スウェーデンの成人買春の犯罪化の失敗の報告
スウェーデンの正式の報告書での問題は、以下に書いてあります。
以下のPDFは、スウェーデンの性労働者団体のFuckförbundetが執筆し、ヨーロッパの国際団体のICRSE (International Committee on the Rights of Sex Workers in Europe)の支援を受けて制作されたコミュミティ報告書で、NSWP(The Global Network of Sex Work Projects) のサイトを通じて、2019年9月に公開されました。
Fuckförbundetが現場の声を集めて執筆し、ICRSEは欧州レベルで制作を支援して、NSWPが世界に向けて公開と発信をしました。つまり、この報告書は 「現場の声(Fuckförbundet)+国際的な支援(ICRSE)+世界的な発信力(NSWP)」 が組み合わさって成立したものです。北欧モデルの問題点を浮き彫りにしています。以下のPDFの内容の要約と補足です。
失敗した20年のセックスワーカー支援:1999年のスウェーデンの買春処罰法の影響に関するコミュニティ報告書
https://www.nswp.org/sites/nswp.org/files/20_years_of_failing_sex_workers.pdf
3つの団体が「スウェーデンモデル(買春犯罪化)」に対してどんな立場を取っているかを整理してみます。
Fuckförbundet(スウェーデン)
立場:スウェーデン国内のセックスワーカー団体として、買春犯罪化は「失敗だった」と強く批判。
理由:セックスワーカーの安全が低下(顧客が摘発を恐れ、交渉時間が短縮され危険な環境に追いやられる)。社会的スティグマ(汚名)が強化され、差別や排除が拡大。
特徴:当事者の声を直接届ける団体なので、現場の現実を重視。
ICRSE
立場:ヨーロッパ全域のセックスワーカー団体をつなぐネットワークとして、スウェーデンモデルの「輸出」に反対。
理由:スウェーデンモデルは失敗であり、実際にはセックスワーカーへの権利侵害が拡大している。欧州各国で同様の政策が導入されると、セックスワーカーの安全や健康がさらに脅かされる。
特徴:国境を越えて政策や世論に影響を与える力を持っている。学術的研究者とも連携して批判を展開。
NSWP
立場:世界規模でセックスワーカーの権利を擁護する立場から、スウェーデンモデルを「有害な政策」として批判。
理由:セックスワーカーの人権を守るためには、成人間の同意による金銭を介した性的サービスのやりとりの刑事罰を全面的になくすことが最も重要だと言っている。スウェーデンモデルはセックスワーカーを減らすという目的を達成できず、むしろ地下化と危険を増大させた。
特徴:国連や国際機関との関わりもあり、世界的に影響力を持つ。スウェーデンモデルを成功例として広めようとする問題ある動きに対抗する役割を担う。
補足として、地下化とは、成人の買春処罰化をするとブローカーが動きやすくなり、未成年児童への支援も阻害されて有害になる。日本で言えば、海外出稼ぎさせて行方不明にまでさせてるトクリュウも、成人の買春処罰化で動き回れるようになる。座間9人連続殺人を起こした風俗スカウトはツイッターでの勧誘で起こしたことで、成人買春処罰で同種の凶悪犯罪の引き金につながる。
背景の鮮明化
国内の声(Fuckförbundet):現場から「危険が増した」と訴える。
地域ネットワーク(ICRSE):欧州全体で「輸出モデル」として広がることを警戒。
国際ネットワーク(NSWP):世界的に「非犯罪化こそ最も有効」と発信し、スウェーデンモデルを批判。
つまり、この報告書は「現場の証言」+「地域的な政策批判」+「国際的な権利擁護」が結集した文書であり、スウェーデンモデルを「失敗」と位置づける強い根拠になっています。ノルディックモデルの売る側は非犯罪化するが買う側は処罰する方式は失敗だったと、スウェーデンの20年後の報告です。
以下の記事の2016年の段階でも、スウェーデンモデルの問題点が明確になっていたことが明らかになっています。
「スウェーデンモデル」はセックスワーカーの顧客を犯罪化しますが、それだけでなくセックスワーカーを社会的に排除し、自律性を低下させます。
このモデルは、セックスワーカーが二人で働くことを犯罪化し、セックスワーカーに物件を貸す大家を犯罪化することで、独立した住居や仕事の選択肢を見つけることを困難にし、セックスワーカーが自分自身の物件を所有することを妨げ、警察が顧客を突き止めようとセックスワーカーの自宅や職場を張り込みする結果を招きます。
実際、この法律はセックスワーカーの死亡率に危険をもたらし、法律が施行されて以来、セックスワーカーの死亡が増加し、孤立や社会的排除の水準が高まっています。
ペトラ・オステルグレンとスザンネ・ドディレットは、スウェーデンにおいて「深刻な悪影響」が立法によって生じていることを報告しており、立法者が「セックスワーカーに悪影響は及ぼさない」と強調していたにもかかわらず、そのような結果が出ているとしています。
クイーンズランド州の売春ライセンス当局によるスウェーデンのセックスワークの規制の構造を研究した論文では、性的サービス購入の禁止が「性産業を地下に追いやり」、セックスワーカーを「より大きな暴力の危険にさらしている」と報告されています。
犯罪化はセックスワーカーを危険にさらし、性的サービスへの需要を減少させません。スウェーデンにおけるセックスワーカーの推定数は、セックスワークの関連行為が犯罪化される前と同じです。
セックスワーカーやその顧客を犯罪化することが人身取引を減少させるという証拠は存在しません。実際には、犯罪化は産業を地下に追いやり、透明性、司法へのアクセス、犯罪の報告を減少させます。スウェーデン政府は「スウェーデンモデル」の有効性を主張する際に、人身取引された人々とセックスワーカーを区別していません。スウェーデン政府自身も「スウェーデンにおける性的目的の人身取引の発生について完全に信頼できる知識を持っているわけではない」と認めています。
以下の記事にも、人身取引のことが書いてあります。
注 5.スウェーデンでは、2008年から2017年にかけて、捜査対象となった性的人身取引事件数と特定された被害者数が着実に増加した(2008年15件、2017年82件。特定された被害者数も同様)。一方、性的人身取引で有罪判決を受けた者の数は減少した(2008年13人、2017年3人)。
世界で初めて成人間の買春処罰をしたスウェーデンの需要側処罰である北欧モデルは、国家が「女性は被害者」と定義して、成人の女性であっても同意の意思を示せないことを制度的に決定して、警察の介入が不可避で、主体は国家と道徳であることが、北欧モデルです。
