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第一次世界大戦の年に生まれ、あなたが小学生の頃に関東大震災が起きました。田舎からも感じられるほどの規模だったと話してくれた記憶があります。

まだあなたが東京の下町で暮らしていた頃、幼い私にカレーを凍らせて土産に持たせてくれました。冷たくてゴツゴツしたかたまりが、家に戻ってあなたの味のカレーになることが不思議でした。

肉が苦手で豚肉中心の母の味より、お店の味に近い。おそらくビーフカレーなのかもしれないと、今頃気がついています。けれど、きちんと家庭的な温かみも同居しており、思い出補正も相まって今でもあなたよりカレーを美味しく作れません。

我々孫の成長を心から喜んでくれ、運動会を頑張ったとか、成績が少し良いとか、本を読むとか、小さなことを見つけては「偉いもんだなぁ、さすがオレの孫だ」と褒めて認めて勇気づけてくれましたね。

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我々は異なる時代を生きるから、どうしてもどこかで別れることになります。

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80歳頃のあなたを思い出すと、味付けが濃くなっていたことが蘇ります。
お蕎麦を茹でて、リズミカルにお料理する姿がまだ瞼の裏に残っています。昼間でも窓が暗いキッチンは細長く狭かったけど、あるものを快適に使うことが巧みでしたね。お蕎麦のお汁も醤油ベースで手早く作るから、キッチンは香りも踊っていました。

あの頃、新聞の広告にある本のお使いを頼まれたとき、頼ってくれた誇らしさと共に、電車に乗ってどこへでも行けたあなたが駅前の大型書店にさえ行けなくなっていることに直面しました。元気だから老いを感じさせないけれど、電車の自動改札に対応できなくなるなど、出来ることは減っていました。

もし許されるのなら、あなたにいつまでも、ずっと先を歩いていて欲しいけれど、そうもいかない。40代後半の今なら、それがどんなに過酷なことか理解します。

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美味しい野菜も料理も農業も鉄道業界のことも何も分からないけど、あなたが畑を耕す姿をお手本に、文章を書いてきたよ。英語圏の読者は少ないけれど、メールを転送してくれるようで読まれています。

褒めて欲しいのではありません。きっと立派なキャベツが育ったらこんな気持ちかなと感じるのです。推敲することは、例えば種を蒔いて草むしりをすることと共通するかもしれません。

あなたの存命中に、もう少しいいところを見せたかったけれど、今でも未熟なのだから、無い袖は振れない。

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どうして、喜ばせたい人を失うのか。仏陀の頃から我々は考え続けていますが、議論は終わらないと思うのです。

だって感情が深く関係し自分の一部を失うような痛みを、どれほど分かりやすく説明されたとして、「そういうことなら仕方ない」と受け入れられるでしょうか。それでも、なんとかして折り合いをつけてきたのが我々の歴史では無いでしょうか。

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この前、駅の帰りに美味いお好み焼き屋さんを見つけました。お願いすると目の前で焼いてくれます。トッピングも豊富だけど、餅が好きだと思う。

西方浄土というか天国にフードデリバリーで届けられたらいいのに。「およそ40分」と表示されるくらい近い、新しい「スープの冷めない距離」。バイクで運ぶのは無理だろうから、どこかから天使とか十二神将の配下などがバケツリレー方式で届けるのだろうか。配送料はお賽銭で許されるのでしょうか……

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あなたが土を耕し続けたように、私も文章を書いています。あなたに届くことはなくても、言葉を信じて磨き続けます。和の心というかシルクロードの東の終わりに位置し、近代化と敗戦後の民主化で欧米からも学んでおり、縄文時代からの歴史がある複雑さを、異なる言語圏の人に分かるように説明することは、我々が当たり前としている前提を確認することが不可欠だから勉強になります。

なお、カレーはバーモントカレーの辛口とか、じゃがいもが溶けすぎてしまわないように大きめにする程度の、平凡なカレーです。まして伝統的な料理一式とか、大きな魚を捌くとか、無理でした。

指が傷だらけになるのも不毛ですから、包丁ではなくペンにしておきます。


↑こちら、新作です。

↑こちらは、昨日の作品と、そのイントロ。

Photo by Mike Bird:

https://www.pexels.com/photo/black-plastic-spatula-hanged-on-black-hook-211760/


無料キャンペーンは終了していますが、全てKindle Unlimitedで読めます

Audibleでオススメ教えてください。今は長友佑都さんの本を聴いてます。

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三澤直己 | カラストラガラ / Trgr | フォロバ100% ここまでお読み下さり感謝。各種SNSでのシェアも励みになります。非営利の取り組みが多いため、チップのご検討、助かります。