「動物病院四方山話」01(段ボール箱のおうち)
「動物病院四方山話」と題して、動物病院で体験したお話しをさせていただきます。「みぃ物語」と同様、猫のみぃちゃん目線です。
基本的には一回読み切りですが、第一回目は前回のお話しの続きです。
前回はこちら
朝になり、入院室の前の処置室にはいっぱい人が集まってきた。
「おはよー」
大きな声であいさつをしながら院長先生が入って来た。
「おはようございます。」
集まっている人たちが一斉に挨拶を返していた。里塚先生もその中にいた。
朝一番のミーティングなんだって。その日の予定、入院している子達の体調や、治療方針を確認するらしい。その話し合いが終わったら、当直勤務だった里塚先生は帰って行った。
午前中と夕方以降は外来の診察や入院の子たちの治療が行われていた。お昼から夕方の診察時間までの間は、手術をしたり往診に行ったりするんだって。お昼間も動物病院の人たちはずっと休憩しているわけではないのね。忙しそうだわ。
そんな中、看護師さんが私たちの前に来て、またステンレスの扉をガチャっと開けた。
「みぃちゃん、ケンタくん、おうちを作ってあげたわよ。ちょっと待っててね。」
と言って、私たちの入っているケージの扉を閉めて、ステンレスの部屋からケージごと床に置かれた。
何かごそごそとしているようだったけど、ケージの入り口がちょうど壁にくっついていたので、何も見えなかった。
「できたわよーっ」
看護師さんがケージから私を抱き上げて、ステンレスの部屋に戻してくれた。そこには段ボール製のおうちがあった。段ボールのおうちが上下に積み上がっていて、二階建てになっていた。
段ボール箱には出入りできる穴が空いていて、その中にクッション代わりのタオルも入ってたわ。

もともと段ボール箱を見るとついつい入ってみたくなるのよね。だからすぐに入ってみたの。
その中はとても快適だったわ。
もちろん私は二階の部屋にしたわ。ケンタもすぐに抱っこしてもらって、お部屋に戻って来た。ケンタはすぐ私の真似をしたがるから、二階の部屋に入ろうとしてきたのよ!
ふふっ、甘いわね。猫の世界って高いところにいるものの方が偉いのよ!
だから二階は私のものなの。
この部屋は渡さないわ!
私がケンタを意地でも入れなかったら、ケンタはしぶしぶ一階の部屋に入っていったわ。
狭いところでくっついて寝るのが好きな子達も多いんだけど、私は別。一人で優雅に寝る方が好きなの。
ケンタはくっついて寝るのが好きみたい。だから私が入っていると、たまに一緒に入ってこようとしたわ。
もちろん丁寧にお断りしたけどね。

段ボールのおうちをもらったので、その中に入っているとかなり安心できるようになった。余裕もできてきたので、周りの事も落ち着いて見られるようになった。
ここで見るものは、私には見たことも経験したこともないことばかり。とても新鮮だったわ。
これからは、そんな出来事を少しずつ紹介していくわね。
おわり
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