投資ノ戦略 --米国株、次の3ヶ月は、決算ではなく30年債金利を見る
2026年8月初旬の相場予測
7月の米国株が、この3ヶ月の答えを先に見せている。
企業の利益予想は増えた。その伸びは、S&P500を247ポイント押し上げるだけの大きさがあった。ところが同じひと月で、株価は下がって終わっている。押し上げた分を、それ以上の力が引き戻したからだ。引き戻したのは金利で、その分は309ポイントに達した(FactSet、7月31日)。
決算は記録的だった。それでも株は上がらなかった。この3ヶ月も同じことが続く。10月末のS&P500は7,550前後、今からほとんど動かないと見る。
だから見るものは一つでいい。30年物の国債の利回りだ。今は5.28%。ここより上がれば株は重くなり、下がれば軽くなる。決算のカレンダーではなく、この一本を見ておけばいい。
決算は、もう株価を動かさない
4〜6月期の増益率は47.4%で、5年ぶりの高さになった。それでも7月の株価は上がっていない。
しかもこの47.4%は額面どおりではない。アルファベットとアマゾンの2社を丸ごと除くと28.8%まで落ちる(FactSet、7月31日)。2社の利益には、AI企業への投資が値上がりした分が大きく乗っている。事業で稼いだ金ではない。
それでも28.8%は十分に強い。7〜9月期についても、アナリストは予想を下げるどころか上げている。利益は出ているのだ。出ているのに株が上がらないのだから、原因は利益の側にはない。
株価は、利益と「何倍払うか」の掛け算だ
株価は、企業の利益に、市場がその何倍払うかを掛けた値段になる。この倍率が7月に下がり、増えた利益を食った。
倍率が下がる理由は金利だ。国債を持っているだけで年5%を超えて受け取れるなら、いつ出るか分からない株の利益に高い値段は払えない。30年債は5.28%で、2007年以来19年ぶりの高さにいる。

金利なら10年債のほうがよく話題になるが、見るのは30年債でいい。7月に大きく動いたのは長いほうだった。そして10年債は1年半戻れば同じ高さがあるのに対し、30年債は19年さかのぼらないと今の水準がない。異常なのは長いほうだ。
今の株価は、まだ出ていない利益への前払いでもある。すでに出た利益に対しては27.2倍を払っているのに、これから出る利益に対しては19.6倍で済む計算になっている(FactSet、7月31日)。この差が前払いの厚みだ。金利が上がると、まずここが削られる。
金利が上がる材料は、全部そろっている
6月にFedが示した金利の見通しは、年内の利上げが中心線になっている(FRB、6月17日)。7月29日の会合では、12人のうち3人が今すぐ上げろと反対票を投じた。ウォーシュ議長は、物価を止めることをためらわないと述べている。
8月末のジャクソンホールでは、その議長が講演する。9月16日の会合では金利の見通しが改めて示される。どちらも、上げる側の話が出てくる場だ。
物価は下がってはいるが、下がり方が遅い。中東も収まっていない。7月末にはホルムズ海峡でタンカーが攻撃され、原油はひと月で2割上げた。金利が下がる方向の材料は、今のところ見当たらない。
見るのは30年債、5.28%より上か下か
やることは一つ。決算のカレンダーを追うのをやめて、30年債の利回りだけ見る。
5.28%より上へ行けば、株価はもう一段削られる。買い増しはしない。5.28%より下へ戻れば、削られた分が戻ってくる。その時は決算の強さがそのまま株価に乗る。
着地の見立てはこうだ。金利が今の水準のまま動かなければ7,650前後。ただし上で見たとおり金利は上に振れやすいので、そこから引いて7,550前後と置く。今とほとんど変わらない。急いで買う場面ではない。
買い増すなら9月16日の前後だ。会合をきっかけに7,300前後まで沈む場面があれば、そこで足す。7月29日の会合当日に実際につけた水準でもある。
外れ方も決めておく。7,800を終値で上抜けたら、金利が倍率を食うという読みが外れている。追わない。逆に7,100を終値で割れば、それは押し目ではなく下落の入口だ。間違いと認めて引く。
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