ピカピカになったコンロより、うれしかったこと
家事や育児にほとんど関わってこなかった夫と、
はじめて並んでコンロを磨いた日。
「ピカピカになったね」って笑った夫の横顔は、
世界三大絶景よりも、わたしが見たかった景色かもしれない。
泣きそうになったけど、最後は笑いました。
「コンロ、汚れてるから磨いておくね〜」
夫がそう言って、ジフを手に、ゴシゴシ磨きはじめた。
それを見て、胸がふわっとあたたかくなった。
夫は、結婚して十数年ずっと仕事人間で、
家事や育児にほとんど関わる時間がなかった。
でも最近、仕事がやっと落ち着いて、
家にいる時間が、少しずつ増えてきた。
「今日は麻婆豆腐作ってみるね」
「夕飯、何にしようか」
そんな言葉を夫から聞くたびに、実はちょっぴり泣きそうになってる。
ああ、いま、わたしたち『家族してる』──そう感じる瞬間。
前日には、夫がまた“うんまい”唐揚げを作ってくれた。
そのときに汚れたコンロを見て、
今日は磨いてくれているらしい。
「ゆっくりしてていいよ」って言われたけれど、
わたしはすかさず、夫のとなりへ。
左は夫、右はわたし。
ふたり並んで、コンロをゴシゴシ。
コンロの汚れよりも、気になるのは夫の横顔。
夫が隣にいる。いっしょに、掃除をしている。
夫は力強く磨いて、「もうピカピカ!」と得意げに言った。
結婚してから、夫がコンロを磨く姿なんて、たぶんはじめて。
それは、世界三大絶景よりも、わたしが見たかった景色だ。
わたしが担当していた右側も、少し遅れてピカピカに。
「はじめての共同作業だね」なんて冗談を言いながら、
ふたりでいろんな話をして、コンロを磨いた。
コンロがきれいになったことよりも、
夫とならんで掃除をしたという、それだけの時間が、うれしかった。
家中の汚れをひとりで掃除していたときは、
こっそり泣いていた。
いまは違う涙がこぼれそうになっている。
汚れるのが怖かったけど、
夫といっしょなら汚れるのもたのしみになってきた。
遠距離恋愛中のカップルがひさしぶりに会えたときみたいに、
わたしたちは、コンロの前ではしゃいでいた。
それを見ていた子どもが、「はぁ〜」っと、深いため息。
でも、隠しきれてない笑みを、わたしは見逃さなかった。
こんなことも書いてたな〜↓
