【ドラクエ2リメイク】至高の名シーンは人から言葉を奪う
※完全にネタバレありですのでご注意を。
ドラクエ1に引き続き、思うままに感想を語ります。
感動の記録であり、レビュー記事ではないので「ここが気になったよ」系のコメントは一切せずひたすらに褒め称えます。
1で高まった期待を遥かに上回る楽しさでした。
ドラクエ11のエンディングで、「ドラクエという作品でこれ以上の感動をこの先得られることはないかもしれない」と思ったのに、「やっぱりドラクエってすげえ」って思わせてもらえました。
語りたいことはたくさんありますが、まずは真エンディングについて。
■至高の名シーンは人から言葉を奪う
真エンディングの最後のシーンを見た瞬間、全身総毛立つほどの感動を覚え、目頭を熱くさせながらも、頭には何の言葉も浮かびませんでした。
もちろん、今となればいくらでも言葉は浮かびます。
ロト三部作をここまで美しく完結させてくれてありがとう堀井先生ドラクエと一緒に人生を歩めた僕は幸せです魂の帰還という形で、Ⅲの勇者と母を救うというエンドが美しすぎて涙が止まりません「おかえりなさい」は勇者へはもちろん原作Ⅲのエンドで切ない思いをした僕たちにも言ってくれてるんですよね「無事ということだけでも伝えたい」勇者と「帰りを待ち続ける」という母の想いを世代を超えて昇華させるのにこれ以上のエンドがあろうはずもありませんドラクエ11の「過ぎ去りし時を求めて」の台詞の時もですが一言にエッセンスを凝縮するのがうますぎてとても同じ人間が成すことには思えません堀井先生が驚かせるのが好きということを知っているのにそれでも毎回新鮮な驚きを与えてくれることが一番の驚きですそもそも…
まだまだまだまだ語れる。
しかし、あのシーンを見た瞬間の僕の頭の中は「感動」という感情だけで埋め尽くされていました。
上に書いた長文は、完全に真っ白になった頭でただただ感動を噛み締めた後に、少ししてから浮かんだ言葉です。
真の名シーンというのは、そういうものなんだと思います。
「それの何が素晴らしいのか」ということを考える前に、目の前の光景が有無を言わさぬ感動を与えてくれる。
もしかしたら、圧倒的な量の情報が一瞬にぶちこまれ、脳がオーバーヒートしたのかもしれません。
あの台詞が出る前の溜めの間にこれまでのロトシリーズの思い出が走馬灯のように駆け巡り、声優さんの名演とホワイトアウトする画面により決壊する。
ゆっくりと入れ替わるタイトルロゴを、感動の感情のみが残った目でただ見つめる。
万感の思いというのは、こういうものを言うのでしょう。
巷であれだけ「Ⅱの真エンドはいい!」と言われていたのにそのハードルを軽々飛び越えていきました。
幼い頃、ゾーマを倒した後にルーラを唱えたら天井に頭をぶつけてしまった時、「え?え?帰れないの?え?」と本気で動揺した僕の魂が無事成仏できたのを感じます。
帰る場所を用意してくれてありがとうドラゴンクエスト。
※2月9日追記
先日購入した公式ガイドブックのインタビューの中で、真エンドのシナリオについて、堀井雄二さんが
「あそこのシナリオは全部僕が書きました」
と語っていました。
ドラクエは、堀井先生一人で作っているわけではないことくらい、さすがに分かっています。
それでも、堀井先生が始めたロトの伝説は堀井先生が幕引きしたと知って僕の感動はさらに深まりました。
本当にすごいお方です。
■全てが素晴らしかったドラクエⅡ
エンディング以外ももちろん素晴らしかった。
バトルを始めとしたシステム面ももちろんなのですが、主にストーリーに着目して語ります。
◆正義だの愛だの勇気だの
今どき、こんな言葉を真正面から扱う作品はなかなかありません。
当然といえば当然で、価値観が多様化し、物語というものを見る消費者の目が肥えた昨今、「王道」と言われるストーリーど真ん中で感動を届けるのは難しい。
しかし、ドラゴンクエストは違います。
人は誰でも過ちを犯すし

時に負の感情に飲まれそうにもなる。

矛盾に苦しむことだってあるけれど

それでも世界は美しいもので

人の愛は尊い

これを守ることが正義なのだと。

どんな絶望の中でも希望は勇気によって輝くのだと。

こんなにも甘っちょろいことを全力で教えてくれます。
キャラクターの葛藤はあれど、皮肉な視点など差し挟むことなく、全身全霊で。
昔だったら「何熱くなっちゃってんの?」と冷めた目で見てしまっていたかもしれません。
でも、大人になった僕は知っています。
暑苦しいことを全力で、本気で叫べる人間が一番かっこいいんだということを。
「希望の光は どんな闇の中でだって輝ける!」
「世界は 優しい光で満ちています!
私たちが それを守り抜きます!」
特別なフレーズなんてどこにもないはずなのに、どうしてこんなに心が動いてしまうんでしょうね。
王道中の王道ストーリーは、僕に確かな感動を届けてくれました。
◆使命と復讐の旅?楽しい冒険?
個人的には、このテーマがとても好きでした。
・復讐に囚われて旅を始めたムーンブルク王女
・旅の楽しさを強調するサマルトリア王子
この対比が本当に好き。
ムーンブルク王女の来歴から、彼女を体温の通ったキャラクターにするなら、復讐というテーマは絶対に切り離せない。

しかし、使命に追われ復讐に囚われた旅の追体験を僕はしたいとは思いません。
時に青臭く、だからこそ眩しい彼らの旅を楽しく追体験するために、「楽しくていいんだ」ということを教えるサマルトリア王子と、徐々に復讐から解放されていくムーンブルク王女のコンビが与えてくれる爽やかさは、他では味わえないものでした。

そして、ムーンブルク王女の物語の締めくくりとして、彼女を勇者でも王女でもなく1人の個人として尊重して大臣が受け止めるという展開が心に染み渡る。
エンディングで街巡りをする中で、ムーンブルク王女と大臣の会話がダントツで好きでした。

◆無口な主人公がそれでも好きです
ドラクエ全般で、
「主人公が黙っていることに違和感」
というレビューが増えてきていることはよく知っています。
それでも僕は喋らない主人公が好きです。
ドラゴンクエストの主人公には、
・勇者の魂が半分
・プレイヤーの魂が半分
入っていると思っています。
・勇者の魂は使命を達成する。
・プレイヤーの魂は、その使命の中にほんの少しの自我を持たせる。
そんな役割。
だから、半分の魂で僕らが物語に言葉で干渉できるのは「はい」「いいえ」だけ。
しかし、だからこそ、一つ一つのシンプルな選択肢に真剣に悩める。
感情移入できるからこそ、言葉を発していなくても、仲間と同じ時をちゃんと過ごしていることを実感できる。
そう思っています。
ドラクエⅡの仲間たちは、ローレシア王子である自分の長所も短所もしっかり受け入れて、大切な仲間として旅をしてくれました。

少なくとも僕は、口下手なローレシア王子として、仲間たちの掛け合いをニコニコして眺めていました。

回復してくれる仲間たちを信頼して「とっこう」で毎ターン瀕死になりながらボスに4桁ダメージを与えていました。
(全身全霊斬りの方が主流のようですが、素早さの遅い僕のローレシア王子は敵の後に動くからちょうど良かった。)
話さない主人公だからこそ、自分を重ねることができるドラクエのシステムを、やはり僕は愛しています。

◆BGMとキャラクターデザイン
すぎやまこういち先生の音楽は、もはや僕のDNAに深く刻み込まれているんだと改めて思いました。
僕は、将来一切の記憶をなくしたとしても「序曲」が流れれば血湧き肉躍る自信があります。
「おおぞらをとぶ」が流れれば何度でも次元をまたぐ翼を思い鳥肌を立てて聞き入るでしょうし、「勇者の挑戦」が流れるたびに、姿勢を正して最後の戦いに挑むでしょう。

マガシドー戦、レティスに一瞬姿を変えながら現れたラーミアの背に乗り、「おおぞらに戦う」をバックにロトの竜剣を掲げ、「勇者の挑戦」が流れ始めた時、脳内麻薬の分泌量が凄すぎて自分はこれ以上の興奮をこの先ゲームで得られるんだろうかとすら思いました(まあ、その数十分後にエンディングで更なる感動を得るわけですが)
鳥山明先生の、スライムを始めとした天才的キャラクターデザインは言わずもがな。
ドラクエという作品は、この2人の存在により、「面白いゲーム」の枠を超えて1つの文化になっていることを改めて実感するリメイクでした。

◆兜を通じてつながったⅢ、Ⅰ、Ⅱ
この3作が「つながっている」こと自体が感動だった原作と違い、僕たちはそのつながりをもう知っています。
だから、リメイクではその先を期待していました。
ロトの伝説は、世代を超えてどうつながるのかと。
これも期待の遥かに上だった。

妖精も竜王ももっと触れたいですが、兜だけに着目して語ります。
原作で既に印象的だったオルテガの兜を、
・Ⅲで掘り下げ
・Ⅰで伝説の勇者の足跡を辿るキーアイテムとし
・Ⅱで帰還の象徴とする
この構成があまりにも美しい。
前記事で既に語りましたが、Ⅰにおいて、「せめて無事を伝えられれば」というⅢ勇者の思いが語られるのが絶妙だった。

Ⅲでの切ない思いは、Ⅰで美談のように語られビターエンド…かと思ったらⅡで浄化。
そうだよな、世界を救った勇者が救われないまま終わっちゃいけないよな。
Ⅰは本当に虹の架橋だった。
1つの作品が、最後の感動のための溜めとして機能するとかドラクエじゃなきゃできないよ…
■終わりに
本当にプレイして良かった。
ゲームをできる時間が限られている中、「リメイク」という、少なくとも大枠としては内容を知っているゲームにその時間を費やすことに不安がなかったといえば嘘になる。
その不安を乗り越えてプレイする価値があった。
同じ時間を別のどんなことに費やすより充実した時を過ごせた。
そう思います。
プレイ時間の長さから、全く買うつもりのなかったⅦのリメイクも、今は買う方向に傾いています。
ありがとうドラゴンクエスト。
ありがとう堀井雄二さん、すぎやまこういちさん、鳥山明さん。
ありがとうドラゴンクエストに携わる全ての皆さん。
ゲームという文化を心の底から楽しめる人間になれたのは間違いなくドラクエのおかげです。
息子も楽しんでます。

