【和陰少女】第八幕 「桔梗」|オリジナル小説|連載|ダークファンタジー|和風
前回
雲と霧で少し鬱蒼とした朝と昼の間の時間。
赤沼村のとある藁葺の一軒家。
一人の子供が仕事終わりの父を迎える。
「おとーちゃん。
おかえりー」
「あー。
ただいまぁ……」
「おとーちゃん、
たけのこ取れたぁ?」
「たけのこぉ?
あぁ、そうだったなぁ
あぁ……取れた取れた。
たーくさん取れた」
「あれ?おとーちゃん。
そのお手々、なんで包帯巻いてるの?
怪我しちゃったの?」
「あー、そうだったなぁ。
これのお陰でよぉ……取れた取れた。
たくさん。子供の首が。
取れた取れた取れた取れた取れた取れた取れた取れた取れた取れた」
男は右手の赤黒く鈍く歪に大きな鎌のように変形した腕を振り上げる。
ーービチャ……
「なんだろうなぁ……
なんかいつもとちげぇなぁ……
あぁ……なんだ?……
また、たけのこが落ちてらぁ……」
ーーピピー!!
「おん?……」
「出てこい!!
奉行所のものだ!」
ーーガラッ
外に出ると5,6名の黒の着物を着た男たちが家を囲んでいた。
「あー……
御奉行さんですかぁ……
こんな時間に一体何のようでぇ?」
「おまえ……勘七か?……お前……その腕……」
「知り合いか?」
一人だけ白い羽織の薄い紫の長い髪をした
十代半ばほどの少女が奉行の男に尋ねる。
「はい、幼馴染の竹取りの倅でさ
でも、あんな……まるで……」
「まるで、妖怪か?」
「あー、お奉行さん。
良いたけのこが取れたんですよぉ……」
「下がってろ。
知り合いを切るのはつらかろう
私が駆除する。」
「今日はたけのこがぁ……たーくさん……
たけのこが、たけ……たけのこぉ、みーっけ!!」
勘七と思しき妖怪が狂乱しながら羽織の少女に突進し、鎌を乱舞する。
羽織の少女はそれをヒラリヒラリと紙一重で躱す。
「おかしいなぁ……
全然取れねぇぞぉ……」
ーースパッ
「あれぇ……
取れた……取れた……
あれぇ?……
これ……俺のくび……」
ーーバタッ……
「すまんな。
子と一緒に埋めてやる。」
刀についた血を拭いつつ、桔梗が奉行の男に尋ねる。
「……それにしても、今月は多いな……
何件目だ?5,6か?」
「16件目です桔梗さん」
「そうか。
そんなにか……どおりで慣れるわけだ。
この人かもわからんものにも……
……おい、子供たちの遺体を集めろ。
できるだけ揃えて親元に返してやれ。」
「いや……でも、原型ないですぜ」
「グダグダ言うな。
お前も原型なくされたいか?」
「つっ!爪一本残さず集めてきやす!!」
「はぁ……こんな田舎町まで……
お華に任せるべきだったな……
……疲れるな。」
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