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スタバの注文、いちいちが好きなわたし、嫌いな夫。

注文が“ちょっとめんどくさい”系のわたし。
それでも毎回ちゃんと伝えてくれる夫の背中を見て、
「この人と結婚してよかったな」って、ついくすくす。

ドライブスルーで繰り広げられた、いちいちが愛おしい夫婦の会話。

夫が運転していることが多いから、スタバのドライブスルーは、だいたい夫の役目になる。でも、わたしの注文って、ちょっと面倒らしい。

「シロップ少なめっていうより、ほんとは1.5ポンプくらいがいいんだよな〜」なんて言い出すと、夫の眉がぴくっと動く。


いやとは言わない。けれど、ちょっとだけ「うわ〜」って気持ちが、にじみ出てる。



「いや、いまの注文でも、なかなかめんどくさいよ」と心の中で、ボソッとつぶやいてるような空気が、眉間を掻いて目を逸らす仕草ににじんでいた。



「アイスのホワイトモカ、ベンティサイズのディカフェで、シロップ少なめでお願いします」


それでも、店員さんに向かって、ちゃんと注文してくれるのだ。その少しイラつきながらも、わたしの希望をしっかり伝えてくれる夫の背中が、たまらなく愛おしい。


わたしはといえば、我慢できずに助手席でそっと顔をそらして、くすくす笑ってる。だって……夫が、可愛すぎる。



あ〜、わたしが運転しておけばよかったって、ちょっとだけ思う。でも、やっぱり夫の愛情を間近で感じられる助手席は、わたしにとっての特等席。




可愛すぎるから、ちょっとだけ、いじめてみたくなっちゃう。「次から“シロップ少なめ”じゃなくて、“1.5ポンプ”、いや、“1.75ポンプ”って言ってくれない?あと、できれば氷は少なめがいいのだけど……」


「はーいー?それは、ちょっと無理。絶対“少なめ”と“1.5ポンプ”の違いなんて、飲んでも分からないでしょ」


(ちょこっといじめ作戦バレたか…。すこし困った顔が見たかっただけ)


それが見透かされたのか、秒で断られた。は〜、おもしろい。この人と結婚してよかったって、思う瞬間。


(……ま、そんなのまいにち思ってるんだけどね。)
心でこっそり思ってたら、口に出していたみたい。目が合って、今度は夫がくすくす笑ってる。


あっ、いまがチャンスかも。すかさず聞いてみた。


「ねえ、いちいちって思ってるでしょ?でもね、わたしは、大好きなものでぎゅうぎゅうに囲まれたいの。だから、完璧にかっこいいあなたが注文してくれる、完璧なドリンクがないと始まらないんだって」


「……まあ、めんどくさいけど、“いちいち”もいいかもな」


ふたりで顔を見合わせて、ちょっとふざけて、声を出して笑った。


「やっぱり結婚してよかったね」


今度はちゃんと目を見て言った。


そのあともう一回くすくす笑って、注文したドリンクを、2人で「うんまっ!」って言いながら飲んだ。


なんかもう、それだけで今日は大成功。後部座席の騒がしい子どもたちの声がまったく耳に入らなかった。それくらい、前席は夫婦2人だけの空間になっていた。






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