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【2025-2026】なぜ、コンビニで最大10%もポイントが返ってくるのか?5分でわかる共通ポイント進化史と、Vポイントが仕掛けた「自社負担モデル」の罠

はじめに:なぜ、コンビニで最大10%もポイントが返ってくるのか?

「スマホのタッチ決済で、ポイント最大10%還元」

最近、コンビニや飲食店のレジで、こんな表示を目にしませんか?一般的なクレジットカードの還元率が0.5%〜1%の世界で、これはまさに「異常事態」です。

「嬉しいけど、ちょっと不思議…」、「誰がこのポイント代を払っているの?」

そう感じたあなたは、ポイント経済圏の中にいて、キャッシュレスの大きな変化の波に気づいています。

2024年、SMBCグループの「Vポイント」と老舗の「Tポイント」が統合し、巨大な「新Vポイント」経済圏が誕生。その号砲とも言えるのが、一見すると常識外れのようにも映る高還元キャンペーンでした。

これまでポイント経済圏は、ドコモ、KDDI/au、ソフトバンク、楽天の「携帯キャリア4強」が支配してきました。しかし今、金融グループであるSMBC(SMCC)が仕掛けた、いわば“価格破壊”に、番付で言えば大関クラスのPayPayや関脇クラスのPontaまでもが追随。日本のポイント経済圏やキャッシュレス市場は、前例のない消耗戦に突入しています。

注:ポイント経済圏の発行額番付については、以下の記事をご参照ください

本稿では、まず前半で、この高還元競争が始まった「背景」と、「新潮流」を誰にでも分かるように解説します。そして後半では、この戦略に潜む“ワナ”を解き明かし、今後のポイント経済圏間競争への影響を大胆に予測します。


1.黒船は「銀行」だった

ここ数年、日本のポイント経済圏は、4つの巨大勢力を中心に回ってきました。

dポイント(ドコモ経済圏) Pontaポイント(KDDIが展開するau経済圏) PayPayポイント(ソフトバンクグループの経済圏) 楽天ポイント(楽天グループの経済圏)

後発で通信事業に参入した楽天を除く3キャリアは、いずれも携帯電話の契約者という強固な顧客基盤を武器に、自社サービスを連携させてユーザーを囲い込んできました。そのため、しばらくの期間、この「4強時代」が続くと誰もが思っていたのです。

しかし、その静寂を破ったのは、携帯キャリアを持たない「金融勢力」でした。

2023年7月、SMBCグループの三井住友カードが放った一撃。それが「対象のコンビニ・飲食店でスマホのタッチ決済をすれば、ポイント最大7%還元」というポイントサービスの拡充でした。さらに2024年10月15日には、セブンイレブンで最大10%還元へと進化。これは、ポイント経済圏を争うライバルに少なくない衝撃を与えたと考えられます。この動きにライバルの三菱UFJニコス(MUFG)も即座に追随し、キャッシュレスの高還元競争の火蓋が、一気に切って落とされたのです。

では、なぜ彼らは一般的な還元率の10倍以上ものポイントを配ることができるのでしょうか?その答えは、私たちが知らないうちに起きていた「ポイントの仕組み」そのものの進化とポイント経済圏の地殻変動の中に隠されていました。

2.【5分でわかる】ポイントの進化史。あなたのポイントは、誰が払っている?

「ポイント」と一括りにされがちですが、その“原資”を誰が負担しているかによって、仕組みは全く異なります。現在の高還元競争の背景事情を理解するために、ポイント経済圏の歴史を「5つの世代」に分けて見ていきましょう。

【第1・第2世代】加盟店が原資を負担する「共同販促ポイント」(旧Tポイント、初期のPontaなど)

共通ポイントは、Tポイントが2003年ごろにスタートしており、これを第1世代とします。 また、三菱商事系のロイヤリティマーケティングが2010年にPontaをスタートさせ、TポイントとPontaの2大勢力が並び立つ時代が第2世代です。

仕組み: 共通ポイントの加盟店が「また来てくださいね」という意味合いでポイントコストを販促費として負担。ユーザーはA店で貯めたポイントをB店で使えるのが画期的でした。

【第3世代】経済圏の親が大半のコストを払う「経済圏拡張ポイント」 (楽天、ドコモなど)

第3世代のポイントは、共通ポイント加盟店での発行分より、楽天やドコモが経済圏サービス利用に対して進呈するポイント(自社負担)のほうが圧倒的に多くなっています。その結果、加盟店ではポイントの「進呈」より「利用」が多くなるという構造が生まれました。これは、楽天やドコモが自社経済圏を選んでもらうための「顧客接点(タッチポイント)」としての役割を加盟店に求めるモデルと言えます。

仕組み: 楽天(楽天市場や楽天カード)やドコモ(携帯料金)が、自社サービスを使ってもらうためにポイントを大量発行。発行されたポイントが加盟店でつかわれる。「ポイントがより多く貯まるから楽天やドコモのサービスを契約」、「貯まったポイントを加盟店で使っておトク」という強力な囲い込みモデルを確立しました。

【第4世代】決済事業会社が“加盟店手数料から”ねん出する「決済ポイント」(PayPay、楽天ペイ、d払い、auPayなど)

PayPayなどのコード決済事業会社が、加盟店から得る加盟店手数料の中から、決済インセンティブとしてのポイント原資を捻出するモデルです。この時点で、同一名称であるものの、加盟店が負担する共通ポイントと、加盟店の手数料収入の一部を原資に還元する決済ポイントが併存する形になりました。

仕組み: PayPayなどの決済事業者が、お店から受け取る決済手数料の一部を原資に、ユーザーへ「決済してくれてありがとう」という形で0.5%~1.5%程度を還元。これが現在のコード決済の基本形です。

【第5世代】決済会社が“身銭を切って”払う「決済特約店ポイント」 (現在のVポイントなど)

2024年以降に本格化したのが、この「決済特約店ポイント」です。これは、決済事業者が特定の店舗を対象に、自社負担で7%〜10%もの決済ポイントを進呈するもの。Vポイントのタッチ決済還元や、三菱UFJニコスのポイント優遇などがこれにあたります。ポイント経済圏の形そのものが変容しつつあることから、これを「第5世代」と位置づけて差し支えないでしょう。

仕組み: 決済事業会社が加盟店から得る手数料収入の水準と関係なく、完全に自社の広告宣伝費や戦略予算として割り切ることで、“身銭を切り”、特定の有力チェーン店(コンビニ、外食、食品SMなど)での利用に限り、7%〜10%という大きなポイントを上乗せするモデルです。

3.ドミノは、こうして倒れた。SMCCが仕掛けた「高還元ドミノ」の全貌

無料部分で述べた「第5世代:自社負担の決済特約店ポイント」。この“禁断の取り組み”に、SMBCグループ(三井住友カード、以下SMCC)は、なぜ手を伸ばしたのでしょうか。そして、その一手が、いかにしてPayPayやau PAYまでも巻き込む消耗戦へと発展したのか。すべての始まりから、ドミノが倒れていく過程を時系列で見ていきましょう。

(1)発端:携帯キャリアを持たない「金融決済勢力」の焦り

すべての発端は、楽天やドコモのような強力な自社サービス(ECや携帯通信)を持たない金融グループの焦りにあると考えられます。彼らは、どうすれば顧客と日常的な接点を持ち、自社の金融サービスを使ってもらえるか、という課題を常に抱えていました。

その際に行きついた答えが、「日本で最も利用頻度の高い場所=コンビニ」で、他を圧倒するメリットを提供することだったのです。コンビニでの高還元は、自社経済圏への入り口を作るための、いわば「有料の入場チケット」であり、彼らにとって、これは顧客獲得コスト(広告宣伝費)以外の何物でもありませんでした。

(2)第一のドミノ:SMCCが口火を切り、MUFGが追随

歴史は2021年に動きます。

2021年2月: SMCCがセブンイレブン、ローソン、マクドナルドでタッチ決済をすると最大5%還元という、当時としては画期的なサービスを開始。これが最初のドミノでした。

ライバルである三菱UFJニコス(以下、MUFG)が、これを見過ごすはずがありません。 2022年7月: MUFGが「三菱UFJカード」で、セブンイレブン、ローソンを対象に最大5.5%還元で追随。

ここから、両社のシーソーゲームが始まります。SMCCが還元率を最大7%に引き上げる(2023年7月)と、MUFGも同じく7%に引き上げて(2025年5月)対抗。この時点で、業界の中に「コンビニでのタッチ決済は7%還元が当たり前」という、恐ろしい“参照価格”が形成されてしまったのです。

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