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シーロ・ゲーラ『ウェイティング・バーバリアンズ 帝国の黄昏』ロバート・パティンソンを待ちながら

ジョン・マクスウェル・クッツェーによる同名小説「夷狄を待ちながら」の映画化作品であり、シーロ・ゲーラの最新作として昨年のヴェネツィア映画祭のコンペに選出された。架空の帝国の辺境にある前哨基地を管理する執政官の下に、首都からジョル大佐の部隊が派遣される。執政官は辺境の向こうの砂漠地帯に暮らす遊牧民に対して友好的に接し、彼らの言葉を交わし、暇な時間には遺跡や古文書を調べる温和な人間だ。しかし、中央から派遣されたジョル大佐ら軍人たちは、遊牧民たちを"蛮族"として見下し、侵略しに来る彼らを力で排除せねばならないと考え、年齢性別問わず逮捕/拷問して蹂躙し、前哨基地の平和を平然と叩き壊す。執政官は為す術もなくそれを見て、やがて迫害される側になる。帝国の人間の脳内には中央、辺境、遊牧民の間に階層構造が組まれており、それを使って普遍的な差別の構造を示しているのだ。

執政官は拷問によって失明し、足も動かなくなった若い女性を介抱することで、無理矢理ちぎられてしまった遊牧民たちとの"絆"を繋ぎ直そうとする。しかしその結末は、彼がどちらにも属せない、孤立無援の人間であることを示すに終わってしまう。薄ぼんやりとしたありがちな寓話の果てにあるラストシーンだけは圧巻だ。誰もが逃げ出した前哨基地で塀の大きな影を日向から見つめる執政官、そして砂塵を巻き上げながら基地に近付く無数の遊牧民たち。まるで打ち切りジャンプ漫画の"戦いはこれからだ!"と言わんばかりに荘厳なこれらのシーンで、ようやくこれからの主人公たる人々がその姿を現す。無名の彼らこそが、帝国のくだらない差別構造を破壊する者たちであり、これからの時代の真の主人公たちなのだ。

※追記
ロバート・パティンソンがあまりにも出てこないので、特にコメントの浮かばない(私を含めた)多くの人が"Waiting for Robert Pattinson"と書いていて面白かった。表題として引用した。

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・作品データ

原題:Waiting for the Barbarians
上映時間:114分
監督:Ciro Guerra
製作:2019年(イタリア, アメリカ)

・評価:50点

・ヴェネツィア国際映画祭2019 コンペ選出作品

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