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転職で年収だけ見ると外しやすい──30代IT職が先に比べるべき3つの差

転職サイトを見ていると、どうしても最初に目に入るのは年収です。

いまより50万円高い。
フルリモート。
残業少なめ。
肩書きも少し良く見える。

条件表だけを見れば、前に進んでいるように見えます。
でも、30代の転職は、条件が良くなっただけでは成功と言い切れません。

入社して半年、一年たったあとに、思ったほど手応えがない。
年収は上がったのに、仕事の納得感が薄い。
忙しさは減ったのに、このままでいいのかという不安だけが残る。

こういうズレは、珍しくありません。

僕は、30代のIT職の転職で本当に効いてくるのは、条件差より役割差だと思っています。
もっと言えば、その会社に入ったあと、自分に何が求められるのか。
どんな重さを引き受けることになるのか。
ここを見ないまま決めると、転職は外しやすくなります。

今日は、30代IT職が年収より先に比べるべき3つの差を整理してみます。

1. 決める仕事の量

一つ目は、決める仕事の量です。

同じIT職でも、任される仕事の中身はかなり違います。
作ることが中心の仕事もあれば、決めることが中心の仕事もあります。

たとえば、

  • 仕様の優先順位を決める

  • 関係者の意見が割れたときに方向を決める

  • スケジュールと品質のどちらを優先するか判断する

  • どこまでを今回やるか線を引く

こういう仕事が増えるほど、負荷は上がります。
でも同時に、役割の密度も上がります。

30代の転職で見落としやすいのは、年収が上がることと、決める仕事が増えることが、必ずしも一致しないことです。

年収は上がった。
でも、実際に任されるのは、前職よりも狭い範囲の実務だけ。
会議には出るけれど、最終判断は別の人がする。
責任はあるようで、裁量は薄い。

この状態だと、短期的にはラクでも、中長期では手応えを失いやすいです。

逆に、多少大変でも、何を決める役割なのかが明確な職場は、30代以降の伸びにつながりやすい。
なぜなら、判断経験はそのまま次の市場価値につながりやすいからです。

転職先を見るときは、仕事内容の幅だけではなく、何を自分が決めるのかを見たほうがいい。
ここは、条件表だけでは見えません。

2. 調整密度

二つ目は、調整密度です。

ITの仕事は、技術だけで完結しません。
むしろ30代になるほど、人と人の間に立つ時間が増えます。

顧客と開発。
ユーザー部門と情シス。
営業と現場。
自社メンバーとベンダー。

この間に立つ頻度が高い仕事ほど、見えない負荷は大きくなります。

ここで大事なのは、調整が多いこと自体を悪いと決めつけないことです。
調整密度が高い仕事はしんどいです。
でも、そのしんどさの中に、上流に近づく要素が含まれていることも多い。

問題なのは、自分がどの種類の調整に耐えられるかを見ないまま転職することです。

たとえば、技術議論は苦ではないけれど、政治的な調整が続くと消耗する人もいます。
逆に、仕様を詰める対話は得意でも、社内稟議や根回しが多い組織では疲れやすい人もいます。

同じ年収アップでも、

  • 顧客折衝が増えるのか

  • 社内調整が増えるのか

  • ベンダー管理が増えるのか

  • 部門横断の合意形成が増えるのか

これで仕事の体感はかなり変わります。

30代の転職は、忙しいかどうかより、どんな種類の調整が増えるかを見たほうが外しにくいです。
忙しさは慣れで吸収できても、合わない調整は、じわじわ消耗を残すからです。

3. 業務理解の深さ

三つ目は、業務理解の深さです。

これは意外と後回しにされがちですが、30代で差が開きやすいポイントです。

システムを作るだけの仕事と、業務を理解したうえでシステムを扱う仕事では、同じIT職でも積み上がるものが違います。

画面や機能を担当して終わるのか。
その機能が、現場の何を変えるのかまで踏み込むのか。
運用や業務フローまで理解して改善に関わるのか。

この深さが違うと、数年後の選択肢が変わってきます。

上流に寄りたい人。
PMやPMOに寄りたい人。
コンサルや業務改善に接続したい人。
そういう人ほど、30代では業務理解の深さが効いてきます。

逆に、年収や働き方だけを見て転職し、業務理解が薄い役割に移ると、日々は回っても、次の一歩が細くなりやすい。
仕事の負荷は減っても、役割の厚みが増えないからです。

ここは、求人票ではほとんど分かりません。
だからこそ、面接で見にいく必要があります。

外しやすい転職のパターン

ここまでをまとめると、外しやすいのは次のような転職です。

年収は上がったのに、決める仕事が減る。
働きやすさは上がったのに、調整の質が自分に合わない。
環境は整ったのに、業務理解が浅いまま数年が過ぎる。

条件が悪いわけではありません。
むしろ、表面上は良く見えることが多い。
だから判断を間違えやすいのだと思います。

30代の転職で怖いのは、失敗が派手に出ることではありません。
静かに手応えを失うことです。

毎日は回る。
でも、前に進んでいる感じがしない。
その違和感が、あとから効いてきます。

面接で見るべき質問

では、何を見ればいいのか。

僕なら、少なくとも次の3つは確認します。

一つ目。
このポジションでは、最初の半年で何を自分で決めることになりますか。

二つ目。
普段、どの部署や誰との調整が多いですか。

三つ目。
活躍している人は、業務をどの程度まで理解していますか。

この3つを聞くと、その会社で求められる役割の厚みがかなり見えてきます。

年収レンジは条件表に書いてあります。
でも、その年収が何の重さに対するものなのかは、聞かないと分かりません。

30代の転職は、何を増やしたいかで見る

20代の転職なら、まず環境を変えることに意味がある場合もあります。
でも30代は、それだけでは足りません。

次の職場で、

  • 決める力を増やしたいのか

  • 調整できる範囲を広げたいのか

  • 業務理解を深めたいのか

ここが曖昧なまま条件だけで選ぶと、あとでブレやすい。

転職は、条件改善のイベントではありません。
どんな重さを引き受けるかを選ぶ機会です。

年収は大事です。
リモートや残業も大事です。
でも30代のIT職にとって、それだけでは足りない。

その会社で何を決めるのか。
誰とどれだけ調整するのか。
どこまで業務を理解する役割なのか。

ここまで見えてはじめて、その転職が自分の次につながるかが見えてきます。

あなたは次の職場で、何を増やしたいですか。
年収でしょうか。働きやすさでしょうか。
それとも、これまでより重い役割を引き受けることなのでしょうか。

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