旅の息づかい ~2024富山旅行記③「富山を味わう(その2)」~
富山を味わう(その2)
ミシュラン・ビブグルマンで気分もお腹も満足していたが、氷見にはお寿司を食べにやってきたのだ。氷見漁港場外市場 ひみ番屋街へは、少し遠いようだったが、運動がてら歩いて行くことにした。
市場の客も少なかった。場内を一回りしてから、獲れたてのネタが味わえるという回転寿司屋さんに入る。
寒ブリはまだ先だった。
そして新鮮なものは富山でしか味わえないという白エビ。わたしは少し甲殻アレルギーを持っていて、火の通っていないエビは口が痒くなる。Cちゃんひとりでその白い宝石を注文、なんと、パクリっと一口で800円を食べてしまった。
「どう?」
「おいしい。」
Cちゃんの口の中には言葉にできない感動が広がっていたことだろう。もうちょっと感想が欲しかったけど、今はわざわざわたしに食レポする必要はない。
マグロ、ノドグロ、中トロ…。
値段を気にしない旅の贅沢。獲れたての弾力を口の中で堪能する。
たぶんそのとき「どう?」と聞かれても「おいしい」としか言わなかったろう。
食後は場内の足湯場で海を眺めながらゆったりし、最後は売店に戻って、家族のお土産に白エビ味の「ビーバー」を4袋買った。

市場からバスが出ていたのでそれに乗って氷見駅に戻り、富山駅に帰る途中で高岡駅で下車して、日本一のイケメン大仏※と言われている「高岡大仏」を見にいくことにした。
(※与謝野晶子が鎌倉大仏よりも美男だと言ったらしい。)
日が沈みかける見知らぬ町は心許ない。
GoogleMapを頼りにとぼとぼ歩き、薄暗い空に浮かび上がる美男子を見つけたとき、既に夕日も見えなくなっていた。
仏様にいうのは失礼だが、艶めいていて色気すらある。
それでも御前に立つと気持ちはシンとする。私の煩悩など馬鹿馬鹿く思える。

高岡大仏の隣に工芸品のお店があったので覗いてみた。建物はもともと町のお風呂屋さんだったらしく「ガランドウ」とカタカナで書いた看板が可愛いらしい。


昭和にタイムスリップしたような店の中で、小学生が駄菓子を物色するように工芸品をひとつひとつ、ワクワクしながら手にとった。
たくさん買いたい気持ちを抑え、小さなすりおろし器をひとつ、買った。
夜食は富山駅近くの居酒屋さんでとることにした。カウンターに隣り合わせに座ってお酒を酌み交わす。
生はムリだったから、白エビの天ぷらがどうしても食べたかった。
メニューに値段が書いてなくて時価(その日は2000円)だったけど、もちろん注文した。
サックリと揚がった衣の中の、ふわりと上品なエビの風味。お酒と会話がしんしんと進む。

好きなお酒と、食べたいもの全部。
話したいことを話したいだけ。
ほどいい疲れと、静かな高揚。
そしてよくわからない孤独感。
旅先での酔いはどこか不思議な味わいがする。
「明日晴れて、立山連峰見れたらいいね。」
ホテルの白いシーツに包まれて、いつの間にか眠りに落ちた。
~次回へつづく~
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