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🏰05.街の小さなレストラン|双子のテキパキとシレット

街の片隅にある、小さなレストラン。
色あせた看板と少し曇った窓ガラスが、
静かな午後の疲れを物語っていた。

ドアの向こうから、小さな人影が入ってくる。

赤茶の髪の『テキパキ』と、
黒髪メガネの『シレット』。

同じ屋敷でメイドとして働いていた二人だが、突然の解雇で、ここ数日はまともに食事も取れていなかった。

「……お腹……空いたね」
「うん……でも、迷惑かけちゃう……」

申し訳なさそうに入ってきた二人に、
店主は驚きと不憫そうな目を向けた。

事情を聞いた店主は、
温かなスープとパンを差し出す。

「ありがとうございます……!」

久しぶりの食事に、
二人の表情がほっと柔らかくなる。

食事を終える頃には、二人はすっかり元気を取り戻していた。二人は無言のまま見つめ合うと、自然と手を動かす。

テキパキが食器を下げるその横で、シレットは黙ったままテーブルを整え、床を拭く。

気付けばくすんでいた木目は少しずつ艶を取り戻し、曇っていたガラスに夕陽が反射して店の奥まで光が差し込んだ。

それから、二人は外へ出る。
テキパキが外の花壇に水をやれば、シレットは看板の汚れを静かに拭き取っていく。

その小さな手際の良さで、静かだった店内の空気が変わり、徐々に活気を帯びていく。

やがて日が傾く頃には、店は笑い声と食器の音で賑わった。

閉店が近づくと、店主は満足そうに二人を見つめた。

「ありがとう、本当に助かった」

二人も深くお辞儀をして返す。
店を出ようとする背中に、店主が慌てて声をかけた。

「ちょっと待ってくれ!
これからもここで働いてくれないか?」

少し驚いた顔で見合わせる二人。

「……はい! ぜひ働かせてください!」

テキパキの声は弾み、シレットも小さく微笑んだ。

店主が最後に尋ねる。
「そういえば君たち、名前は?」

赤髪の少女が胸に手を当てる。
「私は姉のテキパキと申します!」

黒髪の少女もほんの少しだけ前へ出る。
「……妹のシレットです」

店主は優しい笑みを浮かべた。
「いい名前だ。よろしく頼むよ」

古びたレストランの空気が、少しだけ新しく生まれ変わった瞬間だった。



仕事を終えて店を出ると、夕暮れの街が赤く染まっていた。

テキパキはふと立ち止まり、遠くを見つめる。

「……お嬢様は、今頃どうしてるかしら」

二人は顔を見合わせた。

「……近いうちに、会いに行きましょう」

シレットは静かにうなずいた。

少しの沈黙の後、テキパキが帰り道とは反対方向に歩き出した。シレットも静かにその後を追う。

夕暮れの街に、二人の足音が重なった。 

行き先は、もう決まっていた。


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