「時をかける名刀」展を見て②鑑賞前にテーマを決めておくと良いかも
①はこちら
待機列で40分ほど待ち本館へ。
ここから尾張徳川家に伝来した名刀、重文や国宝がズラリと並ぶ。
天井もトーハク感のある雰囲気だが、展示室の匂いが独特で非常に良い。

さて名品が多かったものの人も多く流れ作業で一振10〜20秒くらいしか見れなかったので、殆ど見れていないというのが実情。
同じような人は非常に多いのではないでしょうか。
更に徳川美術館の展示は太刀置きが非常に見づらく、座るほどにしゃがまないと刃文が見えないものが多くその数十秒の間にスクワットをしながら移動するという奇怪行為を繰り返すので非常に疲れます。
故に何となく刀の形だけ追ってしまい何も見れていないことも多かったので、少し鑑賞ポイントを絞れるよう今回はテーマをつける事にしました。
特に鑑賞テーマが無い方は参考にされてみてください。きっと数十秒でも少しは刀が見えるのでは無いかと思います。
①再刃による肌と茎の変化
館内には藤四郎吉光の作が3振並びました。
在銘の藤四郎を一度に数振鑑賞出来る機会はそうなく非常にありがたいです。
そのうち、制作当初の刃文が入ったものは包丁藤四郎(重美)と後藤藤四郎(国宝)。
そして江戸時代に越前康継が再刃したものが、鯰尾藤四郎。
今回は再刃前後での肌の違い、に絞って鑑賞しました。
因みに再刃をするということは火で焼けたということです。火により茎もダメージを受けるのでその辺りも比較出来ると素晴らしいです。
・NOT再刃
・包丁藤四郎(重美)



・後藤藤四郎(国宝)



・再刃
・鯰尾藤四郎



一度火に当たると茎もダメージを受けます。
②一文字と長船長光の丁子比較
非常に華やかな刃を焼く一文字派。特に吉房あたりで最高潮を迎えていると記憶。
今回の展示ではそんな丁子刃を有した作で似た作が4点ほどあったと認識。
一文字としては南泉一文字(無銘)と助真(無銘)、菊御作、そして長船で長光(津田遠江長光)。
そんな4振を上から並べてみます。

似ている。
非常に似ています。
そんな中であえて個人的に感じた特徴としては、南泉は尖ったような丁子が混じり柔らかく抜ける感じ、助真は全体的に焼きの高い丁子が入り最も華やかでモコモコ、菊御作は地沸が微塵によくついて白っぽさの中に映りがボワんと立ち幽玄な印象、長光は高低差のある丁子、という事で似ているものの違いを見出そうとすれば何とか出来る感じ…かもしれません。
ただ鑑定で出ても当てる自信はありません。
難しいですね。
この辺り違いが比較出来そうな方は是非トライされてみてください。
そういえば助真は個人的にも興味深い太刀でした。
大擦り上げながら区あたりで焼き落としのように焼きが低くなっています。

このまま生姿に戻すと細直刃のままあと10cmくらい伸びそうですが、そのような刃文は見たことがなく非常に珍しい刃をしているように見えた事が1点。
もう1点は全体的に健全に見えるものの帽子だけがやたらに無くなっている点。使われて鋒が飛んだからだろうか。
ただ横手前後で刃の焼きの高さが急激に変わっている点が悩ましい。鋒が飛んで横手位置を下げているなら横手前後での刃の高さは大体同じになるはず。
ということは初めからある程度このような刃文なのだろうか。
刀の使用を前提とした時代に帽子の刃文をあらかじめ低く焼いたものは全時代通して見ないし、あまり現実味が無いようにも感じるが…。
やはり早い段階に戦で鋒だけ飛んだのかもしれない。

という事で10-20秒で刀の全てを見るなんて実質プロ以外は無理でしょうし、自分の中であらかじめテーマを決めて鑑賞すると短い時間でも少し深い鑑賞が出来ると感じたのでした。
「時をかける名刀」は9/7まで徳川美術館にて行われています。名品が多いですが、座るくらいにしゃがまないと見えない刀も多いので筋トレしてから行きましょう。

今回も読んで下さりありがとうございました!
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それでは皆様良き刀ライフを!
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↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)

