“冷静”と“無感情”は違う|研修現場で見えた、感情を抑えてきた人の疲れ
「感情的になってはいけない」
「冷静でいなければ」
仕事をしていると、
そんなふうに思う場面があります。
特に、
責任ある立場になればなるほど…。
周りに気を配りながら、
感情を抑えて、
平静を保とうとすることが増えていきます。
もちろん、
冷静さは大切です。
でも私は、研修や対話の現場で、
“冷静”と“無感情”
を同じもののように扱ってしまうことで、
苦しくなっている人を、たくさん見てきました。
「ちゃんとしなきゃ」が、感情を置き去りにしてしまうことがある
30年以上、
コミュニケーション研修に関わる中で感じるのは、
真面目な人ほど、
感情を抑え込んでしまう、
ということです。
「ここで怒ってはいけない」
「冷静に伝えなければ」
「感情的だと思われたくない」
そうやって、
自分の感情を整理し続けるうちに、
いつの間にか、
“感じないようにする”
ことが習慣になってしまうことがあります。
感情を抑え続けると、人間関係は少しずつ遠くなる
以前、とある研修で、
参加者の男性がこんな言葉を話してくださいました。
「正確に伝えることばかりに意識をしていて、
感情を老化させていた気がします」
その瞬間、会場の空気が変わりました。
──「感情を老化させる」
私は、
その言葉がずっと忘れられません。
冷静でいることと、
感じなくなることは、
違います。
本当は不安だった。
悔しかった。
助けてほしかった。
嬉しかった。
ありがたかった。
そうした感情に、
自分自身が気づけなくなってしまうと、
少しずつ、
人との距離も遠くなっていくのです。
“冷静な人”は、感情がない人ではない
本当に冷静な人というのは、
感情がない人ではありません。
自分の感情を理解した上で、
相手に伝えられる人です。
怒りをぶつけるのではなく、
「私は、こう感じていたんです」
と言葉にできる人。
不安を隠し続けるのではなく、
「少し迷っています」と認められる人。
感情を否定せず、扱える人こそ、
本当の意味で落ち着いているのかもしれません。
「感じる力」が、人間関係をやわらかくする
人は、理論だけでは動きません。
『この人は、ちゃんと自分を見てくれている』
そう感じられる時に、安心します。
だからこそ、
感情表現は、
人間関係にとって大切なのです。
もちろん、
感情のままに振る舞えばいい、
ということではありません。
でも、
“感じていること”
まで無かったことにしなくていい。
私は、そう思っています。
感じることをやめない人は、あたたかい
大人になるほど、
「ちゃんとしなきゃ」
が増えていきます。
でもその中で、
感動すること。
嬉しいと感じること。
悲しいと思えること。
誰かを大切に思うこと。
そうした感情を、
ちゃんと持ち続けられる人は、
とてもあたたかい人だと思うのです。
『“冷静”と“無感情”は違う。』
もし今、少し疲れているなら。
それは、頑張りすぎる中で、
自分の感情を後回しにしてきたサインなのかもしれません。
だから今日は、
「私は、今、何を感じているんだろう」
と少しだけ、自分に聞いてあげませんか。
ちゃんと頑張ってきた証なのかもしれません。
今日のひとこと
「私は、今、何を感じているんだろう」自分の心に聞いてあげよう。
きょうもいい日になりますね🌹
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Profile
桐生 純子|コミュニケーショントレーナー
法人を中心に30年・延べ15万人の研修現場に立ってきました。
「伝わらない」の多くは、言葉ではなく姿勢の問題です。
その気づきを、記事を通してお届けしています。
著書『こころのスイッチ』

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