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地域が育む、いのちの道しるべ

通学路の風景は、不思議と鮮明に記憶に残っているものです。私が中学生だった頃、毎朝友達と並んで歩いた道も、その一つ。他愛もないおしゃべりに夢中になりながら、時に道端の小石を蹴飛ばしたり、季節の移ろいを告げる草花に目をやったり。子ども特有の無邪気さで、世界はきらきらと輝いて見えました。

その通学路の途中に、大きな国道へと抜ける道が交差していました。早朝にもかかわらず、そこはまるで動脈のように、絶えず車が行き交う場所。スピードを上げて走り抜ける乗用車や、地響きを立てて通り過ぎる大型トラック。当時の私は、それがどれほど危険なことか、深く理解していませんでした。友達との会話に夢中になるあまり、左右の確認もそこそこに駆け抜けてしまうこともあったかもしれません。

そんなある日のこと。いつものようにその抜け道に差しかかると、道の両脇に真新しい花壇が設置され、色とりどりの花が植えられていることに気づきました。誰が、いつの間に。そして、何のために。子どもだった私には、その意図がすぐには分かりませんでした。「お花がきれいだね」友達とそんな会話を交わした程度だったと思います。

しかし、毎日そこを通るうちに、ふとした変化に気がついたのです。以前は猛スピードで走り抜けていた車が、花壇を避けるようにして、明らかに速度を落として通過していくではありませんか。花壇は、ただ道の両脇に置かれているのではなく、進行方向に対して互い違いに、まるで優しい障害物のように配置されていました。それによって、車は自然とジグザグに走行せざるを得ず、スピードを抑制されるようになっていたのです。「あっ…!」その瞬間、点と点がつながるように、花壇の本当の意味を理解しました。

大人になった今振り返れば、それは偶然の産物などではなく、地域の大人が子どもたちの安全を願い、知恵を絞って生み出した対策だったことは明らかです。おそらく、PTAや町内会で話し合いが持たれ、誰かの「子どもたちが危ない」という切実な声が、あの花壇という形になったのでしょう。誰が発案し、誰が汗を流して花を植えてくれたのか、知る由もありません。けれど、そこには確かに、名も知らぬ多くの大人たちの、子どもたちに向けられた温かな眼差しがありました。

子育てをしていると、日々、子どもの安全について心を砕く場面に直面します。一瞬たりとも目が離せない幼少期はもちろんのこと、少しずつ行動範囲が広がり、親の手を離れていくようになっても、心配は尽きません。そんな時、ふとあの日見た花壇の光景が胸に蘇ります。私たちは、知らず知らずのうちに、こうして地域の人々に見守られ、育まれてきたのだと。そして、その温かなバトンを、今度は自分たちが次の世代へと繋いでいく番なのだと。


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かつて私たちが守られていたように、今、私たちの子どもたちも、地域社会という大きな家族の一員として、多くの目に見守られています。公園で遊ぶ子どもたちに優しい声をかけるご年配の方。登下校の時間帯に、さりげなくパトロールをしてくださる地域の方々。その一つ一つが、目には見えないけれど、確かに存在する「花壇」なのかもしれません。

あの日、誰かが植えてくれた花々は、ただ道を彩るだけでなく、子どもたちの命を守る盾となっていました。その事実に改めて気づかされた今、感謝の念と共に、子を持つ親として、そして地域の一員として、自分に何ができるだろうかと考えずにはいられません。特別なことでなくてもいい。ほんの少しの気配りや、ささやかな行動が、未来を担う子どもたちの笑顔を守る力になるのだと信じて。あの日の花壇が教えてくれた温もりを胸に、私たちは生きていくのです。


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#子どもの安全を考える


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