メタル君の「今日の精神医学豆知識!」(826)-(830)
皆様、こんにちは。
鹿冶梟介(かやほうすけ)です!
最近、ちょっと嬉しいことがあったのでご報告いたします。
小生の後輩が、なんとクリニックを開業したそうです🥳
この後輩は非常に優秀で、学位論文も素晴らしく、詳細は申し上げられませんが、その分野においては“マイルストーン”と言っても過言ではない内容でした。
研究だけでなく臨床にも丁寧に取り組み、彼の書くカルテはとてもわかりやすく、「あぁ、これが才能というものなのだな」と感じておりました。
しかし大学院修了後、彼は大学には残らず、早々に民間病院へ勤務する道を選びました。
もちろん進路については人それぞれの考えがあるでしょうが、正直なところ「もったいない」と小生は思っていたのです。
そんな彼と再会したのは、今から10年ほど前。
小生が大学准教授になってから、ある病院でネーベン(アルバイト)を始めたときのことでした。
大学から紹介された勤務先へ挨拶に伺った際、真っ先に声をかけてくれたのがその後輩でした。
後輩の仕事ぶりは実に見事で、アルバイト勤務の小生をさりげなくフォローしてくれました。
「きっと快適に仕事をしているのだろう」と思っていたのですが、コロナ禍を機に病院の運営方針が大きく変わり、かなり働きづらい環境になってしまったそうです。
院長は1〜2年ごとに交代が続き、医師たちも次々に辞めていく状況で、「次は誰が辞めるのか」という状態だったとか。
後輩も今後の進路について悩み、医局ではなく小生に相談してくるほどでした。
1年半ほど前に小生はその病院でのアルバイトを辞めましたが、彼のその後がずっと気になっていました。
そんな中での今回の吉報——本当にうれしく思います☺️勤務医と開業医とでは忙しさの質も量も異なりますが、きっと彼なら素晴らしい院長になることでしょう。
後輩の人生に幸あれ!
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【今日の精神医学豆知識集!(その166)】
826"かういう命の瀬戸ぎはに 智恵子はもとの智恵子となり 生涯の愛を一瞬にかたむけた"は高村光太郎の詩「レモン哀歌」の一節だよ。統合失調症を発病した妻・智恵子が臨終の間際に正気を取り戻し、高村は妻への愛を再確認した...という意味なのかな?
【メタルのおまけ】
智恵子抄は詩人高村光太郎が出版した詩集だね。高村の妻・智恵子への想い・愛を表現した、涙無くては読めない有名作品だよね。ちなみに、高村光太郎の詩集が心を動かすのは、精神分裂病であった妻を献身した介護したおかげ...、という観点から光太郎・智恵子の夫婦関係を対象とした病跡学的研究をエピパトグラフィーと呼ぶよ。
↓漫画で智恵子抄を読むのもいいかもしれないですね!
827."幸福を追いかけている間は お前は幸福であり得るだけに成熟していない たとえ最愛のものがすべてお前のものになったとしても"はヘルマン・ヘッセの「幸福」という詩だよ。ヘッセは境界性パーソナリティ障害だったと言われているけど彼の慢性的な空虚感を表現してるね。
【メタルのおまけ】
ヘルマン・ヘッセと言えば「車輪の下」を思い出すけど、日本人の多くが「車輪の下」と思っているのは、実は「少年の日の思い出」じゃないかな?...というのも、「少年の日の思い出」は中学生の教科書に載っているから、ヘッセの代表作を同作と思い込んでるためと僕は思っているよ。
↓中学生時代を思い出して、再度読んでみてはいかがでしょうか?
828."労れて戻る夜の角のいつものポストよ"は俳人・種田山頭火が詠んだ俳句だよ。文学立身の夢が捨てきれず単身上京した時の句だって。病跡学的に山頭火はうつ病あるいは神経衰弱だったという説があるけど、この句は心身ともに疲れ切った山頭火の心境を表してるね。
【メタルのおまけ】
種田山頭火は「自由律俳句」の確立者と言われているけど、その人生も「自由」と言って過言ではないよ。実家の破産、母親の自殺など辛い生い立ちから逃れるように放浪生活をはじめるんだけど、その”自由”こそが彼の俳句に命を吹き込んだと思うよ。
↓山頭火の人生を描いた漫画だそうです!
829."不幸を担うことは難しいが 幸福を担うことはさらに難しい"は、ドイツの詩人フリードリヒ・ヘルダーリンの格言だよ。ヘルダーリンは30代半ばで統合失調症を発病し、人生の後半を"塔"の中で過ごしたよ。この塔はのちに"ヘルダーリンの塔"と呼ばれるよ。
【メタルのおまけ】
ヘルダーリンは詩人だけど、哲学者たちにも多大な影響を与えたと言われているよ。例えばニーチェは「ヒューぺリオン」に感銘を覚え、後の「ツァラトゥストラはこう言った」を記したと言われているよ。またハイデッガー、ディルタイなんかもヘルダーリン大好きで、特にハイデッガーはヘルダーリンを「詩人の詩人」と称したよ。
↓ヒューペリオンと聞いて銀英を思い出すのは同世代かも?
830."わが生は、下手な植木師らに あまりに夙(はや)く、手を入れられた悲しさよ!"は詩人の中原中也が幼少期の自己を否定する詩だけど、中也はいわゆる思春期危機の状態に陥っていたと推測できるね。ちなみに中也は統合失調症だったという説もあるよ。
【メタルのおまけ】
天才詩人と言われた中原中也は30歳という若さでこの世を去るよ。元々気性が激しく、喧嘩っ早く、それでいて繊細かつ魅力的であったことから、何らかのパーソナリティ障害であった可能性もあるね。それから酒癖は最悪だったから、アルコール依存症であったとの指摘もあるよ。
↓秋の夜長に中也の詩集、いかがですか?
【メタル君の考察】
今回は「詩・俳句と精神医学」に関係する精神医学ネタをツイートしたよ!
詩人・歌人の多くは繊細で、メンタル的に不安定になりやすいかも... というイメージがあったけど、こうしてみるとこのイメージが正しいように思えてくるね。
このほかにもアルチュール・ランボー、エミリー・ディキンソンなんかも精神疾患の診断がつきそうだけど、これについてはまたの機会に紹介しようかな
これからもマニアックな精神医学ネタをバシッと紹介するぞ😆
↓ドラクエのI&IIのリメイク、面白そうですね!
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— 精神科医・鹿冶梟介(かやほうすけ) (@kayahosuke) March 22, 2022
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