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銀河漂流記 ーー遥かなる再会の空(6話)

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目次
登場人物
自己紹介

聖なる晩餐、あるいは悪魔の口

宇宙人たちは、もはやボクらを神々と思い込んでいるようだった。
ひれ伏したまま顔も上げられず、小刻みに震えながら、何やら奇妙な呪文のような言葉を唱えている。

「神様として扱ってもらえるなら、この星のどんな女の子も落とせるかも。そうすれば、お母さんに似たひとと結婚する夢が叶えられる」
恐怖が去ったボクの脳裏に、そんな不純な思考がよぎった。
だが、母星の宇宙飛行士という肩書が通用しなくなった今、この状況は最高に魅力的なチャンスに映った。

「おい、お前ら! 立て、立つんだ!」
サブリーダーは、さっきまでの怯えが嘘のように威張り散らし、ひれ伏す宇宙人の肩を小突く。
言葉は通じていないはずだが、その傲慢な態度に、宇宙人たちは恐る恐る顔を上げる。

「リョウ、次は『神の恵み』の映像でも流してやれ。そうすれば、もっとこいつらを手懐てなずけられるぞ」

サブリーダーの提案に、リョウさんは困ったように苦笑いした。
「いえ、バッテリーが貴重ですから。それに、もう十分でしょう」

「そうね。それより、まずは彼らの村へ案内させましょう」
リーダーは腰のケースから、最新型の翻訳機を取り出した。
これは、未知の知的生命体と会話をするために開発された新製品だ。宇宙人に遭遇した例はないため実証実験こそ未完だが、野生の猿とすら意思疎通ができるという触れ込みの代物である。

彼女は赤い眼鏡をクイと押し上げ、獲物を定めるように宇宙人のリーダー格を指さすと、翻訳機に語りかけた。
「私たちは空から来た貴き神よ。食事と、それから……快適な寝床を用意しなさい」

会話が通じたのか、彼は頷き、森のほうを指さすと、他の宇宙人を従えて歩き始めた。
ボクらはその後について森の奥へと入っていく。
宇宙人は、ボクらのヘルメットを代わりにもってくれるほど気を使っている。

その様子を後ろから眺めていたタクさんが、まだズボンのチャックが開いていることにも気づかず、暢気に鼻を鳴らした。
「へへっ、これなら一生、働かずに暮らせるかもしれませんねぇ」

「お主も悪よのう。越後屋フグ蔵よ」
サブリーダーは悪代官の口真似をして、高笑いをした。

「じ、自分は、そんな名前じゃありません」
タクさんは怒って頬を膨らませる。今までで一番見事なフグになった。

その顔を見て、メンバーはみんな吹き出す。
ますます愉快な道中になった。

しかし、ボクはふと不安になった。
ホログラムで見せたのは、あくまで「虚像」だ。
もし彼らが、ボクらがただの「ひ弱な宇宙飛行士」だと気づいたら、どうなる? その時、突きつけられる槍の先を、リョウさんは再び退けることができるのだろうか…。

日が落ち始めた薄暗い森の先が、悪魔の口のように見えてきて、前に進むのが急に恐ろしくなってきた。


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