転職後、高給取り管理職から戦力外通告、そして無職へ。この「プロ野球戦力外通告的メカニズム」を公にさらす。
家族は私が何の仕事をしているのか、ここ何年も知らない。今現在も知らない。転職社数も知らない。
一度、「何の仕事してるの?」と純粋な心で聞かれたことがある。答えられなかった。なぜか恥ずかしさが先に来た。ガッカリさせたくないと思った。自慢の家族でいたいとその時は思っていた。だから役職だけ答えた。
そんな私に、それはシーズンの終わり近くに、突然やってきた。
突然スマホが鳴った。画面には、人事の番号があった。
会議室に来るよう指定される。何とも言えない予感がした。
ふと今シーズンの自身の成績を振り返る。一年目だ。トータルの実績では及ばなかったが、KPIは達成したはずだ。いったい、まさか、なんだろう。
ネクタイを締め直して、会議室のドアをノックする。奥のソファに案内される。前には役員と人事部長がいた。平静を装ってはいたが、相手の表情があまりにも暗く、硬かった。緊張感が増幅する。
そして、「来期のことだけど、、、、」
ここまではどこかで聞いたことがあるかもしれない。プロ野球の戦力外通告と、全く同じだ。
会社員版の戦力外通告は、こう告げられる。
プロ野球との違いは一点だけだ。
「契約しません」とは言われない。代わりに、「来期の給与と役職はこうなります」と告げられる。
目の前のシートには、何割かダウンした給与と、そのダウンした給与に見合った役職が記されていた。
会議室のドアを閉めて、茫然と歩く。このあいだまで仲良く話したこともあった、これまた転職組の人事部長の表情を思い返す。芝居していたのだろうか。こういうことを仲間に告げるのは辛いのだろうか。
労働基準法上の法的な観点は、この際除く。
二つの選択肢。私は迷わず退職を選んだ。
ここでどうするかだ。
ひとつは、来期の給与ダウンと降格を受け入れて会社に残る選択。もうひとつは、今の年収と役職のままで今期限りで退職する選択だ。
退職勧奨ではない。つまり転職するのに最低必要な猶予期間は与えられない。辞めてしまうと、即無職になる。
私は迷わず退職を選んだ。
実はこういう会社では、同じような扱いを受けた社員が多数在職しており、周りもそれをわかっていることが多い。居づらくはならない。だから会社に残る選択をする者も半数以上いる。
ただ私には、転職直後から心のどこかで「続かないかもしれない」と踏んでいたところがあった。流れで転職サイトは引き続きチェックしていた。
これは、外資系では比較的ある話だ。
平均給与は比較的高めで、幹部はさらに優遇されている会社がある。ただし退職金や夏季・冬季賞与の制度はない。業績が良かった時にボーナスが支払われるような形だ。
そして年に一度、シーズンの終わりに、戦力外通告が来る。
プロ野球選手はそれを知った上で入団する。でも会社員は、入社前にこの仕組みを知らないことが多い。転職口コミサイトにも出てこない。面接でも当然教えてくれない。
入ってから、知る。
どんよりと、しんどいな、と思いながら。引き続き家族には特に話さない。そしてまた、転職活動を始める。
知っておいてほしい。これが、転職市場の一部の現実だ。
これを書いたのは、同じ状況に今いる人、これから転職しようとしている人に知っておいてほしかったからだ。
外資系や一部の成果主義の会社に転職する際は、この「会社員版戦力外通告」のメカニズムが存在する可能性を頭に入れておいてほしい。
備えておくことが、身を守ることになる。転職サイトは入社後も、引き続き開いておくことだ。
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