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【和陰少女】第七幕『神隠し』|連載小説|和風ダークファンタジー|妖怪|美少女|AIイラスト

前回

#創作大賞2026
#エンタメ原作部門


稲にしがみついていたカエルがトンボを取りそこね、
無様に田んぼに落ちるのを見て、また前を向く。

「むー、本かのー」

「へぇー。
 あんた、文字読めるんだ」

「お主よりはかなり読めるじゃろうな」

「言ったわね!!
 じゃあアレは?」

紫乃は道の先にあるY字路の大きな木のふもとにある
”このさき洞窟あり”という看板を指さした。

「ふっ。
 簡単じゃ。
 ”このさき銅あり”じゃ!!
 おそらく銅がたくさん採れるのじゃろう」

「すご……
 ほんとに読めるのね……」

「おやおや、可愛いやり取りですな。
 ちなみに、書いてあるのは”この先洞窟あり”ですな。
 いや、惜しい。」

看板の裏からぬっと白い長いヒゲを紐で束ねた老人が現れた。

「全然読めてないじゃない!」

「なっ!……
 わしは洞窟ありと言ったぞ!
 聞き違いじゃ!
 銅が取れる洞窟と言ったんじゃ!!」

「採れませぬぞ」

「なっ!!……
 こ、コヤツは嘘をついておる!
 付き合いの長いわしよりこやつを信じるのか!?」

「あんただって昨日会ったばっかでしょ」

「むっ……
 おい、お主!
 そこで何をしておるんじゃ!
 お主のせいでわしは赤っ恥じゃ!」

「あぁ、私ですか。
 ここに看板を立てようとしておりました。」

真新しい板でできた看板を老人が撫でる。

「看板?もうにあるじゃない。」

「いや、実はここの先で数年前から人がいなくなるという事件が起きておりましてな。
 私の倅も数年前行方不明になったのですが、最近は特に多く……
 注意の看板でも立てようかと……」

「神隠しってこと?」

「まぁ、そんなとこですな……」

「わしは隠しておらぬぞ!」

「あんたみたいなチンチクリンがそんなことできるなんて思ってないわよ。」

「チ、チンチクリン!?
 おい!取り消せ!」

「ねぇ、この洞窟の先って何があるの?」

「おい!無視するな!」

「あー、沼ですな。赤沼という沼がありますな。」

「へぇ、沼ねぇ……
 ねぇ、しろ——」

「行かぬぞ!!」

「まだ何も言ってないじゃない。」

「言わずともわかる!
 行きたそうな顔をしておる!」

「し、してないわよそんな顔!!
 で、でも、もしかしたらお姉がいるかもしれないじゃない!」

「そんな所に居るわけなかろう。
 お人好しも大概にするんじゃな。」

「居るかもじゃない!
 隠れやすそうじゃん!
 それに別に……お人好しじゃ……」

「あのー……
 もし行くのであれば、家でお話でもどうですかな?
 色々とお話できることもあると思いますが。」

老人が二人のやり取りに割って入る。

「嫌じゃ。
 なぜ2日連続で爺の家に——」

「お団子くらいは出せますが……」

「よし行こう。」

「ちょっと、しろ!
 あんたさっき嫌だって。」

「それは、団子を食べて考えれば良い。
 それに小腹が空いたしの。
 団子♫団子♫」

しろが気味の悪い踊りをしながら老人の後をについて行く。

「あんたさっき、弁当食べてなかった?」

「別腹じゃ!
 で、どこにあるんじゃ?
 お主の家は。」

「この先の赤沼村ですな。」

「ちょっと!待ってよ二人とも!!」



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