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絵から音がしない理由 -ユトリロ展(SOMPO美術館)-

数あるnote記事の中から
こちらを読んでいただきありがとうございます。

SOMPO美術館のユトリロ展の会期中に
記事UPを
なんとか間に合わせることができました。

新宿SOMPO美術館の
ユトリロ展は
2025.12.14までです。

ぜひ見にいってみてくださいね

ユトリロの人生史や美術史、
絵としての解説はあまりここではできておりませんので
他の方のnoteをぜひ読んでみてください。

私の方は
絵から受け取ったことを
私なりに、まとめてみました!
参考になりましたら、嬉しいです。




ユトリロ、病院の白?


ユトリロは絵画を見始めた頃から好きでした。
ユトリロといえば、白。
映える白に、おしゃれなパリの街。

ユトリロ展、見に行くよ!と伝えたところ、
親友(師匠)曰く、
(師匠:「はじめに03」参照
https://note.com/killamaru/n/ne9792bc439fe

ユトリロの白は、
「精神病院の消毒液の匂いのしみついたシーツの白、なんだよな」
とのこと。

実は恥ずかしながら、
ユトリロが精神を患っている話は知らなかったので

えーーそうなの!?と、初めて知って驚きました。


親友(師匠)とそんな話をしつつ、
じゃあユトリロは絵画界の三大メンヘラ衆の一人だね。
なんて話していました。
失礼ながら、勝手に認定、ごめんなさい。

私たちの中で、三人衆とは、
ゴッホ、ムンク、ユトリロ。です。

(ちなみにこのお三方、私は大好きです。)

ユトリロの白を見て、
病院のシーツを連想するあたり、
師匠って、やはりすごい。


白と静寂

ユトリロが白い絵を書いていた時代、
「白の時代」と言われ
傑作やファンが多いようです。

多分に漏れず、私もこの白の時代が好きです。


すごく、静かな絵です。


パリの街は賑わっていたと思うんですが、
人が極限まで減らされていて

静寂を感じる絵。

ここまで静かな絵って珍しいな、と思いました。

静寂の絵。
他にどんな絵があるでしょうか。
ハマスホイ?

カラバッジョなどもドラマチックで
時間が止まっているような静けさがありますが

でも、どれともまた、違う感じです。

静かな絵って、
なぜ描くんだろう。
どうやって描くんだろう?
そして、どんな人が描くんだろう?

疑問に思いました。

絵画の持つ雰囲気と、人格の乖離(かいり)

絵と一緒に、
ユトリロの手紙や発表された文章なども展示してありましたが、
彼はなかなか
自己顕示欲の強い、クセ強めのタイプなのね、、
という印象でした。

しかも、ママンにあてた手紙などは
ちょっと、こじらせすぎていて。

あんなにキャラが濃くて、
文章がまあまあうるさいタイプの人なのに
静かな絵を描いている。

その人に対して感じた印象と
描かれた作品の印象は
乖離(かいり)することがままあるんですね〜。

というより、濃いめうるさめの性格を
絵の方には表現せずに抑えられるものなのですね。

そういうところって
滲み出ちゃうんだと思ってました。



ただ、私が好んで見る絵画は
亡くなっている方が多く
「人となり」が見えるのは
ひとづてや手紙、記録などだけですので

もしかしたら、
展示から見えている性格は一端で
描かれた絵と
その人の見えない奥底の本質は一致する
なんていうことも、あるのかもしれません。

現代美術家さんなどで、
すごく明るくて、社交的で、口数が多いタイプなのに
作品はいたって静寂

そういうこともあるのかしらん。

逆もあるのかな。
本人は陰キャなのに
絵は陽キャ、みたいな。

そんな方に出会ってみたいです。

静寂を描いた理由

さて、
キャラ濃いめ、言葉多めのユトリロが
静寂を描いた理由。

うるささを隠せた理由
とも言えるのでしょうか。

彼は、かなり若い頃から
しかも子供の頃から
アルコール依存症だったと聞きます。
酒乱でもあったようで

治療の一環として周りが絵を始めさせたようです。

そこから
どのようにして静寂のパリを描いていったのでしょうか


迫り来る陰に身を潜めて


私はアルコール依存症になったことがありません。
酒乱も経験がありません。

でも、うつ病については
書けることがあるかもしれません。



紫の雲が追ってくる。

常に怯えていました。

背中の方から、
紫のドス黒い雲が被さってくるのです。


これに覆われると
何も考えられなくなるのです。

ただただ、悲しい。
つらい、つらい、つらい。

死にたい。

こんな自分も嫌だ。
消えてしまいたい。


うつ病とは、
こんなふうになってしまう病気です。

(個人差も、感じ方も違うかと思います)


正常に戻りたいんですが
あいつが、それを許さないのです。

あの雲が来ませんように。
あの雲に、見つかりませんように。

いつもあいつから、
逃げていました。
時にはベッドの中に身を潜めて
ただ泣きながら祈るのです。

あいつにみつかりませんように。
あの悪魔に。

ユトリロはひそんでいた

アルコール依存症にも
似た部分があったのではないでしょうか

飲みたいという衝動がせまってくる
来てほしくないあいつ

なりたくない自分になってしまう恐ろしさ

あの悪魔から
身をひそめることもあったのではないでしょうか

悪魔からひそみ、祈る日々。

彼にとっては
絵を描くことが祈りだった

だから絵をかいている時は
ひそめていたんです

声も、息も
すべての音をころし
あいつが通り過ぎるのを、待つ。

筆を、しずかに、しずかに。

筆を止めたら
あいつに見つかる。
音をだしても
あいつに見つかる。


どうか、見つからずに過ぎ去ってくれ。

祈りをこめて

ひそめて描いた絵は静かだった

その時期に描かれた絵は
静寂そのものです。

あいつからひそむように
祈りを込めて描かれた絵

私には、
そのように感じられました。

白の部分が
祈りともとれる
切実な筆致

そして
祈りの象徴ともいえる
教会の絵


ちなみにユトリロは
ゴッホの倍ほど生きました。


彼は絵を描くことで
あいつから逃げ切れた。

ということでしょうか


その後は、、賛否両論?


その後結婚なども経て
彼の絵は色彩豊かになっていきます。

私は白の時代以降の絵は
「うわわ」ってなって
直視できませんでした。
今の私には
うけつけられないようです。

友人も
「もってかれるから見れない」と言っていました。


実際は賑やかな時代なので
静かな白の時代より
お好きな方もいらっしゃるかと思います。

絵の受ける印象は、さまざまのようですね。

そしてユトリロは71歳まで生き
たくさん絵を描きました。

生きてくれればこそ


ユトリロは
1883年生まれのモンマルトルの画家です。

その程近くのモンパルナス。
「モンパルナスの王子」と謳われた
1885年生まれの画家に
ジュール・パスキンがいます。

私は彼の絵が好きです。

女性の絵が人気で
白い肌が美しいです
茶色系の絵も多いですが
どれも美しいです。

ご参考にポーラ美術館の絵を解説をどうぞ

彼は、うつ病とアルコール依存症に苦しみ
45歳の若さで自殺してしまいます。
やつから、逃げきれなかった。

彼のその先の絵がみたかったな。
とてもとても残念で、悲しいです。
ユトリロと年が近く
場所も近かっただけに
対比して
パスキンの人生というものを
考えさせられます。


同じく私が大好きな
ロートレック。
彼もアルコール依存症(と梅毒)で
36歳でこの世をさっています。
ゴッホよりも若く
逝ってしまいました。

やはり彼ももっと生きていたら
さらにたくさん絵が残されていたでしょう。
残念でなりません。


さらにユトリロと対比される
パリの街を描いた佐伯祐三。
彼も30歳で亡くなっていますね。
(結核→自殺未遂→衰弱死)




そう考えると
ユトリロは
なにはともあれ
長生きしてくれてよかったなと

なんだかホッとします。

ぜひユトリロの祈りに触れに
ユトリロ展にいってみてくださいね



質問、聞きたいこと、ご感想等、
お気軽にコメントを書いていただけるとうれしいです。


よろしければこちらも読んでいっていただけるたら、さいわいです。

はじめに01
https://note.com/killamaru/n/n0cb504116a87
書き始めた経緯やこのNoteの説明など

はじめに02
https://note.com/killamaru/n/n3b42879699f8
「はじめに」の続きですが、私のNoteの中では、♡率が高くて、ありがたいです。

はじめに03 -審美眼は何年で身につくもの?
https://note.com/killamaru/n/ne9792bc439fe

<若冲>
若冲からはじめて呼ばれた話 -泉屋博古館東京-
https://note.com/killamaru/n/n79a61287feed

若冲は、今日も私を呼ぶかしら - 三井記念美術館「円山応挙」展 -
https://note.com/killamaru/n/na07051e46676

若冲は、もう1人の天才にためらう、の話 - 東京藝大美術館 -相国寺展
https://note.com/killamaru/n/n85b940e93ef9

<ゴッホ>
[ディープ]ゴッホのひまわりって、おいしいの? - 西洋美術館 ロンドン・ナショナル・ギャラリー展
https://note.com/killamaru/n/n69330619f156

「あなたはどんな鑑賞タイプ?」と「ゴッホの死相」について ゴッホ展 -東京都美術館-
https://note.com/killamaru/n/na3e315c32ca0

<美術展>
ブラックホールを作りだせる画家 -仙厓展@出光美術館- [ディープ]
https://note.com/killamaru/n/n576fe4a903b7

絵から音がしない理由 -ユトリロ展(SOMPO美術館)-
https://note.com/killamaru/n/nd086f4b57077

伊勢物語展 -根津美術館- 岩佐又兵衛に感じるもの
https://note.com/killamaru/n/n522358cdf891

僧侶の背中には、実は何があったのか -特別展「運慶 祈りの空間―興福寺北円堂」-
https://note.com/killamaru/n/nb87fb034c08e

<つぶやき・近況>
近況01 - 近日アップ予定云々 -
https://note.com/killamaru/n/n8ccdcabb85ef

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