メタル君の「今日の精神医学豆知識!」(671)-(675)
皆様、こんにちは。鹿冶梟介(かやほうすけ)です😆
皆様は「クエスチョンバンク」という問題集をご存知でしょうか?
クエスチョンバンク(通称「QB」)は医師国家試験の過去問解説集であり、医学生にとっては必携といえるアイテムです。
小生も医学生のころQBを愛用しており、ベッドサイドのグループでQBを開いて勉強会をしたのは今でも好い思い出です。
医学部を卒業して二十数年経ちますが、小生はこのQBを使ってここ10年内科・外科の勉強を続けております。
全ての専門医に共通することかと思いますが、自分の専門分野については深く勉強し詳しくなっていく一方、他科の知識は年々薄れて行きます...。
医師は忙しく、他の分野の勉強をする時間的余裕がなく、さらに各分野の知識量がこの20年で膨大に増加したことも影響しているのでしょう。
要するに「専門バカ」になり易いのが今の医療従事者の宿命なのです。
...というわけで、他科の知識を忘れないようにとQBを1日1問解くのが小生の日課となっております。
ところが、この小生のルーチンの継続を脅かす事態が発覚いたしました!
なんと、2026年度版からクエスチョンバンクの紙媒体(書籍版)が廃止され、電子媒体のみになったそうです(泣)。
旧世界の人間である小生にとって、問題集を"紙"ではなくアプリで解くのはどうもやりにくい...。
確かに発行する側からすれば紙媒体はコストや輸送の負担が大きく、電子版のみににしたほうがコスパは良いでしょう。
しかし、医学知識は書籍の重み、用紙の手触り、インクの匂い--- こういった五感との結びつきによって情報の記銘・保持・想起が強化されると小生は信じております!
... ...ということで出版元のメディックメディア様、どうか紙媒体の復活をご検討していただけないでしょうか...🥺
メタル君の「今日の精神医学豆知識!」は、X(旧: twitter)で毎朝8時にアップしております。
X(旧: twitter)民の皆様も、X(旧: twitter)では語りきれなかった【メタルのおまけ】がございますので、ご興味があれば本記事を是非お読みください!
【今日の精神医学豆知識集!(その135)】
671.妄想とは明らかな反証があっても訂正できない信念・考えのことだよ。でもその内容が妄想か否かはその時代の文化的背景によって違うんだ。例えばコペルニクス前に天動説を信じていてもそれは妄想とはいえなんだよ。
【メタルのおまけ】
たとえ科学的に正しいことであっても、それを証明できず、かつ妄信するのであれば妄想と言われても仕方ないのかもね。だからコペルニクス前において声高に地動説を唱えても周囲からは妄想扱いだったんだろうね。この意味においては、現代の宗教なんかも妄想に近い存在と思うんだけどなぁ...。
↓地動説といえば「チ。ー地球の運動についてー」ですね。面白かったです!
672.妄想性うつ病とは、うつ病に妄想や幻覚などの精神病症状を伴うものだよ。妄想内容は気分に一致した抑うつ性の主題を含むことが多く、心気妄想、貧困妄想、罪業妄想などが挙げられるよ。この3つの妄想を微小妄想と言うよ。
【メタルのおまけ】
微小妄想はだいぶ前のツイートで紹介したね。妄想を伴ったうつ病を妄想性うつ病と言うんだけど、DSMにおいては気分に一致する(あるいは一致しない)精神病性の特徴を伴ううつ病という診断名になるよ(長い)。
↓精神科医のバイブルとなりつつあるDSM-5…。DSMを盲信するのは妄想と何ら変わりないのかもしれないですね。
673.妄想構築(Wahngebäude)とは最初は断片的であった妄想が、次第に発展して広がりとまとまりを持ち、やがて体系化・組織化することだよ。最初は「スープに毒が入っている」という妄想が、「秘密組織が妻を使って毒を入れた」...とストーリー性を帯びるよ。
【メタルのおまけ】
最初は断片的であった妄想体験が、現実の知覚や思考、個人の知識などを動員して整理統合され、患者の中では論理的に矛盾のない体系を作りかげることが妄想構築なんだよ。さすがにここまでくると、本人のなかで理論は完璧に仕上がってるから、周囲から矛盾や間違いを指摘しても全くゆるぎなくなるんだ。でもね、妄想が長引くとある時期を境にあまり妄想を語らなくなったり、気にしなくなったりするようになるよ。自分の心の中に妄想を閉じ込めちゃう被殻化(abkapseln)とう現象だね。
↓殻付きホタテ、小生も喫食したいですね!
674.妄想性痴呆は、Kraepelin Eが提唱した"Dementia paranoides"の日本語訳で、早発痴呆(後の統合失調症)の下位群の妄想型に位置付けされたものだよ。今では使用されていない言葉だね。そもそも"痴呆"という言葉が死語だもんね。
【メタルのおまけ】
痴呆という言葉は差別的という理由で今の日本では使用されなくなったね。でも海外ではDementia(ディメンチア)という言葉は今でも使用されているよ。これは個人的な感想なんだけど、日本ってこのような名称変更って海外よりも多い気がするね。なんでなんだろうね(利権か?)。
↓"メンチ"と言えば、メンチカツ!
675.妄想的発展とは特有の性格を持つ者が、体験や環境に対する反応として妄想を発展させることだよ。敏感性格者が抱く敏感関係妄想、難聴者に起こる迫害妄想、アルコール依存者が性的不能時に生じる嫉妬妄想なんかが例だよ。
【メタルのおまけ】
これは妄想患者あるあるなパターンだね。特に男性のアルコール依存症患者さんが抱く嫉妬妄想は典型的ともいえるね。一方、女性の嫉妬妄想はアルコールの問題よりも、認知症の初期でよく見られるね。しかも生活歴を聞いてみると、実際若い頃に旦那さんが浮気していた...、なんてこともよくあるね。こういう場合は、罪を償うべく旦那さんがしっかり奥さんを看病してあげよう。
↓浮気で調べると、こんなコミックが…。浮気の代償は毒の味って…、スゴイタイトル!
【メタル君の考察】
今回は「妄想」がつく精神医学用語に関してツイートしたよ!
いままでも妄想に関連する精神医学用語を紹介してきたけど、まだまだたくさんあるね。
ところで日本語の「妄想」は仏教用語で(もうぞう)と読み、正しくない推量的判断、間違った判断を意味するよ。
ちなみに英語の「delude」はラテン語由来で、騙し取る、遊ぶ、バカにするなんて言う意味があるって。
ドイツ語の「Whan」は気まぐれ、間違った意見、幻想を意味し、フランス語の「delire」は蝶番のはずれたという意味なんだって(シムズ記述精神病理学より)。
他にも妄想と関連する豆知識はたくさんあるから、またXでポストするね(Xの方もよろしくね)。
これからもマニアックな精神医学ネタをビシバシ紹介するぞ😆
↓メタリックモンスターズ、欲しいです!
【X(Twitter)】
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私について(自己紹介):鹿冶梟介(かやほうすけ)|鹿冶梟介(かやほうすけ) @kayahosuke #note https://t.co/Jk47SAeCB7
— 精神科医・鹿冶梟介(かやほうすけ) (@kayahosuke) March 22, 2022
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