたりトラブルを予防する意味で、生活圏を変えることは、私には必要だった。
戦ったり競争したりする前に、ダメージを受けているのならまずは回復し、疲れたら休むことが大切。
このように抽象化すると、もしかしたら現在悔しい思いしている方の参考になるかもしれない。
例えば社会正義の観点で、絶対おかしいことはある。けれど、それを変えていくのには時間がかかるし、例えば30年待っても解決しないこともある。例えば、学校のいじめも、私より年上の世代で社会問題化しており、今も解決できていない。
例えば、僕のように隣町にある本屋さんやスーパーを使うように、社会や他人ではなく、自分と家族の判断で選択できることを調整すると、状況が好転するかもしれない。私にとっての隣町のように。
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