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【大相撲】土俵祭③土俵開き 『方屋開口』全文書き起こし!

今回は『土俵祭』シリーズの第三弾!

方屋開口かたやかいこうの言上を
動画から全文書き起こしました!

そして、
現代語訳も行い、できるだけ分かり易く解説も行います!

是非お読み下さい!


【『方屋開口かたやかいこう』とは】



まず最初に方屋かたやとは何でしょう?

コトバンクで調べました⬇️

コトバンクより


方屋かたや
というのは「土俵」もしくは、
「相撲を取る場所(土俵場)」を意味するようです。

「開口」「開く」という意味ですので、

方屋開口かたやかいこうは『土俵開き』

と言った意味合いになるようです。



方屋開口かたやかいこうでは
まず、勝ち負けの定義を述べ、清らかな場所を選び、土俵とはなにかを定義しています。
そして五穀豊穣を願い土俵を開くといった内容のことが言上されます



『方屋開口』は別名故実言上こじつごんじょうとも言います。

故実言上こじつごんじょう』は

「昔から伝わる正式な相撲儀礼の意味と由来を、神前で宣言する儀式的な口上」

と言った意味合いになるようです。



【『土俵祭』における『方屋開口かたやかいこう』言上動画】



下記動画は令和八年(2026年)5月9日に行われた、五月場所の『土俵祭』における『方屋開口かたやかいこう』の言上を私が会場で撮影したものです。


まずは、こちらの動画をご覧ください⬇️
(2分7秒)




【『書き起こし』にあたり】



前回の『斎主さいしゅ祝詞のりと奏上そうじょう』とは異なり、動画音声が聞き取り易く助かりました。

また、ネットで見つけた『方屋開口かたやかいこう』の書き起こし文と、私が聞き取った内容はほぼ一致していましたので、照合も比較的容易でした。

ということで、
令和八年五月場所の『方屋開口(故実言上)』の書き起こしです。


【全文 書き起こし】



天地あめつち ひらけ始めてより 
陰陽いんよう分かれ

み明らかなるもの ようにして上にあり 
これを勝ちと名づく

重くにごれるもの いんにして下にあり 
これを負けと名づく

勝負かちまけの道理は
天地自然てんちしぜんことわりにして 
これをなすは人なり

清くいさぎよきところに 
清浄せいじょうの土を盛り たわらをもって形となすは 
五穀成就ごこくじょうじゅのまつりごとなり

ひとつの兆しありて形となり
形なりて前後左右を 東西南北とうざいなんぼく
これをほうと言う

その中にて 勝負を決する家なれば  
今はじめて方屋かたやといい名づくるなり


【現代語訳(原文対比)】


今回もAIの力を借りて現代語訳したものに、
加筆・修正をしました。

また、今回も対比しやすいように、
まずは書き起こしの原文を先に、その後に現代語訳を交互に入れることにしました。


天地あめつち ひらけ始めてより 
陰陽いんよう分かれ

書き起こし原文

天地が 初めて開かれて以来
万物は陽と陰に分かれた

み明らかなるもの ようにして上にあり 
これを勝ちと名づく

書き起こし原文

澄みきって明るいものは 
 「よう」として上にあり
これを「勝ち」と名付けた


重くにごれるもの いんにして下にあり 
これを負けと名づく

書き起こし原文

重く濁ったものは 
 「いん」として下にあり
これを「負け」と名付けた


勝負かちまけの道理は
天地自然てんちしぜんことわりにして 
これをなすは人なり

書き起こし原文

勝負ごとの道理というものは
天地自然の摂理せつりであり
それを実際に行うのが人である


清くいさぎよきところに 
清浄せいじょうの土を盛り 

書き起こし原文

清らかで潔い場所に
汚れのない清浄な土を盛り


たわらをもって形となすは 
五穀成就ごこくじょうじゅのまつりごとなり

書き起こし原文

俵をもちいて土俵を形造るのは
五穀豊穣を祈る祭礼だからである


ひとつの兆しありて形となり
形なりて前後左右を 東西南北とうざいなんぼく
これをほうと言う

書き起こし原文

まず一つの兆しが現れて形となり
その形の前後左右を 東西南北と定め
これを「ほう」という


その中にて 勝負を決する家なれば  
今はじめて方屋かたやといい名づくるなり

書き起こし原文

その四方の中で勝負を決する場所であるから
今ここに初めて方屋かたや」と名付けるのである



【解説】


『方屋開口』は、冒頭

天地あめつち ひらけ始めてより 
陰陽いんよう分かれ

書き起こし原文

で始まります。

これ、『古事記』を読んだことがある人であればピンとくると思うのですが、『古事記』本文の出だし
天地あめつちはじめてひらけし時』
とそっくりなんです。

実は、私が今回の書き起こしをしようと思ったきっかけが、この出だしの言葉を聞いて
『古事記の内容と関係あるのかな?』
と思ったからでした。

この『天地あめつち ひらけ始めて』
というのは、『天と地が分かれた瞬間』、
つまり『この宇宙が出来上がった瞬間』を意味します。


そして、全てのもの(万物)には
陰と陽の側面があることを言っています。


み明らかなるもの ようにして上にあり 
これを勝ちと名づく

書き起こし原文

これは、相撲の『勝ち』の定義をしています。

重くにごれるもの いんにして下にあり 
これを負けと名づく

書き起こし原文

これは相撲の『負け』を定義しています。

『下にいて濁る』ということは、
『足の裏以外が地面について体が汚れること』
ということになり、
現在の相撲の負けと一致していますね。


勝負かちまけの道理は
天地自然てんちしぜんことわりにして 
これをなすは人なり

書き起こし原文

おそらくここでは、
「勝負」というものは単なる人間の力比べではなく、『天地自然の普遍的な理に基づくものである』という思想を語っているのだと思われます。
その普遍的な理を、実際の勝負として執り行うのが「人」の存在だと言いたいのでしょう。


清くいさぎよきところに 
清浄せいじょうの土を盛り 

書き起こし原文

これは、「清めた場所に『土俵』を作る」ことですね。

『本場所の土俵』は使い回しをせずに、
場所毎に新たに作っているそうです。


たわらをもって形となすは 
五穀成就ごこくじょうじゅのまつりごとなり

書き起こし原文

『俵』は、土俵以外の用途では『お米を保管するもの(米俵)』というイメージがあります。

その『俵』を用いて土俵を作り上げるのは
『五穀豊穣』を願っての祭事だそうです。

土俵に『俵』を使用することにもちゃんと意味があるとは知りませんでした。


ひとつの兆しありて形となり
形なりて前後左右を 東西南北とうざいなんぼく
これをほうと言う

書き起こし原文

『土俵』の前後左右を『東西南北』定義し、
それをほうと言うそうです。

土俵の『東西南北』ほうにはそれぞれ守護神がいて、相撲では『方角』も重要な意味を持ちます。

漫画「大相撲伝」より切り抜き



その中にて 勝負を決する家なれば  
今はじめて方屋かたやといい名づくるなり

書き起こし原文

東西南北のほう』に囲まれた『勝負を決する場所』のことを方屋かたや』と名づけると言っています。

方屋かたやは、『土俵』だけでなく、
もう少し広い意味で『相撲を取る場所(=土俵場)』のことを指すようです。

となると
「土俵祭」でいう『方屋(相撲場)』両国国技館のことになりますね。

(地方場所の場合には「大阪府立体育館」等の地方会場)


つまり『土俵祭』における方屋開口かたやかいこう
『両国国技館の土俵開き』の宣言
だと言って良いでしょう。




【『斎主さいしゅ祝詞のりと奏上そうじょう』と『方屋開口かたやかいこう』は何が違うのか?】



前回書き起こした斎主さいしゅ祝詞のりと奏上そうじょう
今回の方屋開口かたやかいこう

我々一般人からすると、
祭主が土俵上で同じようなことをしているように感じるかもしれません。

この2つは何が違うのでしょう?

これ、私も違いがわからなかったのですが、
今回「書き起こし」と「現代語訳」をしたことにより、この2つが全く異なる意味合いを持つことが分かりました。

斎主さいしゅ祝詞のりと奏上そうじょう
『神様に対してお願いするもの』です。

願いごとなので、非常に謙虚な語り口で、声のトーンが低いです。

声も小さく聞き取りにくいのはこのためだと思われます。


方屋開口かたやかいこうは、
勝ち負けや、土俵とはどんなものかを定義し、『土俵開きを宣言するもの』です。

そのため、力強い語り口で抑揚があり、声のトーンが高いです。

声が大きく聞き取りやすいのはそのためでしょう。



この違いを理解していただいた上で、
是非、もう一度聴き比べてみて下さい! 

比較のため再度動画を貼り付けます。

斎主さいしゅ祝詞のりと奏上そうじょう⬇️  (1分58秒)

斎主さいしゅ祝詞のりと奏上そうじょう』ですが、実は動画内の声が非常に小さくて聞き取りにくかったので、ボリュームをオリジナルよりかなり上げてます。

方屋開口かたやかいこう⬇️ (2分7秒)

方屋開口かたやかいこうについては、録画したままのオリジナルのボリュームです。

それだけ声の大きさに違いがあるということです。



【最後に】



方屋開口かたやかいこう』の書き起こし、いかがでしたでしょうか!

ちょっと難しいと感じる方もいるかもしれませんが、
土俵上の戦いだけでなく、こういった背景を知ることによって、より相撲に興味をもってもらえるようになるのではないでしょうか。

私自身、この書き起こしをすることにより、今まで知らなかったことを知ることができ、理解が深まったように思います。


この記事を読んで、
大相撲への理解、そして興味が深まったと思っていただければ嬉しいです。


また、書き起こしや現代語訳に誤りがあれば、コメント欄でご指摘いただければありがたいです。


さて、
これまで3回にわたり大相撲の『土俵祭』について取り上げてきました。


今回で『土俵祭』シリーズは終了となります。


最後までお読みいただきありがとうございました!


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