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メタル君の「今日の精神医学豆知識!」(841)-(845)

皆様、こんにちは。

鹿冶梟介(かやほうすけ)です!

先週書いた、精神科同門会(医局員の現役・OBによる交流会)で、少し気になった話題について触れたいと思います。

この手の「同業者の集まり」に欠かせないのがゴシップ(噂話)なのですが、ある大学の教授就任にまつわる、ちょっとゾッとする話を聞きました。

教授選考のための選挙――いわゆる教授選――については、どの診療科でも一悶着あるもので、フィクションである小説『白い巨塔』に描かれるよりも“エグい”ことが起こるのもしばしばです。

今回小生が聞いたのは、某大学(A大学としましょう)で教授に学外出身(B大学としましょう)の医師が選ばれた際、そのB大学の現役教授が教授選に異議申し立てを行った、という話でした😱(完全に内政干渉!)

実は小生、以前から、B大学の教授(ここではC教授)、そしてA大学の教授になった先生(ここではD教授)が「非常に仲が悪い」という話は聞いておりました。

その理由は、D教授がB大学に在籍していた頃、C教授に楯突いていたから――というものでしたので、この噂を聞いた当初は「さもありなん😑」と妙に納得していたのです(医局で教授に逆らえばアカデミックキャリアは詰みます)。

しかし、同門会で聞いた続報は少し異なっていました。

C教授とD教授が仲が良くないのは事実なのですが、その関係は“C教授が一方的にD教授を嫌っているだけ”のようで、この話をしてくれたドクター曰く、

C教授は多分パラノイア(妄想性障害)かもしれない… …

とのこと。

あくまでそのドクターの見解ではありますが、C教授が病的になり、D教授を排除しようとした可能性がある――という話には、さすがに背筋が冷えました😱

事実は小説より奇なり」とはよく言いますが、このエピソードは小説にできそうですね🤔

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【今日の精神医学豆知識集!(その169)】

841.モリア(moria)は認知症患者が示す多幸感を意味するよ。語源となった古代ギリシャ語の「moria」は、愚かさ、軽率、馬鹿げたことを意味するよ。ふざけ症(Witzelsucht)も同義だけど、上機嫌を基調とし、軽口、語呂合わせ、冗談を言う傾向を意味するよ。

【メタルのおまけ】
モリアやふざけ症は脳機能障害で生じるけど、特に前頭葉の底面の障害が想定されているよ。このモリア・ふざけ症に、おどけた表情や動作をすると道化症候群(buffoonery syndrome)などと呼ばれることがあるよ。

↓道化師といえば、「ジョーカー」ですよね!


842.アンビヴァレンス(ambivalence)は、同一の対象に憎しみと愛情、快不快など相反する感情を同時に抱くことだよ。Boutonier Jは両価性を、統合失調症にみられる完全両価性、強迫性障害にみられる不完全両価性、嫉妬妄想にみとめる潜伏両価性に分類したよ。

【メタルのおまけ】
アンビヴァレンス(両価性)はスイスの精神医学者E.ブロイラーが統合失調症の基本症状の一つとしたけど、実際は他の精神疾患や正常心理においても生じうる現象だよ。例えば失恋したばかりの女性は、自分を振った相手を「憎い」と思う反面、「まだ愛している」という想いも強いはずだよね。まさに身を焦がすようなこの思いはアンビヴァレンスといってよいと思うけどね。

↓ブロイラーと聞くと、チキンを思い浮かべます?クリスマス、近いですね🌲


843.ルサンチマン(ressentiment)は弱者が強者に抱く感情で怨恨、反感、逆恨みなどと訳されるよ。原因として受け身的態度、力の衰え、理想と現実の乖離など挙げられ、現代社会ではニートの人が抱きやすいね。ちなみにScheler Mはルサンチマンを「魂の自家中毒」と呼んだよ。

【メタルのおまけ】
ルサンチマンはフランス語なんだけど、ドイツ語ではGrollが近い言葉なんだって。でも英語圏では該当する言葉はないそうだよ。ルサンチマンは、かつては女性、老人、姑、僧侶などが抱きやすかったけど、今の日の社会の場合は前述のようにニートをはじめとする社会的弱者らが抱きやすい感情だよね。最近の痛ましい事件の中には、ルサンチマンが原因と思われるケースが散見されるよね...。

↓ルサンチマンで調べたら、すごいのを発見しました。


844.アンヘドニア(anhedonia)は何をしても楽しいと感じず、全てが虚しいと思う快楽感情の希薄化だよ。うつ病だけでなく統合失調症、パーソナリティ障害でも出現するよ。「生きる意味が分からない」「自分が今嬉しいのか悲しいのかわからない」と言う人はアンヘドニアかも?

【メタルのおまけ】
アンヘドニアは「喜びを感じられない」というのが主症状なんだけど、精神疾患だけでなくパーキンソン病や脳梗塞後にも表れることがあるよ。ちなみに治療法なんだけど、従来の抗うつ剤はアンヘドニアに効かないと言われているよ。最近の研究では新規Kv7チャネルに作用する薬が、鬱症状+アンヘドニアに有効という報告があるから期待したいところだね。

↓「喜びがない… …」


845.オルモチミー(hormothymie)はGuiraud PLEが提唱した概念で、食・生殖・攻撃・守・権力といった生命的な活力と、快不快・食欲・渇き・嗜好などの感情が結びついた状態で、原始的な力動システムだよ。統合失調症ではこのオルモチミーが減退していると言われているよ。

【メタルのおまけ】
Dide MとGuiraud PLEらはこのオルモチミーを統合失調症の基本症状としたよ。彼らは間脳や視床下部にホメオスターシスの調節機構と精神体の賦活機構があるとみて、ここが障害される統合失調症ではオルモチミーの生の躍動が欠落するアチモルミーが起こり、無関心、無為、感情鈍麻が生じると考えたよ。

↓モチを食べて、オルモチミー!


【メタル君の考察】

今回は「気分の質的異常」に関係する精神医学ネタをポストしたよ!

「気分」と聞くと、なんとなく「その時の気持ち」と曖昧なイメージがあるかもしれないけど、実はこの曖昧なところが味噌で、特別な対象や内容を持たず、比較的長く持続する感情の状態を意味するよ。

この気分も量や質的に平均から大きく外れると異常とみなされ、いわゆる「気分障害」ーーすなわち、うつ病や躁うつ病となるんだよ。

気分と類似の言葉として、感情、情動、情緒、情性、情熱などの言葉があるけど、それぞれ微妙に意味が異なるんだよ。

でも、精神科医といえどもこれらの言葉を正確に使い分けていると言われたら、あまり自信がないね。

それにしても気分に関する言葉っていろいろあるね。

みんながよく使うルサンチマンという言葉も、分類すると"気分"に関わる言葉なんだよね。

これからもマニアックな精神医学ネタバリバリと紹介するぞ😆

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