21. Yurika|読む人の運命を加速させる恋愛小説
東京の夜は明るい。ビルと、車の灯。
今から私は、直樹さんに会いに行く。そこで私は、告白される。
今私は、分岐点に立っている。
目の前には二つの分かれ道。
標識はない。地図もない。誰もどちらが私の幸せなのか、教えてくれない。
直樹さんは、私をきっと、連れて行ってくれる。
誰もが祝福してくれるあの幸せへ。
私は夜空を見上げ、星を数える。
———その時、ポケットの中で、スマホが振動した。
画面を見て、私は夜の空気を大きく吸い込む。
私はゆっくりと、スマホを耳に当てた。
「もしもし・・・」
「もしもし、ごめん、急に」
「いえ、大丈夫です」
「友利花さんの声、聞きたかった。どうしても」
「洸太、さん?」
「ん?」
「いや、なんでもないです」
「なに?言ってほしい」
「いや、なんか、いつもとちょっと違うなーって」
「そう?」
「はい」
「あのさ」
「はい」
「もう、自分に言い訳するのはやめた」
「はい」
「もう、自分に嘘をつくのもやめる」
「はい」
「友利花のことが好き。友利花のことが、まっすぐ、好きだよ」
「・・・ありがとうございます」
「・・・泣いてる、の?」
「泣いてないですよ!」
「別に隠さなくてもいいでしょ」
「隠してないです!泣いてないです!」
「そっか」
「はい」
「どうしてあの曲、送ってきたの?」
「重い、ですよね」
「ううん、そんなことない」
「もう、蓋して生きるの、やめたかった。でもどうしていいのかわからなくて、その時にあの曲が流れてきて。洸太さんにも、知って欲しくて、それで、送ってました」
「そっか。・・・今ね、友利花さんの手、つないでるよ」
「はい」
「わかるの?」
「はい、わかりますよ」
「つながってるもんね」
「はい、つながってます。どうしようもなく」
「どうしようもなく」
「しばらく洸太さんと、こうしてたい」
「こうしてよう。ずっと———」
*
「そろそろ、行く?」
「はい、行きます」
「じゃあ」
「はい」
「行ってらっしゃい」
「はい、行ってきます」
【あらすじと初回話】
