見出し画像

メタル君の「今日の精神医学豆知識!」(786)-(790)

皆様、こんにちは。

鹿冶梟介(かやほうすけ)です!

最近、医療界で少しバズっているネタがあるので、ご紹介いたします。

それは、「感冒(かぜ)に対して抗菌剤(抗生物質)を処方した場合、保険適応外となる」というニュースです(2025年8月29日)!

この社会保険診療報酬支払基金による決定について、賛否両論あるかと思いますが、小生は大賛成です💊

その理由は、そもそも感冒の原因のほとんどはウィルス性であり、抗菌剤(抗生物質)が効かないからです。

もちろんこれは医師なら誰もが知っている事実ですが、これまでは「患者さんが欲しがるから」という理由で処方されてきました。

特に高齢者は「お土産処方」「万が一処方」を希望する傾向があり、こうした意味のない要求に対し、医師が処方を断るとやたらとゴネる... ...。

中には、処方が出るまで診察室から帰らなかったり、Googleの口コミで低評価をつけたりする患者さんもおり、その不利益を避けるために、やむなく処方していた医療機関もあるのではないでしょうか(ちなみに、抗菌薬を処方しても病院側の利益はほとんどありません)。

更に、この「お土産処方」は医療費の無駄になるだけでなく、多剤耐性菌を生み出す温床にもなり、百害あって一利なしです。

精神科でも時折、「風邪症状があるから抗生剤を処方して欲しい」と頼まれることがありますが、小生はやんわりとお断りしております。

ただ、処方を断ると患者さんがとても悲しそうな顔をされるので、申し訳ない気持ちになります(とはいえ、悪いとをしているとは思いませんが)。

今後は「風邪に抗菌薬は保険適応にならない」と説明できるため、こうした“悲しい顔”を見る機会も減るのではと期待しています。

皆様は、この制度変更をどのように感じられるでしょうか。

メタル君の「今日の精神医学豆知識!」は、X(旧: twitter)で毎朝8時にアップしております。

X(旧: twitter)民の皆様も、X(旧: twitter)では語りきれなかった【メタルのおまけ】がございますので、ご興味があれば本記事を是非お読みください!

それから、もしよろしければインスタの方も応援宜しくお願い致します(フォローよろしくお願いします🙏)!

【今日の精神医学豆知識集!(その158)】

786.力動的精神医学とは、精神現象の成立・メカニズム・意味を縦断的かつ動的に把握・理解しようとする精神医学の一スタイルだよ。フロイトが創始した精神分析を医学に応用するのが特徴だけど米国で発展したんだよ。

2025年6月11日

【メタルのおまけ】
ちなみに、力動的精神医学ってアメリカで流行ったんだよね。病気や素因だけじゃなくて、社会とのつながりの中で病状をとらえるのが特徴。でも、今は患者さんを生物・心理・社会の三つの側面から見るのは当たり前になってるから、「力動精神医学です!」ってあえて強調することは少なくなったかもしれないね。

↓小生は力動精神医学については不勉強ですが、知人の精神科医はギャバードのテキストを持っていましたね。


787.生物学的精神医学は精神疾患を「脳の疾患」ととらえ、神経病理学、神経生理学、精神薬理学、神経科学、脳画像、遺伝学など神経科学のさまざまなアプローチが用いられる学問だよ。ちなみに精神疾患が脳病であると喝破したのはドイツの精神医学者Wilhelm Griesingerだよ。

2025年6月12日

【メタルのおまけ】
生物学的精神医学のおかげで、それまでは症候学や心理学的な側面から解釈されてきた精神疾患を”科学的に”解釈できるようになったよ。例えば統合失調症の発病の原因を乳児期の心的外傷に求めるのではなく、脳のドパミン過剰が原因と解釈するようになったんだよ。でも、このドパミン過剰説も統合失調症に関する仮説にすぎず、本当に正しい事なのかよくわかっていないよ。生物学的精神医学の発展は目覚ましいものがあるけど、精神疾患の解明にはほど遠いのが現状だよ。

↓生物学的精神医学と心理学的精神医学について古本。買ってみようかしら…。


788.記述精神医学とは、患者が語る主観的体験と治療者による客観的観察を具に記述することで診断・治療につなげる基礎的学問だよ。"記述知"は"科学知"とは異なり必ずしも因果の探究を求めず、あくまで「事実」を書き留めることが重視されているよ。

2025年6月13日

【メタルのおまけ】
前に紹介した力動的精神医学を”動的な精神医学”とするならば、この記述的精神医学は”静的な精神医学”と言えるね。患者さんの状態を詳しく、あたかもスケッチのように描写することで病態を理解しようとする試みだよね。ちなみに鹿冶さんもこの記述精神医学が大好物だよ。

↓記述的精神医学といえば、エミール・クレペリンですね!


789.リエゾン精神医学とは、精神科の医師と他科の医師やコメディカルが連携して、患者さんの精神医学的問題に対処する医療のことだよ。リエゾンとはフランス語で「橋渡し」を意味する言葉だよ。

2025年6月14日

【メタルのおまけ】
リエゾンはおもに総合病院での仕事になるよ。例えば外科から術後せん妄の対応や、救急外来から自殺未遂の患者さんの治療を依頼されたりするね。大きな大学病院では、臓器移植を受ける患者さんへのメンタルケアをすることもあるよ。

↓ドラマ化された漫画「リエゾン」ですが、児童精神科医の話がメインなので、精神科医が抱く「リエゾン」とはちょっと違うイメージです。


790.文化精神医学とは別名比較文化精神医学であり、精神医学的諸現象を文化比較的な視点あるいは文化的事象を精神医学的視点から検討する学問だよ。Kraepelin Eが東南アジアでラターやアモクと呼ばれる風土病を報告してから注目されるようになった学問だね。

2025年6月15日

【メタルのおまけ】
世界には多種多様な文化があって、その文化背景によって他国では認められない精神疾患が存在するよ。例えば日本では"狐憑き"が風土病の一種として世界に紹介された例があるね(1885年に東京大学の医師ベルツが紹介)。それから対人恐怖症(taijin kyofusho)も日本特有の「恥の文化(shame culture)」と関連した症候群と言われているよ。

↓"恥の文化"で連想するのは、ルース・ベネディクトの「菊と刀」ですね。


【メタル君の考察】

今回は「様々な精神医学」に関係する精神医学ネタをツイートしたよ!

精神医学といっても様々なタイプがあるんだよね。

しかし、文化精神医学以外については、日常診療ではもはや「常識」になりつつあるから、こうやって別々の学問としてカテゴライズすることに意味があるのか...という気がせんでもないなぁ(縄張り争い?)。

ちなみに僕は記述的精神医学と生物学的精神学推しだけど、いつか文化精神医学をフィールドワークにしたいと思っているよ!

特に各地に伝わるオカルトや都市伝説を精神医学や心理学の観点から解明したいなぁ~(老後の楽しみ)。

これからもマニアックな精神医学ネタバリバリと紹介するぞ😆


↓いろんなスライムが勢揃い。


【X(Twitter)】

X(Twitter)もやっています!宜しけば、絡んでくださいな☺️

【Instagram】

インスタグラムもやっています!宜しければ、フォローをお願い致します!

【こちらもおすすめ】


いいなと思ったら応援しよう!

精神科医・鹿冶梟介(かやほうすけ) 記事作成のために、書籍や論文を購入しております。 これからもより良い記事を執筆するために、サポート頂ければ幸いです☺️