見出し画像

紙だけ、WEBだけ。そんな時代じゃないと思っていました。

デザイナーさんに仕事をお願いしながら、少しずつ案件を回すようになっていきました。チラシ、パンフレット、名刺、ロゴ、看板。紙の制作物を中心に、ありがたいことに相談は増えていました。

でも、自分の中では、もう少し先のことを考えていました。紙だけではなく、WEBもまとめて受けられる会社にしたい。

当時、ホームページを作りたいという会社はどんどん増えていました。企業も個人事業主も、「これからはホームページくらい必要だよね」と思い始めていた時代です。だから、ホームページ制作会社も本当にたくさんありました。

ただ、自分は「ホームページだけ作れます」では弱いと思っていました。

チラシを作る。名刺を作る。パンフレットを作る。ホームページも作る。お客様からすれば、どれも別々のものではなく、同じ会社やお店を伝えるための道具です。

だったら、別々に考えるより、まとめて考えた方がいい。当時の自分は、それをかなり自信満々に話していました。

「うちは紙もWEBも内製です」

ここでいう内製とは、外に丸投げするのではなく、自分たちの中で考えて、作って、進められるという意味です。チラシはチラシ会社、ホームページはWEB会社、というように分けなくても、うちでまとめて相談できますよ、ということです。

これが、自分の中では大きな営業トークでした。

内製なので、デザインテイストを統一できます。打ち合わせも一度で済みます。

紙はかわいい雰囲気なのに、ホームページは急に固い。チラシは高級感があるのに、WEBはなぜか町内会のお知らせみたい。そんなふうに、媒体ごとに雰囲気がバラバラになるのはもったいないと思っていました。

同じ会社なのに、チラシでは明るい人。ホームページでは急に無口な人。名刺ではちょっと別人。

媒体ごとに人格が変わってしまうわけです(笑)。

だから、うちはまとめて作れますと伝えていました。チラシも、パンフレットも、名刺も、ホームページも、同じ方向性で作れます。何度も同じ説明をしなくても大丈夫です。打ち合わせの時間も減らせます。

そして、もう一つ強く言っていたことがあります。

ただモノを作る制作会社とは違います。

自分は、デザインだけを見ていたわけではありません。どう売るのか。誰に届けるのか。どこで知ってもらうのか。チラシを配るのか、営業で使うのか、ホームページへつなげるのか。そういう販促や営業、プロモーションの話まで含めて考えていました。

プロモーションというと少し難しく聞こえますが、要するに「どうやって知ってもらい、どうやって買ってもらうか」ということです。

チラシは作って終わりではありません。ホームページも公開して終わりではありません。見てもらって、覚えてもらって、問い合わせてもらって、来店や契約につながって初めて意味があります。

だから自分は、こう言っていました。

「今の時代、紙だけとか、WEBだけとか、そういうことではありません」

「クロスメディアの時代です」

クロスメディアとは、チラシやパンフレット、ホームページなど、いろいろな媒体を組み合わせて伝える考え方です。たとえば、チラシを見た人がホームページを見る。ホームページを見た人が問い合わせる。営業先で渡したパンフレットから、さらに詳しい情報をWEBで見てもらう。

それぞれをバラバラに作るのではなく、つながるように作る。当時の自分は、ここにかなり可能性を感じていました。

そして営業中は、なかなか熱く話していました。うちは紙もWEBもできます。販促や営業の話も分かります。だから、ただ言われたものを作るだけではなく、アイデアも出せます。お客様の負担も減らせます。

今思い返しても、言っていること自体は間違っていなかったと思います。むしろ、かなり良いことを言っていました。問題は、そのあとです。

まとめてできます、と言った瞬間から、まとめて責任も増えました。

紙もWEBも受ける。販促も考える。営業の使い方も考える。デザインの統一感も見る。お客様への提案もする。打ち合わせもまとめる。

お客様の手間を減らすつもりが、こちらの手間はどんどん増えていきました。しかも当時の自分は、ここにもう一つ、かなり分かりやすい特典をつけていました。

複数まとめてご依頼いただければ、お値引きできます。お客様には優しい言葉です。

会社には、なかなか厳しい言葉でした(笑)。

つづく。


▼前回のお話はこちら

▼次回のお話はこちら

▼これまでのお話をまとめて読む

いいなと思ったら応援しよう!