ミルクシェイクを「雇う」理由 ~ジョブ理論でVOCをマーケ部門の最強の武器に変える~
いつもKocochi製作所の記事をお読みいただき、ありがとうございます
前回、マーケティング部門や製品開発部門と、お客様対応部門の視点の違いについてお話ししました
今回は一歩踏み込み、マーケティング部門や製品開発部門と共通言語で語り合い、VOC(Voice of Customer)改善提案が理解されやすくなる具体的な手法をご紹介します
前回お話しした「最低限押さえておくべき4つの要素」
1.どのお客様が困っているのか
2.どの製品・サービスの、どの場面で困っているのか
3.その困りごとが、どの程度の頻度で起きているのか
4.それを改善した場合、離反防止・満足度向上・業務効率化のどれに効くのか
この中でも特に重要なのが、
1.「どのお客様が困っているのか」の深掘りです
ここを具体的にしていくことで、マーケティング部門の関心は一気に高まります
ターゲットと実態のズレに気づく
マーケティング部門や製品開発部門は、製品やサービスを開発する際にターゲットとなる消費者やユーザー像を設定します
ここで設定されるターゲットは「これからユーザーになってほしい層(理想)」であることが多く、実際のメインユーザーとの間にギャップが生じることも少なくありません
例えば、競合他社のユーザー層と自社のユーザー層に違いがあると分かった場合、売上やシェアの拡大を目指すマーケティングや製品開発部門は、競合のターゲットに向けた新製品や新サービスを打ち出したくなります
結果として市場は取り合いになり、カテゴリー全体の成長につながらないことも多いですが、目の前に魅力的なターゲットが見えている限り、それを取りに行くのがマーケティングの本能でもあります
ペルソナを「現実」に接続する
こうしたターゲットは、「ペルソナ」という手法で具体化されます
ペルソナとは、年齢や性別といった属性だけでなく、名前、職業、趣味、価値観、ライフスタイルまで詳細に設定し、あたかも実在する一人の人物のように描く手法です
1990年代後半から2000年代初頭に広まり、現在では一般的なマーケティング手法として定着しています
VOCに「ジョブ理論」を掛け合わせる
このペルソナに、ある強力なフレームワークを組み合わせることで、コンタクトセンターが届けるVOCは、より現実味と深みを持ってマーケティング部門に伝わるようになります
それこそが「ジョブ理論」です
ジョブ理論(Jobs to Be Done)とは、消費者が製品を購入する本当の目的を解き明かす考え方です
消費者は製品そのものを買っているのではなく、「片づけたい仕事(ジョブ)」のために製品を雇っているという考え方で、ハーバード・ビジネス・スクールのクレイトン・クリステンセン教授が提唱したものです
有名なミルクシェイクの事例
ジョブ理論を理解するための、最も有名な「ミルクシェイクの事例」をご紹介しましょう
あるファストフードチェーンが、ミルクシェイクの売上を伸ばすために味や容量、価格などでアプローチを繰り返しましたが、今ひとつ売上が伸びませんでした
そこで、ミルクシェイクが最も売れる「平日の朝」に注目し、その時間帯に購入する消費者の「片づけるべき仕事(ジョブ)」をインタビューで深掘りしたのです
すると、彼らの本音は以下のようなものでした
・「車での長距離通勤の間に、退屈を紛らわせるものが欲しい」
・「午前中にお腹が空かないよう、腹持ちが良いものが欲しい」
つまり、彼らは「退屈しのぎと小腹を満たすため」にミルクシェイクを雇用していたのです
この結果に基づき、ストローで吸うのに時間がかかる、粘度の高いどろっとしたシェイクを開発したところ、チェーン店は無事にミルクシェイクの売上を向上させることに成功しました

コンタクトセンターにも同じ構造がある
お気づきでしょうか 上記のエピソードは事後のインタビューによって深掘りされた結果でしたが、実はコンタクトセンターに日々集まるお客様の声こそ、このジョブの宝庫なのです
私たちは、単に「ここが使いにくい」「壊れた」というお困りごとを集めるだけで終わってはいけません
「なぜお客様はお困りなのか」「消費者のどんな『片づかなかった仕事(ジョブ)』がそこにあるのか」
そこまでお声を能動的に聞き出すことで、真のインサイトに近づくことが可能になります
たとえば、「車の乗り心地が悪いので改善してほしい」というお客様からのお申し出があったとします
このとき、そのお客様が
「子供をチャイルドシートでぐっすりと寝かせたまま、保育園まで送り届けたい」という目的(ジョブ)のためにその車を雇っているのか
「長距離の通勤中、できるだけ静かな空間で音楽を聴きながらリラックスしたい」という目的(ジョブ)のためにその車を雇っているのか
これによって、同じ「乗り心地の改善」であっても、メーカーが次に開発すべき機能やアプローチはまったく違ってくるのではないでしょうか
インサイトに踏み込めるかが分岐点
ここまで掘り下げることで初めて、「表面的な不満」ではなく「インサイト」にたどり着くことができます
このインサイトこそが
マーケティングにとっての価値
新しい売上につながる種
になるのです
コンタクトセンターはお客様から届く声を受動的にお伺いするだけでなく、能動的に消費者の「雇った理由」を知る活動を行わなければなりません
そして、その感情の裏にあるニーズを見抜く「感情の合理的分析力」こそが、他部署を動かす最強の武器になります
Kocochi製作所では、VOCを単なる顕在化された苦情の収集で終わらせず、マーケティング部門と共通言語で語れる「インサイト分析」の組織設計を一緒に考えていきます
他部署の心を動かし、本当に売上に繋がるVOC活動をスタートさせたい そんなときは、ぜひKocochi製作所にご相談ください
最後までお読みいただき、ありがとうございました ご共感いただいた方は、ぜひ「スキ」をお願いいたします
ご相談や、「うちのセンターのこんな困りごと、どう思う?」というリアルな現場の課題は、コメント欄や下記メールまでお気軽にお寄せください
皆様からいただいたお悩みをヒントに、また新たな解決のアイデアをこのnoteでも発信していきたいと思っています
Mail: yasushi.miyazaki@kocochiworks.com
#Kocochi製作所 #コンタクトセンター #ジョブ理論 #ペルソナ #コンシューマーインサイト #VOC活用 #顧客の声 #カスタマーエクスペリエンス #CX改善
