物件広告調査担当の仕事~利用者の安心と、不動産会社の想いをつなぐ調整役~
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■はじめに
「掲載されていた部屋に問い合わせたら、もう埋まっていると言われた」こうした体験を減らすために、私たちは日々広告を確認しています。
情報審査グループの物件広告調査担当チームは、LIFULL HOME’Sに掲載されている不動産広告を、利用者からの通報や独自の調査、業界団体からの依頼などをもとに確認し、不動産会社に修正や削除を依頼する役割を担っています。
さらに、不動産会社からの広告ルールに関する相談窓口としても機能しています。
募集が終わったお部屋がいつまでも掲載されていたり、条件や費用が実際と違っていたりすると、部屋探しをしている人にとっても、不動産会社にとっても大きな「がっかり」になります。
この記事では、具体的にどんな仕事をしているのかを紹介します。
■物件広告調査担当の業務内容
私たちは、主に次のような業務を行っています。

• 利用者からの「掲載110番」通報対応
LIFULL HOME’S上の通報フォーム(掲載110番)から寄せられる
「募集が終了しているのに掲載されている」「掲載内容と実際の条件が違う」といった声について、1件ずつ内容を確認し、掲載している不動産会社へ修正・削除の依頼を行う業務です。
• 能動調査(おとり物件の可能性が高い広告の調査)
独自の検知ロジックやシステムを用いて、おとり物件の可能性が高い広告を抽出して調査する業務です。
不動産会社や管理会社への事実確認を通じて、掲載状況の是正につなげるとともに、その結果をおとり物件検知システムの精度向上にも活用しています。
• 広告ガイドラインに関する相談窓口
「この表現は広告ルール上問題ないか?」「この割引はどう書けばよいか?」といった広告ルールに関する相談に対応する窓口です。
法令や業界ルールに照らし合わせて、どのような表現なら適切かを案内する役割を担っています。
• 公正取引協議会など外部機関からの調査依頼対応
不動産の公正取引協議会など業界団体からの依頼や、業界ルールに基づき、特定の広告や不動産会社に対して事実確認や調査対応を行う業務です。
■この仕事がないと起きてしまう「不」
これらの業務が行われない場合、次のような「不」が生じます。
• 誤った物件情報がサイト上に残り続ける
契約済みの物件や、条件が実際と異なる広告が放置され、
利用者は「問い合わせたら既に決まっていた」「条件が広告と違った」といった誤認・落胆を繰り返し経験してしまいます。
• 事業者間の不公平感が広がる
きちんと広告ルールを遵守している会社と、そうでない会社の差がそのままになり、
ルールを守る会社が不利になる状況が生まれてしまうリスクがあります。
• トラブルや法令違反のリスクが高まる
広告で意図せず景品表示法や業界ルールに触れる表現を使ってしまうことで、
公正取引協議会などからの措置や、利用者・他社との認識のズレによるトラブルにつながる可能性があります。
• LIFULL HOME’S全体の信頼が低下する
「おとりが多い」「ルールがあいまい」といった印象が積み重なり、
利用者・不動産会社の双方からプラットフォームに対する信頼が損なわれる可能性があります。
このように、物件広告調査担当の業務は誤情報の是正やルール遵守を通じて、公正な取引環境を支える役割を担っています。結果として、利用者が安心して住まいを探し、不動産会社も適切に情報発信できる状態につながっています。
■物件広告調査業務の変化~システムと人力の合わせ技~

私が物件広告調査担当となったのは2018年頃でした。
当時、対応していたルール違反広告の多くは「おとり物件」に関するもので、すでに1か月以上前に募集が終了している物件が掲載され続けているケースもありました。
また、不動産会社側の人手不足もあり、削除や修正の依頼をしても対応までに時間がかかり、1つの広告を是正するために何度も連絡を重ねる必要があることもありました。
その結果、「早く対応してほしい」といった催促対応も重なり、業務が逼迫する状況になっていました。
現在は、 情報審査グループ公式noteでもたびたび紹介される
・管理会社との情報連携
・おとり物件検知システムやAIの導入
が進んだことで、「募集終了した物件をまとめて自動的に処理する」仕組みが整い、長期間残り続けるおとり物件は大きく減りました。
最近おとり物件として検知されるものの多くは、「数日前に申し込みが入ったが、まだ広告の削除が追いついていない」といった、純粋なタイムラグによる事例が中心になっています。
こうした変化により、掲載110番の通報件数も減少し、私たちの業務も大きく変化しました。
従来のように「通報を受けて対応する受動的な調査」から、「自ら違反の可能性がある物件を検知して是正につなげる能動的な調査」へとシフトしています。
また、能動調査業務での調査結果は、おとり物件検知システムやAIの学習にフィードバックすることで精度の維持向上に役立っています。
さらに、システムが担ってくれることで、私たちは「表現の妥当性の判断」や「複数関係者が絡む調整案件」など、より専門性と判断が求められる領域に集中できるようになっています。
■ルールの範囲内で最大限の要望を満たす広告づくりの難しさ
あるとき、 「物件契約時の特典」を大きく打ち出したいという不動産会社から、不動産広告内のPR表現について相談がありました。
当初案は 景品表示法に抵触するおそれがあり、利用者が実際以上にお得だと誤認する可能性のある内容でした。
一方で不動産会社としては、自社方針としてどうしても入れたい文言があり、
「そのままでは伝えたいことが伝わらない」と私たちが提案した修正案に対しても難色を示される状況でした。
このまま掲載すれば、法律上のリスクだけではなく、、利用者が契約時に「思っていた内容と違う」と感じる可能性もあります。
そこで私たちは、
• 不動産会社の「伝えたいポイント」をできるだけ損なわず
• 景品表示法や業界ルールに適合する表現
となるよう、複数パターンの文案を作成しました。
あわせて、公正取引協議会にも確認を取りながら、 「誤認を避けにならず、訴求力を維持できる表現」を数日にわたり検討しました。
最終的には、不動産会社から
「ここまで考えてくれるとは思わなかった」
という言葉をいただき、
•利用者にとって誤解のない適切な表現であること
•不動産会社の訴求ポイントも、ルールの範囲内で表現できていること
の両方を満たすPR文に着地しました。
「ルールだからダメです」と線を引いて終わりにするのではなく、制約のある中で表現の落としどころを探る難しさと重要性を象徴した事例です。
物件広告調査担当の現場では、こうした対話を通じて、 正確性と訴求力のの両立を日々模索しています。
■終わりに

入社当初、私は「おとり広告」という言葉も知らない状態でこの仕事を始めました。
「おとり広告をなくしたい」という思いだけで、ルールに照らして淡々と是正を進めることを意識していました。
しかし、対応を重ねる中で、 修正依頼を受ける側の不動産会社にも、それぞれの事情や葛藤があることを知りました。 広告のメンテナンスに割ける人手の問題や、複雑な業界ルール、法律の理解の難しさなどです。
システムの精度が高まり、人が介在しなくても成立する領域が増えていっても、その中で人にしかできない役割は必ず残り続けると感じています。
・法律の細かなニュアンスを踏まえて最適な提案をすること
・不動産会社や利用者の感情にきちんと向き合うこと
は、人の目と対話がないと成り立たない部分だと感じています。
ルールを守らせる仕事ではなく、
ルールの中で「信頼できる広告」を一緒に作る仕事。
それが、物件広告調査担当チームとして私が届けたい価値です。
次回はコチラ!
