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人生を豊かにする中国古典の名言#72

【今回の名言】

跂つ者は立たず、跨ぐ者は行かず
(読み:ツマダつモノはタたず、マタぐモノはイかず)

『老子』二十四章

爪先立ちしている人は長くは立っていられない。
大股で歩く人は遠くまで歩き続けることはできない。

という意味。

つまり、無理は長続きしない、ということですね。


老子は作為的なものを嫌います。

わざわざ自分の功績をアピールしたり、周囲の評判を気にして競争に励んだり。

現代社会において、こういったものはある程度必要ではあるものの、厳しい見方をすれば、自分本来の姿を外向けに偽っているとも言えるかもしれません。

無理をすることも、そういったものの一つです。

「同僚も頑張っているから、大変だけど私もやらなきゃ……」
「私は平凡だから、睡眠や休日を削ってでも、人より努力しないと……」

真面目で誠実な方ほど、そういった理由を挙げて、無理に自分を騙して努力を続けてしまいがちです。

ですが、こうした無理は長くは続きません。

そのまま無理を続けると、ある日突然涙が止まらなくなったり、ベッドから起き上がれなくなったりします。

疲労が溜まりすぎるとセロトニンなどの働きが抑制されて、疲れているのに疲労感を自覚できなくなり、その結果、異変が表に出てくるまで気づけなくなるのです。

「何かがおかしい」と思ったときには、すでに体と心は壊れてしまっている、というわけですね。

そして、この疲労感が自覚できない状態はとても危険です。

覆い隠された疲労は、自覚はなくても体の活動能力は低下している状態。気づかずに活動し続ければ、最悪の場合、過労死などの急激な破綻につながることもあるため注意が必要

日本経済新聞「その疲れは「休め」のサイン 慢性疲労に陥るメカニズム」

幸い、私の場合は命に支障をきたす前に病院へ行くことができましたが、場合によってはもっと危険なことになっていたかもしれません。

実際、世界保健機関(WHO)と国際労働機関(ILO)が2021年5月に発表した共同研究では、週55時間以上の長時間労働により、脳卒中のリスクが35%、虚血性心疾患のリスクが17%増加することが報告されています。

無理は身を滅ぼすのです。

老子は以下のようにも述べています。

名と身と孰れか親しき、身と貨と孰れか多れる
(読み:ナとミとイズれかシタしき、ミとカとイズれかマサれる)

『老子』四十四章

名誉と身体とでは、どちらが自分にとって大切だろうか。
身体と財産とでは、どちらが自分にとって重要だろうか。

といった意味。

何事も、自分の身体が基本なのです。

心と体が健康であれば、何だってできます。

ですが、心と体がボロボロだと、自分がやりたいことも十分にできなくなってしまいます。

生きていれば、どうしても無理をしなければならない場面もあるかもしれませんが、常日頃から無理をするのはいけません。

自分の健康を大事に、日々を過ごしていきたいですね。


【今回ご紹介した名言】

跂つ者は立たず、跨ぐ者は行かず
(読み:ツマダつモノはタたず、マタぐモノはイかず)

『老子』二十四章

こちらの言葉は、以下の回でも取り上げています。

ご紹介したのは一つの解釈に過ぎませんが、皆さんの気づきや学びになれれば幸いです。

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前回の名言はこちら👇

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