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HSPの支援職が、1対1は得意なのに多職種の職場で削られる理由

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利用者さんや患者さんと向き合う時間は、不思議と疲れない。

言葉の奥にある感情を感じ取れる。「今日はいつもと違うな」という小さな変化に気づける。相手のペースに自然と合わせられる。1対1の場面では、HSPの繊細さがそのまま強みになる。

でも、職場の多職種間のやり取りになった瞬間、一気に消耗する。

これはHSP気質を持つ支援職の人には、よくある感覚だと思う。私自身、作業療法士として16年、特養という多職種が入り乱れる現場で働いてきた。利用者さんとの時間は天職だと思える。でも同じ職場で、同僚との関係に何度も削られてきた。

なぜこんなに差があるのか。今日はその話をしようと思う。


支援の場と職場は、まったく別の環境だ

1対1の支援は、HSPにとって動きやすい環境だ。相手は一人。感情の矢印が一方向に絞られる。雑音が少ない。自分のペースで関われる。

でも職場は違う。複数の人間が同時に存在して、それぞれの感情、立場、空気、タイミングが一気に押し寄せてくる。

ミーティングの場に入った瞬間を想像してほしい。発言者の声のトーン、場の緊張感、誰かの表情の変化、誰が誰に気を遣っているか。HSPはそれを全部、無意識に拾ってしまう。

情報量が多すぎて、脳が処理しきれなくなる。これが消耗の正体だ。


ミーティングで言えない、あのジレンマ

私自身が一番しんどいのは、ミーティングの場での発言だ。

機能訓練指導員として、「この利用者さんは歩ける。歩きたいという意欲もある。歩かせるべきだ」と思っていても、いざ言葉にしようとすると止まってしまう。

介護職員の見守りの負担を考えると、踏み込んでいいのか迷う。もし転倒したら、自分の責任になるかもしれない。反発してくる職員もいる。そのリスクを頭の中で全部計算してしまうと、言葉が出てこなくなる。

これはHSPの「受け取りすぎる」という特性が、職場の複雑な人間関係と絡み合ったときに起きることだと思っている。

ただ、私はこのジレンマに対して、今はひとつの答えを持っている。言葉で主張する前に、実績を見せることだ。

その利用者さんと1対1で歩く練習を重ねて、他の職員の目につく場所でリハビリをする。「この人、こんなに歩けるんだ」と職員に感じてもらってから、改めて提案する。直接言うより時間はかかる。でも反発が少なく、動きやすい。

これがHSPとして16年かけて身につけた、私なりの職場での立ち回り方だ。


高圧的な職員がいる場は、自分のことのように感じてしまう

もうひとつしんどいのが、場の空気が悪くなる瞬間だ。

高圧的な職員が他のスタッフを強い言葉で追い詰めているとき。私が言われているわけじゃない。でも体がこわばる。心臓がどきっとする。その感覚は、社会人1年目に毎晩罵倒され続けた記憶と重なる部分がある。

これはHSPの「感情の共鳴」と呼ばれる反応だ。他者の感情を、自分のことのように受け取ってしまう。だから、場の空気が悪いだけで、自分が当事者でなくても消耗する。

他の職員より重くのしかかっていると思う。これは意志の問題じゃない。HSPの脳の構造上、避けられない反応だ。


昼休みの「みんなでランチ」が地味にしんどい

多人数の場での消耗は、ミーティングだけじゃない。

休憩時間に「みんなでランチ行かない?」という話が事務所で出るとき、正直しんどい。私はルーティンを好む。妻が作ってくれたお弁当を、静かに食べる時間が回復の時間になっている。

だから私は財布を職場に持っていかない。これで自然と誘われなくなった。

「え、それでいいの?」と思う人もいるかもしれない。でも職場には昼休みにすぐ横になる人もいる。みんな、それぞれの回復の仕方がある。私の場合はそれが「1人の静かな時間」だということだ。

変な空気にもならない。長く働いていると、自分のスタイルが認知されてくる。それもひとつの、時間をかけた環境づくりだと思っている。


施設唯一のOTだからこそ、フィールドを自分で選べる

特養の機能訓練指導員は私1人だ。

だからこそ、どこで訓練をするかを自分で決められる。人目につかない場所で静かにやりたい日は、誰もいないスペースを使う。逆に「この利用者さんが歩けるところを見せたい」と思えば、人目につく場所でやる。

これが、多職種の職場でHSPとして生き延びるための、私なりの戦略でもある。

支援の場は自分でコントロールできる。それだけで、消耗の度合いはかなり変わる。


長く続けることで、削られ方が変わる

もうひとつ、時間が解決してくれることがある。

特養に来た頃は、敵意むき出しで来る職員もいた。でも長く働くうちに、それがなくなっていった。今は様々な場面で頼られることが増えた。しかも頼られるのは1対1のやり取りが多い。そこなら自分の力を発揮しやすい。

アドラー心理学で言う「共同体感覚」に近いかもしれない。自分が誰かの役に立っている感覚、誰かに必要とされている感覚。それが職場での消耗を和らげてくれる。

HSPが多職種の職場で長く生き延びるには、強くなることより、自分が呼吸できる場所と関係を、少しずつ育てていくことの方が大事だと、今は思っている。


最後に

HSPが支援職で1対1は得意なのに職場で削られるのは、あなたが弱いからではない。環境が違うからだ。

1対1の支援は、HSPにとって動きやすい設計になっている。でも多職種の職場は、情報量が多く、感情が複雑に絡み合う、消耗しやすい環境だ。

だからこそ必要なのは、その環境で強くなることではなく、自分が呼吸できる場所と距離感を、少しずつ自分で作っていくことだと思う。

言葉で主張できなくても、実績で見せる方法がある。昼休みに1人でいることを、罪悪感なく選んでいい。長く続けることで、職場での立ち位置は変わっていく。

やさしいままで、消耗しないための道は、必ずある。


作業療法士16年目|特養・ユニットケア勤務|元認知症ケア指導管理士|HSP・ISFJ


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