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非犯罪化と合法化の違い

非犯罪化(Decriminalization)と合法化(Legalization)の違いを、国際人権の観点から整理します。


非犯罪化(Decriminalization)

「刑事罰の対象から外す」 ことが中心です。刑法上の犯罪ではなくなり、逮捕・起訴・前科の対象にならなくなります。行為そのものを「許可」する制度を作らない場合も多いです。しかし、行政法・労働法・民法などの一般法規は適用されます。

国連人権理事会の作業部会や特別報告者が勧告するのは、ほぼ常にこの「非犯罪化」で、成人間の同意に基づくセックスワークの刑事罰撤廃も、それに該当します。

合法化(Legalization)

「条件付きで許可する制度を作る」 ことです。国家が「してよい/してはいけない」を細かく線引きして、許可制・登録制・免許制などが導入されることが多いです。条件を満たさないと違法になり、再び処罰対象になります。

国連人権機関は、過度に管理・排除的な合法化には慎重です。例として、登録しないと違法になる制度、特定区域・年齢・健康検査などを強制する制度、条件を満たさない人が地下化・再犯罪化される場合などがあります。

国連人権機関が「非犯罪化」を使う理由

国連が合法化のLegalizationではなく、非犯罪化のDecriminalizationを選ぶ理由は明確です。

合法化は、国家による管理・選別・排除を強めやすい

非犯罪化は、人権侵害の原因となる「刑罰そのもの」を取り除く

刑事罰に関して、非犯罪化はなくす。合法化は条件付き。国家の許可に関して、非犯罪化は不要。合法化は必要。

管理と統制に関して、非犯罪化は最小限。合法化は強くなりがち。国連人権勧告では、非犯罪化が主流。合法化は慎重。

日本語で混同されやすい点

日本語では「合法化」が広く使われがちですが、国際人権法ではこれは誤訳・誤解を生みやすいです。

「国連は合法化を求めている」のではなく、「国連は非犯罪化(刑事罰の撤廃)を求めている」

この違いを押さえないと、国連勧告の趣旨が逆に理解されてしまいます。

国際人権法における基本発想

国連の人権機関は一貫して、刑事罰は最後の手段(last resort)であるべきという立場を取っています。

刑法の介入が、差別を強化したり、スティグマや排除を生んだり、権利行使そのものを萎縮させる。このような場合には、刑事化そのものが人権侵害になりうると考えます。

非犯罪化が問題にされてきた主な分野で、日本で認識が特に不足しているのが性の分野です。特に、成人間の同意に基づくセックスワークは、国際的に見ると、実際に非犯罪化されてきました。

刑事罰がプライバシー権、健康権、身体の自己決定権を侵害するとして、非犯罪化が勧告されてきました。刑事罰は問題解決にはならず、アクセスすべき支援(医療・福祉・司法救済)から遠ざけるという理由で、非犯罪化と社会政策への転換が提唱されています。

なぜ「過度な刑事罰」が問題視されるのか

国連人権機関のロジックはかなり一貫しています。

刑事化で、地下化・不可視化を招いて、暴力・搾取・差別が表に出なくなり、国家による保護や救済が届かなくなることが起きます。そのため、刑罰が「秩序維持」ではなく「人権侵害の温床」になっていないかに関して、常に検証対象になります。

非犯罪化は国際人権法の横断的原則で、問題は「その行為が好ましいか」ではなく、「刑罰が人権を侵害していないか」を考えます。国連は刑事罰から社会的・法的支援への転換を一貫して促しています。


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