反省って、悪いところを探すことですか?
――俳優思考・第二十六回
「反省」とは、自分の良くなかった点を認めて、改めようと考えること。
と辞書には記されております。
まぁ、そうですよね。何か失敗したら、「どこが悪かったんだろう?」と考える。そして、次は同じことをしないようにする。それが反省なんだと思います。
日本の教育って、どこか反省を美学とする風潮がありますよね。もちろん、向上心もあってのことですから、悪い点は改めて前に進むという考え方は素敵なことだと思います。
でも、ちょっと気になることがあるんですよね。
例えば、演出していて、「自分の演技、どうだった?」と聞いたとします。
そしたら、「声が小さかったです」「セリフを噛みました」「感情が足りませんでした」みたいなことばかり返ってくる。
「じゃあ、今日一番良かったところは?」と聞くと、急に黙りこむ。
おいおいおい!
というか、そもそもなんですが、
自分が思う「悪い点」って、本当に悪い点なんでしょうか?
例えば、本人は「声が小さすぎました」と反省していても、私からすると「いや、その声が良かったんだけどな」って思うこともあるし、「セリフを噛みました」と言っていても、「いやいや、そこが面白かったんだよ」なんてこともある。
結局、自分が良いと思うもの、悪いと思うものって、これまで生きてきた中で培われた価値観だったり、固定観念だったりするわけでね。
だから、反省すること自体はいい。ただ、何でもかんでも「自分の悪いところ」として処理しなくてもいいんじゃないかなと思うんです。
それに、「あそこが駄目だった」「もっとこうした方が良かった」と考え続けているのは、反省というより、後悔に近いような気もしますし。
もちろん、これは「反省をするな」と言いたいわけじゃありません。
ただ、そこに捉われすぎなくてもいいんじゃないの、という話です。
ずっと失敗に固執して、「自分は駄目だった」と駄目なところを自分でどんどん掘り起こして、そのまま落ち込んでいくというのは、ちょっと違うんじゃないかと思うんです。これはもう、何も始まりません。
それなら、「ここが良かったから、じゃあもっとこうしてみよう!」って考え方の方が、すごく建設的だと思うんです。
実際、稽古をしていても、そういう人のほうが伸びたりもしますしね。
つまり、全部を否定するんじゃなくて、「ここは面白かったな」と思えるところを見つける。そこをもう一回やってみる。さらにちょっと大きくしてみる。すると、最初は意識していなかったところまでが変わってきたりするんです。
逆に、「ここが駄目だった」と思ったところばかりを直そうとしていると、どんどん無難になっていく傾向もあって…。なので、本人としては良くなっているつもりでも、見ている側からすると、最初にあった面白さまで消えてしまっているんだよって。これはもう本当に勿体ない。
そりゃ、完璧であるに越したことはないですよ。
でも、欠点もあるから、人ってのは輝くんじゃないのかなと思っています。
だから、反省の仕方で先が変わるような気がしています。
反省っていうのは、自分を責めるための時間じゃなくて、自分を知るための時間でもあるんじゃないかな。
あ、知ってました?
実はね、悪い理由を探すより、良い理由を探す方が難しいんですって。
だから、悪いところを探しちゃうんですよね。そっちのほうが簡単だから。
簡単なことばかりやっちゃうんですよね……人ってやつは。
でも、せっかく反省するなら、自分の中にある「良かった」を探してみませんか。これ、あるあるなんですが、悪い点を正すより、良い点を追求している方が、結果、正していかなきゃいけないところが、勝手に正されていったりもするんです。
さて、今日のあなたの反省会。
悪かったところ、いくつありましたか?
じゃあ、その倍ぐらい、良かったところも探してみましょうか。
次回はこちら→『そのブレーキ、誰が踏んでるんですか?』
前回はこちら→『経験は、増やすためじゃなく比べるためにある』
まとめはこちら→【俳優思考】
いいなと思ったら応援しよう!
もしこの記事が何かのきっかけになっていたら、とても嬉しいです。