デザイナーさんにも、かなり個性がありました。
仕事が増えると、自分一人では回らなくなります。そこで、デザイナーさんに仕事をお願いするようになりました。起業当初は2人ほどでしたが、案件が増えるにつれて、この案件はこの人、あの案件はあの人、というように振り分ける必要が出てきました。
ここで初めて気づきます。
人にお願いすれば楽になる、というわけではありませんでした。
もちろん、デザインをお願いできることは本当にありがたいです。自分一人では作れないものを形にしてくれる。お客様に喜んでいただける制作物ができる。そこは間違いなく助けられていました。
ただ、デザイナーさんにも、いろいろな方がいました。社内締切に間に合わない。遅刻や休みが多い。こちらが確認したい時に、なかなか連絡がつかない。前日に飲みに行っていたのか、翌日まったく反応がない。
デザインより先に、生存確認をしたくなる日もありました(笑)。
もちろん、悪口を書きたいわけではありません。みなさん、それぞれ良いところはありました。センスがある人、作業が早い人、お客様の雰囲気に合わせるのが上手い人。こちらが助けられた場面も、たくさんあります。
ただ、仕事はセンスだけでは回りません。
いつまでに初稿を出すのか。修正はいつ戻るのか。お客様への提出日はいつなのか。そのスケジュールを守ってもらわないと、最終的に困るのは自分です。
そして、自分が困るだけでは終わりません。お客様も待っています。ここが一番怖いところでした。
デザイナーさんの作業が遅れる。こちらの確認が遅れる。お客様への提出が遅れる。すると、前に書いたように、催促の連絡が来ます。
「その後、どうなっていますか?」
この一文が来るたびに、心臓に悪い。
でも、その原因はデザイナーさんだけではありませんでした。誰に何をお願いして、いつまでに上げてもらうのか。それをきちんと管理できていなかった自分にも原因がありました。
人に振ったつもりで、管理は振れていませんでした。
これが大きかったです。
仕事をお願いした瞬間、少し安心してしまう。でも本当は、そこからが進行管理の始まりです。任せることと、丸投げすることは違います。
当時の自分は、その違いがまだ甘かったと思います。
「お願いしました」
「よろしくお願いします」
「いい感じでお願いします」
それで仕事が勝手に進むなら、こんなに楽なことはありません。
でも現実は、そんなに甘くありませんでした。いい感じでお願いすると、だいたい、こちらが想像していない“いい感じ”で上がってきます(笑)。
そこから修正が始まる。また確認する。また戻す。
そして納期が近づく。
結果、自分の仕事は減るどころか、確認、催促、修正指示、謝罪の準備まで増えていきました。
デザイナーさんに仕事を振ったのに、自分の仕事が減らない。
なかなか不思議な現象です。
でも今なら分かります。
人に任せるには、任せ方が必要でした。目的を伝える。納期を決める。優先順位を共有する。途中で確認する。遅れそうなら早めに手を打つ。お客様に出す前に、こちらで責任を持って整える。
そこまでやって、初めて「任せる」なのだと思います。
当時は、仕事を取ることに必死でした。取った仕事をどう回すか。誰とどう進めるか。どうすればお客様を不安にさせずに納品できるか。そこまでの仕組みが弱かった。
だから忙しかった。だから時間がなかった。だからお金も残りにくかった。
デザイナーさんに振れば、自分が楽になると思っていました。でも、実際は違いました。
人に仕事をお願いするほど、自分の管理力が試されていました。
そして次に、自分はさらに大きなことを考え始めます。
紙のデザインだけではなく、ホームページもまとめて受けられる会社にしたい。
仕事を回す仕組みもできていないのに、今度は仕事の幅まで広げようとしていました。
我ながら、なかなか前向きです。というより、少し無謀です(笑)。
つづく。
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