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若冲は、もう1人の天才にためらう、の話 - 東京藝大美術館 -相国寺展

前置きしておきますと、
私は、若冲は天才だと、思っています。

ただ、それ以上に、
若冲自身もそれをよくわかっているので
私に、自身を推してくるお人だよなぁ。
天才である以上に「自分、天才!」推しの強い人ですよなぁ、、
という印象です。

そのあたりの記事は、以前こちらでご紹介してみました。

でも、今回は
「絵も(絵師も?)、現場によって気を遣うのかなあ?」という
ちょっと興味深いエピソードです。


相国寺展

相国寺展は、2025年の春に、東京藝術大学大学美術館の本館で開催された展覧会です。

展示リストを見ても、すばらしい作品がたくさんきた展示だなあと懐かしく思います。

https://museum.geidai.ac.jp/exhibit/file/itemlist_tokyo.pdf

相国寺は、室町幕府三代将軍・足利義満(1358~1408)が永徳2年(1382)に発願し、京五山禅林の最大門派であった夢窓派の祖・夢窓疎石(1275~1351)を勧請開山に迎え、高弟の春屋妙葩(1311~1388)を実質的な開山とし創建された禅宗の古刹です。今も京都の地、御所の北側にその大寺の姿を誇り、金閣寺、銀閣寺の通称で名高い鹿苑寺、慈照寺を擁する臨済宗相国寺派の大本山です。
創建から640年あまりの歴史を持つ相国寺は、時代を通じ、数々の芸術家を育て、名作の誕生を導いてきました。室町幕府の御用絵師とされる相国寺の画僧・如拙と周文。室町水墨画の巨匠と称される雪舟。 江戸時代の相国寺文化に深く関わった狩野探幽。そして、奇想の画家・伊藤若冲、原在中、円山応挙...。
中世に規範を得た相国寺文化圏の美の営みは、近世、近代、現代へと時を繋ぎ、相国寺、鹿苑寺、慈照寺が所有する美術品は相国寺境内にある承天閣美術館で公開されてきました。
本展覧会は、相国寺承天閣美術館開館40周年を機に開催するものです。 国宝・重要文化財40件以上を含む相国寺派の名品を中心に紹介し、相国寺の美の世界をみつめ、未来へ託します。

相国寺展より(https://museum.geidai.ac.jp/exhibit/2025/03/Shokoku-ji%20.html

応挙の、それはそれは大きい滝の絵「大瀑布図」や、
若冲の「鹿苑寺大書院障壁画 葡萄小禽図」など、
名品が多かった展示です。

この展示では、若冲の絵がたくさん来ていました。
若冲は相国寺と関わりが深かったので、たくさん絵を書いています。
先述した「鹿苑寺大書院障壁画 葡萄小禽図」は、
相国寺と関わりの深かった鹿苑寺(金閣寺ですね)の所蔵で、
特に好きな作品です。

こちらで一部、詳しく紹介されていました。

最近のデザインかな?と思うほどに、モダンで、おしゃれですよね。

竹虎図も素晴らしかったです。
別の展覧会のページで見ることができたので、ご紹介しておきます。
https://www.koryomuseum.or.jp/showing/45/viewbody

ああ、竹虎図の、竹の描写。
こんなにもカッコ良すぎて、
「すごすぎる、どうしよう、あわあわ」と、
みてるこっちが天才を目の前に、あわあわそわそわしちゃう。

これだけすごい絵がこぞってきていると
若冲の「はよこいコール」が来てもおかしくないのですけど。

あれ、お呼びが来ないぞ。
若冲の絵が、見事な絵が並んでいるのに、
すべて、「しーーーーーーーん」としている。


????

なぜ呼んでこないのだろう。
今日はいないのか?空っぽ??  いや、いる。なんか、いるな。

じゃあなんで黙ってるんだろう。
もう、私を呼んでくれないんじゃないか、ちょっと不安になりました。

でも、すぐあとに、その謎が解けるんです。

若冲の絵、その先に見えたもの

それは突如やってきました。

若冲の絵が展示されている先、壁側に、いくつかの掛け軸が展示してあり、
そのうちの1枚がふっと目にはいった瞬間に

ばばーーーーん!!

と、その絵が2メートルくらい前に、飛び出てきました。

おお、絵が、展示のガラスを突き抜けて前にでてきている。
こういうことってあるんだ。
初めての経験でした。

目が悪いので、何を書いているかわからない。
人?中国の仏像??なんだろ。
そして、誰が書いているのかもわからない。

でも、
「誰の何かはわからないけど、飛び出てくるほどなら、
今回の展示でダントツ、すごいものなんだろうな」
と思いました。


若冲と、もう1人の天才

飛び出る絵は、順路で巡っていったら、何か、わかりました。
合点いきました。

雪舟の毘沙門天像 でした。

こちらで紹介しておりました。ご参考にどうぞ。

絵の目の前に立つと、飛び出さずに、元の絵の場所に戻って?いました。

こちらの毘沙門天像は、
雪舟の絵は国宝をいくつかみていますが、
そのどれとも違った雰囲気があります。
絵としても、掛け軸で、小さめです。
でも、素晴らしい絵とは、やはり圧力がすごいですね。
2m前に出てくるくらいの絵は、目の前で見ても、すごい。

若冲が黙っていた理由

若冲が黙っていた理由は、なんとなくここで腑に落ちました。
黙っていた、というより
「しらーーーっ」と目を合わせてくれない感じだったんです。
知り合いなのに、知らんぷりされている感じ。

あ、これは、雪舟に気を遣っているゾ。
直感的に、そう思いました。

若冲も、雪舟の毘沙門天像が「段違い」なのを知っているのか。
この絵の前では
「われの(すばらしい)絵をはよみにこい」
とは、よう言えんかった。

ということなのかしら。


時代からいって、若冲は雪舟の絵を見ていたでしょうね。
相国寺と縁深かったので、
まさにこの絵を見たかもしれません。
もしかしてもしかしたら
私と同じ「ばばーーん」を経験したかもしれません。

若冲ほどの天才なので、
雪舟が天才であったことも、
痛いほどわかったでしょうね。

だから、この絵に気を遣って、
今日は「自分天才!はよこい!」は言わずに黙っている。

そんなふうに感じました。
若冲さん、「自分が一番!」って言えない日もあるんですね。

雪舟は呼ぶのか

ちなみに、
雪舟は、「はよ」とは言ってきませんでした。

無言で毘沙門天をばばーーーーんと前に出してきて。
無言。

「あとはそっちで判断しろ」「わかるなら、わかるだろう」
みたいな、
どっしりとした感じです。

ただ、雪舟は、ずっと大好きだったので、
どういった手法でも、
呼んでくれた、アクションをとってくれた、
と捉えると、とてもとても、光栄です。

今回は
若冲が引いて、
雪舟が前に出てきた。

雪舟も若冲を知っていた?
いや、当時、という意味ではなく
(雪舟は若冲より300年も前の人ですので。)
今回、雪舟の絵も、若冲の絵があることを知っていた。
のでしょうか。
知っていて、自分が前に出てきた。

そんな、天才同士の駆け引きがあったとしたら
絵の裏の世界って、、きっと面白い世界なのでしょうね。


今回の現象と、審美眼の関係性について

ばばーーん、があったから、
私に審美眼がある、とは、思えないのですが。

後日、この展示に別日に行った友人
(師匠「はじめに03」参照)とお茶した時、
「展示の中で、特によかった絵の絵葉書を買ってきたよ」
と、見せてくれた葉書が、

この、毘沙門天像でした。


その友人は審美眼があります。
(アーティストですし)

なので、あの絵のこと、すごいってやっぱり思うんだーーー!となって、
嬉しかったです。

もしあなたが、次に雪舟と会うことがあれば
「ばばーーん」やってみてください、
とお願いしてみてください。

もしかしたら、見れるかもしれません!

次の雪舟の展示が楽しみですね。




質問、聞きたいこと、ご感想等、
お気軽にコメントを書いていただけるとうれしいです。


よろしければこちらも読んでいっていただけるたら、さいわいです。

はじめに01
https://note.com/killamaru/n/n0cb504116a87
書き始めた経緯やこのNoteの説明など

はじめに02
https://note.com/killamaru/n/n3b42879699f8
「はじめに」の続きですが、私のNoteの中では、♡率が高くて、ありがたいです。

はじめに03 -審美眼は何年で身につくもの?
https://note.com/killamaru/n/ne9792bc439fe

<若冲>
若冲からはじめて呼ばれた話 -泉屋博古館東京-
https://note.com/killamaru/n/n79a61287feed

若冲は、今日も私を呼ぶかしら - 三井記念美術館「円山応挙」展 -
https://note.com/killamaru/n/na07051e46676

若冲は、もう1人の天才にためらう、の話 - 東京藝大美術館 -相国寺展
https://note.com/killamaru/n/n85b940e93ef9

<ゴッホ>
[ディープ]ゴッホのひまわりって、おいしいの? - 西洋美術館 ロンドン・ナショナル・ギャラリー展
https://note.com/killamaru/n/n69330619f156

「あなたはどんな鑑賞タイプ?」と「ゴッホの死相」について ゴッホ展 -東京都美術館-
https://note.com/killamaru/n/na3e315c32ca0

<美術展>
ブラックホールを作りだせる画家 -仙厓展@出光美術館- [ディープ]
https://note.com/killamaru/n/n576fe4a903b7

絵から音がしない理由 -ユトリロ展(SOMPO美術館)-
https://note.com/killamaru/n/nd086f4b57077

伊勢物語展 -根津美術館- 岩佐又兵衛に感じるもの
https://note.com/killamaru/n/n522358cdf891

僧侶の背中には、実は何があったのか -特別展「運慶 祈りの空間―興福寺北円堂」-
https://note.com/killamaru/n/nb87fb034c08e

<つぶやき・近況>
近況01 - 近日アップ予定云々 -
https://note.com/killamaru/n/n8ccdcabb85ef

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