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大雨の日、出社判断どうしますか?人事担当者のための「休業手当」実務フロー

こんにちは。社会保険労務士として開業18年、国家資格キャリアコンサルタント・産業カウンセラー・コーチングコーチとしても活動しています。労務とキャリア、そして心の部分の両方から、働く人と会社のよりよい関係づくりをお手伝いしています。

「今日はどうしますか?」その電話が鳴る朝

大雨警報が出た日の朝、人事担当者の携帯には決まって現場から連絡が入ります。
「今日、出社させて大丈夫ですか」「休みにするなら、お給料はどうなりますか」。

これまで多くの会社の労務相談を受けてきましたが、この質問に即答できず、後から「あのときの判断は正しかったのか」と不安を抱える人事担当者の方は、実はとても多いです。
ある会社では、警報レベルが上がった日にとっさに「全社在宅」と判断したものの、後日「あれは休業手当が必要な休業だったのでは」と社内で議論になったケースもありました(これは複数の相談内容をもとに再構成した一般的な事例です)。

大雨だからといって、一律に「休業手当は不要」でも「必要」でもありません。
ここでいちばん大切なのは、その日の休業が「会社都合」なのか「天災による不可抗力」なのかという視点です。

制度のキホン:労働基準法26条

労働基準法26条では、会社の都合で休業させた場合、平均賃金の60%以上の休業手当を支払う義務があると定められています。
ただし、これはあくまで「使用者の責めに帰すべき事由」による休業に限られます。

逆に、地震や豪雨など「天災事変等の不可抗力」による休業は、この対象外とされています。
行政解釈上、不可抗力と認められるには、次の2つの条件を満たす必要があると整理されています。

  1. 事業の外部から生じた事故であること(工場の浸水、停電など、会社の努力ではどうにもならない要因)

  2. 通常の経営者として最大限の注意を尽くしてもなお避けられなかったこと(ハザードマップの確認や設備対策など、通常期待される備えをしていたか)

この2つがそろって初めて「天災による操業不能」と評価され、休業手当の支払義務が原則として生じない、という整理になります。


なぜこの判断は「その場」では難しいのか

現場の緊張感の中で、この2要件を冷静に当てはめるのは簡単ではありません。
しかも実際には、天災が背景にあっても「会社の判断で休業を決めた」場合は、休業手当が必要になるケースの方が多いのです。

たとえば、警報は出ているものの事業所自体に大きな被害はなく、通勤にも致命的な支障がない状況で、会社が安全配慮のために「今日は休業」と決めたとします。
この場合、原因は天災でも、休業を「決定」したのは会社側ですので、労基法26条上の休業手当が必要と解されやすくなります。

一方で、工場が実際に浸水した、長時間の停電で機械が動かせない、交通機関が全面運休して通勤自体が物理的に不可能、といった状況であれば、不可抗力として休業手当が不要となる可能性が高くなります。

つまり大切なのは「大雨だったかどうか」ではなく、
「会社の判断で休ませたのか、避けようがなく休まざるを得なかったのか」という一点なのです。

明日から使える実務フロー

現場で迷わないために、次の順番で考えることをおすすめしています。

①まず事実を確認する
事業所そのものに直接被害が出ているか(浸水・停電・設備損壊)。通勤手段が物理的に途絶しているか。これらが「はい」であれば、不可抗力に該当する可能性が高まります。

②行政の発令状況を確認する
避難指示など、命に関わるレベルの情報が出ているかどうかも重要な判断材料になります。

③会社の裁量で決めた休業かどうかを見極める
事業所も交通も機能しているのに、安全配慮の観点から会社が独自に休業を決めた場合は、休業手当が必要になる可能性が高いと考えておくと安全です。

④判断の記録を残す
被害状況、検討した代替手段、判断に至った経緯を記録しておくことで、後から「あの判断は妥当だったか」を説明できるようになります。

⑤就業規則やBCPに事前に落とし込んでおく
警戒レベルや気象情報とリンクさせて、「どの段階で休業とし、その場合の賃金をどう扱うか」をあらかじめ明文化しておくことが、いちばんの安心材料になります。


なお、制度の細かな運用や個別の状況判断は、最新の行政情報やケースごとの事実関係によって変わってきますので、実際の対応にあたっては最新情報のご確認をおすすめします。

まとめ

大雨の日の休業判断は、「大雨だから」ではなく「誰の判断で休んだのか」「避けようがなかったのか」という視点で整理することが大切です。とっさの判断を迫られる場面だからこそ、事前に基準を決めておくことが、現場の負担も、後からのトラブルも減らしてくれます。

応援メッセージ

災害対応の判断は、正解が一つに決まらない難しさがあります。それでも、判断の基準を事前に持っておくだけで、その日の自分をずいぶん助けてくれます。人事担当者の皆さんが、いざという時に落ち着いて判断できるよう、これからも実務に役立つ情報をお届けしていきます。

自社の就業規則やBCPに落とし込みたい、実際のケースで判断に迷っている、という場合は、いつでもご相談ください。一緒に整理していきましょう。

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smile 社労士・キャリアコンサルタント・産業カウンセラー・コーチ、複数の視点から一つの悩みを見るよう心がけています。この記事が、貴方や会社の判断を少し楽にできていたら幸いです。