出雲・岡山一人旅|温泉に愛された女は、宝剣「草薙剣」を感じ、エゴに向き合う
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出雲市駅の駅前に「らんぷの湯」という温泉があった。
特筆すべきは、この地が「鉄」にゆかりがあること。
奥出雲は、映画「もののけ姫」の「たたら製鉄」のモデルになっているという。
くねくねと蛇行していて氾濫が多かった斐伊川(ひいかわ)は、暴れるヤマタノオロチに見立てられ、その川に沈む砂鉄が、宝剣「草薙剣」のメタファーという説があるらしい。
ここで、少し今回の旅の経緯をおさらいしたい。
今回の旅のテーマとして引いた「日本の神様カード」で出たのは、フツヌシ、アメノミナカヌシ、アマテラスオオミカミ。
地元名古屋の熱田神宮に祀られている「草薙剣」とフツヌシの剣。剣と剣で「剣つながり♪」くらいに軽く捉えていたら、深い縁に驚いた。
スサノオさんが、ヤマタノオロチを討った剣の霊力が「フツヌシ」さんであり、討たれたヤマタノオロチから出てきた宝剣が「草薙剣」という、バチバチのつながりがあることが分かったのだ。
「フツヌシ」さんに関係する地を調べると、出雲大社の近くの浜に降り立ち国譲りの交渉をしたという情報を得て、出雲大社がちょうど気になってたから行ってみよう、という入口だった。
出雲の斐伊川がヤマタノオロチに見立てられ、その川の水に含まれる鉄を草薙剣に見立てている説があるということは、宿を取った後、出発の直前に分かってきたことだった。
草薙剣を普段お参りしている私が、「鉄分をたっぷり含んだ出雲の温泉に入る」ことは、暴れるエゴ(ヤマタノオロチ)の中にある、ゆるぎない宝剣の存在を思い出させてくれる儀式のような気がしていた。
私は人知れず、そういう意気込みで温泉に臨んだ。
まず、私は特別なシャワーに出迎えられた。
たまたま使った一番端っこのシャワーだけ、シャワーヘッドが変えられていたのだ。ものすごくきめ細かい水流に、高級感を感じた。
旅の高揚感で、私は「温泉に愛された女」であり、「温泉に歓迎されている」と自然に思えた。
鉄色のトロッとしたお湯は、見るからに体によさそうで、心身が満たされた。露天風呂は、目の前がマジの竹林になってて、タケノコが生えていた。駅前なのにすごい、と感心した。
次の日もしっかり歩けたのは、間違いなくこの温泉の効能のおかげだと思っている。
しかし。大満足の温泉体験を経て、脱衣所へ戻った私は、またここで、自分のエゴと迷いの多さに向き合うことになる。
私は、貴重品が入ったリュックと、着替えを入れる手提げ、二つかばんを持ってきていた。
込み合う脱衣所でなんとか着替えたものの、リュックにポケットが多すぎて、ホテルのアメニティの化粧水をどこにしまったか分からず、見つけられなかった。
私はついに諦めて乳液だけ塗ってよしとした。
なんでこんなに荷物が必要だったんだろう?
いつも「必要最小限」が分からない。手当たり次第いるかもしれないものを持ち運んでしまう。
身の回りの荷物の多さは、そのまま私のエゴの重さのようだった。
「もっと身軽になりたい!」
心の底からそう思った出来事だった。
温泉を後にし、私はノーメイクで居酒屋へと向かった。
一人だし、誰にも会わないし、日本酒飲んで寝るだけのつもりだったので。
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